月に5万稼げる副業のコツ(motoこと戸塚俊介さん②)
短大卒で年収240万円のホームセンター勤務から、転職を繰り返して年収を1000万円に乗せ、今年春には副業ビジネスを売却して10億円を手にした、「motoさん」こと戸塚俊介さんの話を紹介する2回目です。
前回は、motoさんが「転職を重ねた理由と転職のコツ」というお話をお伝えしましたが、今回は「月に5万稼げる副業のコツ」というお話をお伝えしたいと思います。
この記事はFMラジオ、InterFMで毎週日曜20時30分からお送りしている番組「ビジプロ」で放送された内容と、未公開部分を併せて記事化しています。ビジプロは、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」などの書籍や、個人M&A塾「サラリーマンが会社を買うサロン」で知られる事業投資家の三戸政和が、さまざまな分野の先駆者をゲストに招いて話を聞き、起業や個人M&Aなどで、新たな一歩を踏み出そうとしているサラリーマンを後押しする番組です。番組は三戸さんとの対談ですが、記事はゲストのひとり語り風に再構成しています。
音声アプリVoicyでは、ノーカット版の「ビジプロ」を聴けますので、こちらもお楽しみください。
転職ブログを始めたきっかけ
自分が転職をする中で感じたことや、自分が培ってきた市場価値の考え方や年収を上げるノウハウなどを書いたブログ「転職アンテナ」は、会社員時代に副業としてやっていました。そのきっかけは、自分の収入が、所属する一つの会社からしか得られないことに、危機感を覚えたからです。
東芝のような大手企業でも倒産の危機を迎えてしまう時代にあっては、大手企業にいるからといって将来が保証されるわけではありません。それに、会社が生き残る話と、その会社の中で自分が生き残れるかは別の話です。
会社が問題なくても、自分はリストラされる可能性があります。だから会社の給与だけに頼るのではなく、給与収入以外の収入チャネルを持っておく必要があると思い、副業を始めました。
「転職アンテナ」では、自分が転職することで得たノウハウ、知識などを伝えるコンテンツを公開してきました。多い時で月間のページビューは100万を超えていました。サイトの中で紹介している転職サイトへは、計測できているだけでも、年間10万人くらいが登録していました。
会社員としての副業だったため、匿名の「moto」という名前を付け、顔も出さずに始めました。最初は会社に伝えずにやっていましたが、規模が大きくなるにつれ、オープンにしていきました。
お金より信頼が大切
副業で稼ぐ方法はいろいろあると思いますが、僕は、会社員という立場を利用して稼いできました。「自分と同じ会社員の人たちは、一体どんなことに困っているのか」に目を付けて、コンテンツを作っていったのです。
たとえば、会社の忘年会は、新卒の社員がセッティングを任されることが多いと思いますが、これまではどの店でやっていたのか、上司の好みは何かと、いろいろな悩みが出てきます。
毎年同じように新人が相談してくるので、忘年会に適したお店のリストを作っていました。これをそのままインターネットで公開したのです。
そうすると、同じように困っていたいろいろな人がコンテンツを見てくれます。最初の頃は、こうしたコンテンツを出すことで、お金をよりも自分の信用度を高め「匿名でもきちんとした情報を出してくれる」と状態を目指すようにしていました。その土壌ができたタイミングで有料コンテンツを販売し、お金を稼ぐことができました。
コンテンツになるのは、決して突飛なアイディアではなく、自分の経験や困りごとなどから出てくる、身近にあるものだと思います。全員には必要じゃないかもしれないけど、一部の人には、確かにこれ便利と思われるモノをコンテンツにできるとお金になります。
まずはとにかくアウトプットしてみることが大事です。僕はnoteでも有料記事を書いていますが、月100万円ほどの収入になっています。
僕は会社勤めをしながら副業を充実させてきました。会社員の人たちがどんなことに苦労しているのか、という視点を持ちながら仕事をすることで、副業に活かしていたのです。
個人の副業仕事と会社の仕事では、できることの規模が違うので、本業を辞めるという選択肢はありませんでした。
Google検索アルゴリズムの秘密
現在は、SNSと転職アンテナ、noteをメインに発信をしています。転職アンテナはいわゆるアフィリエイトのビジネスモデルで、ブログを書いて集客をして、それをリクルートやビズリーチなどの転職サイトに送客することで、送客フィーをもらっています。noteは有料記事の課金が収入源になっています。この中で一番売り上げが大きいのは転職アンテナのアフィリエイトです。
アフィリエイトでは、Google検索で表示されるランキングが重要で、ランキングが突然落ちて、ビジネスが大きな影響を受けることがありますが、これまで、転職アンテナのランキングが大きく落ちたことはありません。
Google検索のアルゴリズムはGoogleのみぞ知るところなので、転職アンテナが落ちない理由ははっきりとはわかりませんが、「ユーザーが求めていることは何か」を考えて書くことが大切だと思っています。
また、そのサイトのコンテンツを作っている人は、何の専門家で、業界ではどのくらい信頼性を持って扱われているのか、その領域でどの程度知名度があるのかなど、書き手の信用度も影響しているように思います。
サイト側としては、コンテンツを作っているのがその道の専門家であることを、ネットやリアルで証明していくことが、Googleへのシグナルになると思っています。
そういう意味では、「転職=moto」というブランディングは出来ているように思うので、これが上位に表示される理由になっている気がします。
本を出した理由
転職アンテナのアフィリエイトで十分なマネタイズができていますが、2019年には書籍を出しました。
出版した理由は、「自分の考えを多くの人に知ってもらいたい」と思いが前提としてありました。副次的な効果として、書店に本が並ぶことで検索してもらう機会が増え、先ほど言ったGoogle検索のランキングにもいい影響を及ぼせるのではないかと考えたのです。
ネットでリーチできない人に対して、リーチできる側面もあります。書店の棚を使って自分の宣伝ができるという意味でも、書籍の出版は大きな効果があると思っていましたが、まさに狙い通りになりました。
次なるビジネスモデル
僕のやっているビジネスの多くは、他人のプラットフォームに乗っています。もしGoogleから消されたらどうなるか、SNSのアカウントが止められたらどうなるかなど、様々なリスクがあります。なので今後のビジネスでは、自分がプラットフォーム側になるように意識しています。
具体的に、現在はアフィリエイトの上流部分となるASPの領域でビジネスを展開しています。ASPとは、広告代理店のように、アフィリエイターと広告主の間に入るポジションのビジネスです。お金の源流に近づいていくことが、一番手っ取り早い稼ぎ方なのです。
次回は、motoさんの「事業売却の金額を公表したわけ」をお伝えします。
※この記事は、日曜20時30分からInterFMにて放送しているサラリーマンの挑戦を後押しするベンチャービジネス番組「ビジプロ」の内容をまとめています。
三戸政和(みとまさかず)事業投資家、ラジオDJ
1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先でのM&A戦略、株式公開支援などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている。また、ロケット開発会社インターステラテクノロジズの社外取締役も務める。
著書に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)、『資本家マインドセット』(幻冬舎NewsPicks)、『営業はいらない』(SB新書)、『サラリーマンがオーナー社長になるための企業買収完全ガイド』(ダイヤモンド)、『サラリーマン絶滅世界を君たちはどう生きるか?』(プレジデント)などがある。Twitterのアカウントは、@310JPN。