大阪市立大学(商学部)の魅力
母校大阪市立大学が去年140周年を迎え、来年には大阪府立大学と合併し、大阪公立大学が誕生するので、今回は思い出を振り返りながら母校の魅力について書いてみたいと思います。より多くの方に大阪市立大学(以下、市大)について知ってもらいたいし、大学選びで悩んでいる方にはぜひ参考にしてもらいたいです。
大学の歴史
市大の歴史は1880年に偉大なる五代友厚氏らによって大阪商業講習所が創立されたことに遡ります。その後1920年代に当時の大阪市長である關氏らのご尽力により大阪商科大学が誕生します、そして、1949年には大阪商科大学の他に工業専門学校や女子専門学校が加わり、総合大学である「大阪市立大学」が発足しました。
詳しい歴史に関しては大阪市立大学のホームページをご覧ください。
商学部
次に自分の出身学部である商学部について紹介します。国公立大学で「商学部」という学部がある大学はかなり少なく、多くの場合は経済学部の中に商学が含まれていると思います。ですが、市大では商学部と経済学部が分かれており、自分のイメージでは商学部は「企業」の活動に注目して経済を考えることに重点を置いており、企業の方に実際に講演に来ていただくという講義もけっこうあり、個々の企業に着目した講義も多いです。市大はもともと商業講習所で、そして商科大学でもあったので、「商学部」は市大の筆頭学部と言えます。
大学2回生まではコースがわかれておらず、必修科目を取得することになりますが、3回生からはそれぞれ自分が興味のあるコースを選択し、ゼミ活動がスタートします(ゼミに入り、卒論を書いて卒業する人がほとんどですが、僕のようにゼミに入らず、卒論の代わりに講義を多くとって単位取得して卒業する人もたまにいます)。
また、商学部の教授は基本的に学生思いで、講義でも学生がどう思っているのかを発表する機会を与えてくれる先生がけっこう多かったなという印象です。
詳細についてはホームページをご覧ください。商学部のカリキュラムは僕の時代(2015年入学)から結構変化していると思いますのでご注意ください。
環境(勉強、学生、他学部との交流、キャンパスなど)
勉強
あくまで個人的感想ですが、大学ではしっかり勉強しようという人と、とりあえず単位が取れればいいという人とに分かれており、結構温度差はあるなと思いました。類は友を呼ぶとはまさにそのとおりで、自分は1回生の頃から一番前の席に座ることが多かったのですが、そうすることで近くに座っているユニークな人と友達になることができ、自分も頑張ろうと思えました。また、前の席に座ることで、先生と交流することができ、その分色々勉強になる機会をいただけたと思っています。
商学部に関しては必修科目が少ないので、かなり自由に講義を取ることができ、色々な分野について広く浅く学ぶことができます。思い出に残っているものとしてはある授業では、自分が調べたことを100人くらいの生徒の前で発表する機会が何度かあったのですが、緊張はしましたが、いい経験になりましたし、話を聞いてくれている人もいるとわかり、嬉しかったです。自分が考えたアイデアは自分の中だけに留めておくのではなく、外に向かって発信することが大切でと学びました。また、商学部の講義の特徴として、実際に企業で働かれている会社員の方や公認会計士の方が講演に来てくれることもあり、授業の後にはカフェで話を聞くこともでき、貴重な体験ができました。自分が興味のある業界の方から直接話を聞けることもあるので、卒業後の進路を考えるのに大変役立つと思います。
学生
徳島県から市大に行ったので当初知り合いは誰もいませんでしたが。商学部の入学説明会などを通して多くの人と交流することができました。個人的な印象としては、大人しいですが、話してみると頭がいいなと感じる人が多数でした。また、いい意味でかなり特殊な能力の持ち主で、情熱的で、周りの人を少し強引ですがしっかり引っ張っていく力のある人たちに出会うことができました。商学部の講義や少人数ゼミナールでかれらを見たときは「すごい人がいるな、自分も頑張ろう」と思うことができ、一見話しかけにくいのかと思っていましたが、実際に話してみると、色々共通の話題もあるし、魅力的な人たちだなと感じました。このような人たちと10年後くらいに会って話せたら楽しいだろうなと楽しみにしています。
他学部との交流
他の国公立大学と比較して、市大のいいところを挙げるときに、まず思いつくのが、他学部の学生と交流しやすいことです。医学・看護系の学部を除き、他の学部は全て杉本キャンパスに集中しており、キャンパス自体が小さいので、食堂や移動中に他の学部の人と会うことも多いです。商学部の学生でも、経済学部など他学部の授業も一部受講可能で、自分も実際に経済学部の授業をいくつか受講したことがありますが、他の学部の雰囲気がわかって面白いです。
また、自分と全然違うことを勉強している他の学部の友達と話すことで、こういう世界もあるのかと勉強になることが多いです。例えば、たまたま英語の授業で隣になった人はかなり特殊でした。商学部に属しているのに、自分で化学の勉強をしていて、理学部の授業にも参加しており、卒業後は大阪市立大学の理学部の大学院に進みました。彼と話していると、ある学部を選んだからと言って、その学部の勉強にとらわれる必要はなく、好きなことはとことんやればいい、と自然と教えられました。また反対に文学部なのに、ビジネスや簿記に興味があり、簿記を勉強しながら、商学部の会計の授業を受けており、今は自動車関連の企業で活躍している親友や、商学部の授業では学ばなかったプログラミングをキャンパスの外で学び、エンジニアとして活躍している親友もいます。このように割と○○学部という枠にとらわれることなく、自分の好きなことを追い求めている友達がけっこういました。
キャンパス
