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なぜトヨタはわずか2年間でクラウンを開発できたのか?
2022/7/15トヨタ新型「クラウン」のローンチイベントがあった。リアルタイムで観ることはできなかったのだが、幸い動画があったのでそれを観てみた。
クルマ関係の業界に携わるようになってまだ日が浅いので、初めてトヨタのイベントをじっくり観たのだが、IT業界と同じようにスティーブ・ジョブズ風のプレゼンスタイルで、熱意が伝わってくる素晴らしいプレゼンだった。きっとリハーサルもしっかりしているんだろうなという感想を持った。
さて話を本筋に戻すと、今回書きたかったことはプレゼンスタイルや発表されたクルマに関する感想ではなく、なぜトヨタはわずか2年間でクラウンを開発できたのか?ということだ。通常クルマの開発には3年掛かると言われていて、さらに4車種同時開発となれば相当短期間で開発されたことになる。これは相当すごいことでは?なぜトヨタはこんな離れ業ができたのか、
私はこの点に興味を持った。
■たった2年間でクラウンを開発できた理由
トヨタが2年間でクラウンを開発できた理由は動画の中に答えがあった。
その答えは次の2つにある。ひとつはカンパニー制、もうひとつはTNGAだ。
・カンパニー制
カンパニー制とは企業の組織形態のひとつで、複数の事業のそれぞれを独立採算形式で進めるやり方。日本企業に多い事業部制では、重要な意思決定は事業部ではなく会社自体でなされるが、カンパニー制では権限移譲されているので、各カンパニーの責任で行われる。要するに本社の顔色をうかがいながら事業を進める必要がないので、状況に適したスピーディな経営ができるメリットがある。日本ではトヨタ以外にもソニーやパナソニックなどでも導入されている。
参考:社内カンパニー制
・TNGA
TNGAとはToyota New Global Architectureの略で、新プラットフォームを基幹とし商品力の飛躍的向上と原価低減を同時に達成するためのクルマづくりシステムの総称。主な狙いは、
基本性能を突き詰めた新プラットフォームを世界各地で共用化する
低重心+踏ん張り感あるスタイリングで、エモーショナルなデザインとハンドリングを両立
複数車種の同時企画・開発を行い、車種間のコンポーネントの共用化率を高めて原価低減をする
などが挙げられる。TNGA以前は車種ごとに開発されていたが、プラットフォームを共通化することで低原価、短納期を実現している。
参考:もっといいクルマづくり
「TNGA」って何??トヨタの次世代車両技術をわかりやすく解説!
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■まとめ
コロナウィルスの蔓延や戦争など先行き不透明なVUCA時代において、アジャイル的な経営は必要不可欠である。トヨタにおいて「カンパニー制」は意識決定のスピード、「TNGA」は生産のスピードを向上させる役割をになっている。
トヨタのスゴイところは、このようにスピーディーな経営を進めながら同時に全方位戦略を取っているところにある。今回のクラウンでも1車種ではなく、様々なニーズに対応するよう4車種発表したり、EVでも他社がEV一択で進めるなか、トヨタはEV,PHV,FCVと全方位に広げている。「スピード」と「一点集中」が勝ち筋と言われる中、トヨタは「スピード」と「全方位」の戦略を取っている。この戦略が正しいのかは答えは歴史のみが知っている。
ちなみに「TNGA」の読み方だが、「ティー・エヌ・ジー・エー」が正解で、間違えても「テンガ」ではないことを最後に記しておく。
参考:トヨタ、新型「クラウン」お目見え! クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの4バリエーション展開