スロバキアの民宿は入口に鍵で途方にくれる?
安宿はアパート
雨だったので、歩いて10分ほどのところであったが、タクシーに乗った。近いのに快くOKしてくれた。着いてみるとホテルではなく数階建てのアパートであった。玄関のノブを回すがびくともしない。振り返るとタクシーは発車寸前の状態。あわてて運転手を呼び止める。彼は哀れな旅行者のために右上の壁にある居住者の名札を押してくれた。しばらくして玄関におばあさんが出てきた。初めての東欧の安宿方式に途方にくれるところであった。荷物を自分で持ち、2階の部屋に案内された。台所の隣の3畳くらいの部屋にベッドひとつと窓際に小さい机と椅子が置いてあるのみ。なるほどこれは小さい。キャリーケースとリュックは机の上に置く。いわゆる民宿である。
民宿の主人は先ほどの品の良いおばあさんで、スロヴァキア語のみで英語もだめ。2日間身振り手振りで意思を通じ合った。
荷物を置いてほっとしたところで、スープと丸い団子のような食べ物を出される。団子の中身はタネの入ったアンズで大変美味であった。
雨もあがったので地図を見ながら駅まで歩く。通り道には食堂もなく、夕食用にバナナ、オレンジ、缶ビール2本を36.5Sk(134円)で求める。
宿に帰ると間もなくこの家の息子の嫁(英語OK)が帰ってきて、おばあさんと大喧嘩が始まった。どこの国でも嫁と姑の問題があることを実感する。壁に飾ってある皿が欠けているのは嫁の仕業だと言っておばあさんはニヤッとしてみせた。
夕食は持参のカロリーメイトと先ほどの果物とビールで済ます。天井からぶら下がっている電灯が暗くて9時ごろベッドに入る。
寒さに震えながらスケッチ
8月4日(日)曇り時々雨。風が強く寒い。
6時起床。朝食はジャムを塗ったパン3枚とココア。明日からの旅行について調べた後、鍵を預かって10時ころ出かける。ジャンパーを2枚重ねても寒い。駅まで歩き「i」でブラチスラバ城へ行くバスを聞き、キオスクで切符7Sk(26円)を3枚買って、言われた通りに3つ目で下車したが城は全く見えない。地図を見ながら行きつ戻りつしながらやっと城への道を見つけた。
小高い丘の上に立つブラチスラバ城は、4隅に塔がありちょっと変わった城である。その原型は15世紀前半に作られたが、1811年に大火災に会い、その後修復されて現在内部は博物館になっている。城からは眼下にドナウ川を行き交う船や、対岸のオーストリアにかかる高速道路や市街が一望できる。素晴らしい眺めに寒さに震えながらスケッチをする。外側の城壁の下にはトンネルがあり市電が通っている。
城を下りると前方に中華料理店の看板が目に入り、思わず喜んで入る。
メニューがわからずマーボ豆腐とワイン1/8で196Sk(718円)でやっと冷えた体を温めてからドナウ川畔に出て85mの尖塔のある聖マルチン教会を見学。その後旧市街の入口に立つミハエル門に行く。15世紀に建てられたというこの門は真っ白の7、8階の塔で上にはさらに青銅製と思われる丸い塔が立っている。旧市街は狭い迷路のようで、日曜のためか人通りも結構多い。
雨が気になるため駅行きの市電を見つけて15時過ぎに帰る。城で買った絵はがきを3枚書く。19時、夕食をとるため近くの通りを歩き回ってようやくレストランのようなバーを見つけて入る。またしてもメニューがわからずウエイトレスが2、3人交代してやっと魚料理を見つける。30分ほど待って出てきた料理は25cmほどの鱒のから揚げにポテトとトマトが一杯、黒ビール(小)で締めて157Sk(575円)。満足して帰る。スロバキアでの夜も最後となり早く休む。ビザが通過用のため、48時間以上滞在することができないのだ。