商学部の場合4年間ずっと杉本キャンパスになるのですが、キャンパスがそれほど大きくないので、授業の移動が楽だなと思っていました。食堂は主に3つくらいあり、その他にも売店が2つ、カフェが1つといった感じです。学校の周りにもレストランがけっこうあるので、食で困ることはありませんでした。キャンパスに関して、特徴的な点が2つあり、1つは1号館で、もう1つは学術情報センター(図書館)です。まず、1号館はかなり歴史的な建物で、レトロな雰囲気を味わうことができます。次に、学術情報センターですが、確か地下3階、地上10階で、屋上テラス付きのため、キャンパス内ではかなり目立ちます。保管されている図書の数も莫大ですし、雑誌や新聞も置かれているので、暇な時雑誌を読みに行ったり、集中して勉強したいときによく利用していました。また、1階はロビーですが、ソファーやカフェがあるので、友達との待ち合わせでもよく使っていました。
(以前はキャンパスにヤシの木がたくさん植えられており市大のシンボルでしたが、長くなりすぎたので今は切られてしまってありません。早く新しいシンボルができてほしいです。)
国際性
僕が2回生ぐらいのときにGlobal villageと呼ばれる国際交流スペースが誕生しました。ここでは週に3回ほどネイティブの先生によるEnglish Chat(たしかこういう名前でした)が開かれ、英語を話したい学生が集まって、交流することができました。また、OGM(Osaka city university Global Members)というクラブがあり、留学生と一緒に料理パーティーなどを開催していました。市大にも多くの留学生がおり、様々な国から来た人と交流することができますよ。また、交換留学のプログラムもけっこうあり、中国、台湾、韓国、フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスなどそれぞれいろいろな選択肢があり、自分が留学した時は大学から留学用の奨学金(返済不要)をもらうこともできました。
彼女とも大阪市立大学の国際交流パーティーで出会いました。あれから5年半時間が過ぎるのは早いです。
おすすめの点
市大周辺のJR線沿いの壁には「都市で学び 夢をつかむ」と書かれており、市大は大阪、関西という地域とのかかわりを非常に尊重している大学です。僕のように地方出身の方で、大都市で勉強したいと思っている方には大阪市立大学を強くお勧めします。キャンパスの立地も駅からすぐですし、ほぼ堺市やんって場所ですが、一応大阪市内で、天王寺にも杉本町からは簡単に行け、結構便利です。地方から来ればわかりますが、やっぱり大阪はいろいろな面でいい機会が多いので、このような都市で学ぶことで、多くの機会が得られます。
また、商学部に関していうと、少人数で学べる授業がけっこうあり、そこでは学生同士で意見を交換する機会が多く、また先生との距離もかなり近いです。どの学部にすればいいかわからない人には、他の大学では珍しい「商学部」をお勧めします。僕自身、高校の先生にはセンター試験の点数を見て、最初経済学を進めてもらいましたが、何となく「商学部」という珍しい学部に惹かれて、「商学部にします」と言いました。何度も繰り返していますが、学生のうちに、実際に社会に出られている方と講義を通して、交流できる機会は他の学部ではそれほど多くないと思うので、商学部はその点ですごくいいですよ。
改善してほしい点
母校に対し、もっとこうしてほしいという点が1つあります。それは情熱ややる気のある学生にもっと高いレベルの講義や機会を与えることです。商学部の授業の多く(自分はおもに金融と会計の講義を受講していました)は、基礎から入り、中級レベルかまたは上級の下の方で終わっているのではと感じました。基礎から勉強を始めることはすごく大切だと理解しています。その上で、ある講義を取って、その分野に興味を持った学生がその分野をより深く学べる場(講義やプロジェクトなど)があれば、学生のモチベーションがより向上するのではないかと個人的に感じました。
余談(海外でビザ取得)
中国での就職に関する記事で触れていますが、仕事経験がないと就労ビザを取るのは難しいのですが、大阪市立大学は中国では一定のランク以上の大学であると公式に認められているので、僕のように大学卒業後すぐで仕事経験がない場合でも、就労ビザを取得することができました。市大は日本での評価は低いですが、海外では意外にも評価されているのかもしれませんね。
卒業生として
2019年春に市大を卒業し、2年が経ちましたが、時間の流れをすごく早く感じます。一卒業生として、母校のために何ができるのか考えたときに、次の2つのことを思いつきました。一つは寄付です。僕自身在学中は、大学の様々な留学プログラムを利用し、留学しましたが、その際に大学から返済不要の奨学金をいただきました。そのような奨学金は先輩方の寄付などで成り立っています。僕も社会人ですので、自分のできる範囲から少しずつ寄付したいと思います。そして、もう一つは卒業生として、社会で活躍することで、大学の評判をあげることです。個人的には大阪市立大学はもっと評価されていいと思っていますので、何とか社会で活躍して、母校の評価をあげたいと思っています。その一環として、簿記1級に合格した経験やUSCPAを勉強していることについて、後輩または他の卒業生と共有したいです。
母校へ
来年度から大阪府立大学と合併し、大阪公立大学となりますが、大阪商科大学設立時の大阪市長關氏の「国立大学のコッピーであってはならぬ」という言葉を忘れず、日本最大の公立大学として、独自の道を歩んでいってください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回は母校大阪市立大学について僕目線でご紹介しました。ご興味のある方はぜひホームページ(こちら)をご覧ください。ほなまたな~