
大企業と差別化した個人ビジネスを始めよう
1.他人はSNSであなたを判断する
SNSはとても重要です。
匿名のツイッターで、ヘイトスピーチのような発言や、ひたすらご飯の写真を上げている人がいます。SNSは気分転換であり、憂さ晴らしの手段であると考えているのでしょうが、SNSをブランディングに使う場合は、大きなマイナスになります。
自分でビジネスを行い、自分のブランディングを考える場合、SNSは重要な手段であり、戦略的に活用すべきです。
昔は「自分の顔を出したり、名前を出すのは嫌いだ。自分ではなく、自分が作った商品を見てくれ」と言っても許されました。それが許された理由は、商品を問屋や小売店に納めるだけで、自分は顧客と接する必要がなかったからです。
ある意味、生産者は自由でした。仕事以外は、何を言おうと、何をやろうと構わない。評価されるのは仕事だけです。流通構造が生産者を守っていたのです。
しかし、問屋が淘汰され、生産者と小売店が直接つながるようになりました。更に、インターネットで直接顧客に販売するケースも出てきた。こうなると、生産者は商品を作ることだけでなく、コミュニケーションに対しても責任が出てきたのです。
自分のイメージが直接商売に影響する時代になりました。個人のイメージが悪いと、商品のイメージも悪くなり、ビジネスが成立しません。
「個人的なこと、プライベートなことは関係ない」というのはインターネット以前のことで、現在では通用しないのです。
2.匿名で個人情報は守れない
「匿名だから、何を言ってもいい」というのも間違いです。なぜなら、匿名でも調べれば身元が分かってしまうからです。
例えば、採用試験の時に、企業が専門業者に依頼して、「SNSをチェックして足切りする」という話を聞いたことがあります。「ヘイトスピーチするような人を入社させられない」ということですね。匿名でも調べれば分かるとのことでした。
ですから、最初から匿名で秘密が守れると信じてはいけません。SNSは公的空間であり、SNSの発信は公的発信であると考えた方が良いと思います。
私自身、全て本名、顔出しでSNSに対応しています。不自由ですが、常に用心しますし、不用意に本当のプライバシーをバラ蒔くこともありません。公開していいことを公開しているからです。その上で、自分の発言には全て責任を持つ。デマや他人の悪口を流したら、訴えられるかもしれません。他人のツイートも簡単にシェアしません。他人の言うことは、一応疑ってみるようにしています。原稿を書く場合も、署名原稿しか書きません。全て自己責任という態度を守っています。
フリーランスの人間が信頼を失ったら、たちまち仕事も失います。信頼こそ個人のブランディングの基本です。
3.自分のイメージを作ること
個人のブランディングとは、個人のイメージを作るということです。自分のイメージは自分で作るしかありません。
しかし、「自分のイメージを自分で作る」ことに抵抗がある人も多いと思います。なぜなら、自分は素直に真面目に生きていく。あるいは、好きなように生きていく。それを第三者が見てイメージを決める。だから、自分のイメージを自分で作ることなどできない、と考えるからです。
確かに、学生の頃ならそうかもしれません。周囲はプライベートな友人ばかりですから、何かを演じる必要はありません。素のままの自分を出すことができました。しかし、ビジネスの世界では、政治家もタレントもアイドルもイメージをコントロールしています。素のままの自分を出す人はいません。
そもそも人間は、極端に悪い人、極端に良い人は少ないものです。ほとんどの人は長所もあるし、短所もあります。それを他人が全て理解することなどありえないし、本質を知りたいとも思いません。人は、自分が見たいものを見るし、信じたいものを信じます。アイドルや俳優も一緒です。その人の本質よりも、演じているイメージを好きになる。本当の性格が良いとか悪いは関係ありません。
そのイメージを戦略的にコントロールしていくのがブランディングです。
4.本当の自分と目標とする自分
最初に、具体的なイメージを設定しなければなりません。キャラクター設定です。自分がどんなキャラクターに見せたいのか。どんなキャラクターなら、ビジネスに有利になるのか。
ビジネスですから、プライベートではありません。あくまでオフィシャルなイメージです。そこを割り切らないと、何もできません。キャラクターを表現し、イメージを訴求する手段がSNSです。他人はSNSであなたを判断します。それ以外の方法はありません。しかし、他人に好かれようとして、自分とは全く異なる万能の超優等生を演じても、信じてもらえないでしょう。多分、嘘臭くなります。完璧な人は好かれません。むしろ、欠点もあるけど、それも含めて魅力的な人の方が好かれます。
アイドルもアニメの主人公も同じです。基本的には普通の人と主でで長所も欠点もあります。しかし、キャラクターを演じ続けているうちに、それが自分の本質だと思うようになるかもしれません。自分が設定する自分に、本当の自分を近づける。それは自分が理想に近づくことでもあります。
アイドルが好かれるのは、アイドルは「誰もが好きになっていい存在」だからです。ファンは「好きだ」と言っても否定されません。だから、安心して好きになれます。また、アイドルは本当に嫌な部分を見せません。嘘をつくのではなく、見せないだけです。ファンはアイドルの本質を追求しません。汚い部分や悪い性格を知っても意味がなありません。
個人のブランディングも同じです。見て欲しい部分を見せれば良いのであって、見せたくない部分を見せる必要はありません。
5.自分が訴求したいイメージを書き出す
自分が自分に設定したイメージをSNSに蓄積していく。あなたのブランドにふさわしいイメージを発信していく。
あなたのブランドにふさわしい食事とはどんなものか。ふさわしいインテリアとはどんなものか。どんなものに興味を持っているのか。それらをSNSで表現してください。
もし、自分をクリエイティブに見せたいなら、クリエイティブなイメージを表現すべきです。ですから、平凡な格好では伝わりにくい。クリエイティブに見えるヘアスタイルやファッションを選んだ方が良いと思います。食事も遊びもインテリアも同じです。他人がクリエイティブだと認めたいイメージに近づける。自分の本質を偽る必要はありませんが、そのイメージを作っていくことは必要です。
イメージを訴求する時に、本当の自分をさらけ出す必要はありません。むしろ、出すべきでないものは、出さないことです。それでは、どんなイメージを訴求し、どんなイメージを出してはいけないのか。それを自分で書き出してみましょう。それが個人ブランドのコンセプトになります。
6.オンリーワンであること
YouTubeには、「こうすれば簡単にお金が稼げます」という動画が沢山あります。実際に稼ぐのは難しいのですが、「簡単に稼げます」と言うと視聴者が増えます。それらのサイトで紹介している成功のコツは、「売れてる人の真似をする」こと。これはアパレル商品にも共通しています。売れる商品をコピーすれば、ある程度は売れます。「売れ筋を追いかける」のは、アパレルビジネスの基本です。
しかし、この手法はブランディングには使えません。ブランディングで最も重要なことは差別化です。他人の真似でブランド価値は生まれません。ブランディングでは、平均的に人気を獲得しても意味がありません。売れ筋の商品を揃えているだけのブランドに、ブランド価値はないのです。オンリーワンでなければ意味がありません。そして、少数でも熱烈なファンを獲得することです。最初は、少数でも影響力のある尖った人がいいでしょう。そこから、ジワジワとファンが拡大していくからです。最初からち一般受けするものを出すのはマイナスです。特徴が出ません。
オンリーワンと言っても、強い個性と弱い個性があります。同じ石膏像を見てデッサンしても、みんな微妙に顔が異なります。その意味では、誰でもオンリーワンです。しかし、それを一言で相手に伝えることができるでしょうか?
オンリーワンの要素を整理して「私のオンリーワンはこれだ」と言えることが大切です。非常に強い個性で悪目立ちするものは、ビジネスに向いていません。アートなら良いのですが、ファッションには難しい。やはり個性と良識、あるいは個性と知性の両方の要素を持つことが必要です。
7.個人ビジネスの基本はブランディング
「自分のやりたいことをやればいい」と言う人もいますが、そのやりたいことが顧客の役に立つことが条件です。自分が作りたいものを作って、「あ、それ私の欲しかったものです」いう人が出てくれば、ビジネスになります。
その延長として、世の為、人の為という「公益になること」は誰も反対できません。世の為、人の為になることを一生懸命やっている人をみたら、応援したくなるし、共感してくれます。それは最終的に顧客の利益にもつながるからです。好きなことが、公益につながっていれば、みんなが応援してくれて、そのビジネスも成功する。WIN-WINの関係になります。
だから、「自分のやりたいこととは何か」を客観的に整理する必要があります。言い換えれば、「自分が理想とする世界とはどんな世界か」ということです。理想とする世界を実現するために、こんなサービスや商品が必要です。あるいは、こんなお店が必要です、というと説得力が出ます。
単純に「私は好きなものを作りたいんです」と言っても、「勝手に作れば」ということになります。それを応援する意義がありません。しかし、好きなものが個々の顧客の利益にもなるなら応援したくなります。
これが、ブランディングのコンセプトになります。あなたが作りたい世界観とそれを実現するサービスや商品。そして、それが社会の利益にもなり、顧客の利益にもなること。
理想を語るのは意外に難しいものです。ですから、理想を語る人の周囲には人が集まります。その理想に共感できれば、協力したいと思います。ブランディングとは、理想の旗を掲げ、それを実現するための活動かもしれません。理想を馬鹿にしてはいけません。お金を儲けたいというだけのビジネスに誰が共感するでしょうか。
個人ビジネスの基本はブランディングなのです。