タイタニック化する日本と日本銀行③〜黒田日銀の異常行動〜自給自足カレッジ125
河村小百合さんは、その著書「日本銀行 我が国に迫る危機」の中で、黒田日銀に対して下記のようなコメントを書いています。
「毎年8月に米国のカンザスシティ連銀が主催するジャクソンホール・シンポジウムのように、主要中央銀行の首脳陣が揃って登壇するカンファレンス等で、日銀のみが登壇者のなかに含まれないケースが近年、目立つようになりました。白川総裁時代でにはなかったことです。これは、黒田日銀の金融政策運営に対する海外主要中央銀行の冷ややかな目線の裏返しであると思えてなりません。」
この冷ややかな目線の相手である黒田元日銀総裁は、では在任10年の間に何をやったのでしょうか❓
上のグラフは、主要中央銀行の資産規模の推移ですが、黒田日銀となる前の白川総裁時代までは、バブル崩壊、金融危機、リーマンショック等ありながらも、他の主要国の中央銀行と比較して、日銀の資産規模はGDP比で見て、同等か少し高い程度でした。
黒田日銀になってから(円のついているところから)突出してその資産規模を膨らませた事が、このグラフから見て取れます。
上記のバランスシートの変遷を見ると、2000年までは、中央銀行としては通常のバランスシートで、利息のつかない当座預金は、最小限に抑えられており、国債等のリスク性資産も、発行銀行券の発行残高の範囲内に裕に収まっており、健全なバランスシートだと言えます。
2005年の金融危機後のバランスシートは、ゼロ金利政策をもう一本進めて、量的緩和を世界で初めて行い、金融危機を乗り越えた後の状態です。
これは画期的で、引き締め策を取らなければいけない状況になれば、数ヶ月程度のタームの買入手形を戻せば、余剰となっている当座預金残高もすぐに減らせてバランスシートの正常化が行える限度に保たれています。この日銀の始めた量的緩和策は、効果ありという事で、リーマンショック後に欧米でもその手法が用いられています。
問題は、2012年のアベノミクス以降に黒田総裁が行った異次元緩和による日銀のバランスシートの急激な拡大です。
上のグラフを見ると、2022年9月末には546兆円もの国債を、当座預金という形で借金をして買っています。
この546兆円は、政府の国債の総発行残高の半分以上に当たり、異常なまでの膨張ぶりです。
ここまで中央銀行がバランスシートを拡大させるのは前代未聞で、黒田総裁は出口戦略について何度聞かれても、答えるのは時期尚早であるとずっと説明責任を回避して来ていて、説明しないまま退任してしまいました。
これから金利を引き上げたい(国債価格を下げたい)ので、民間銀行の皆さん、私の持っている国債を今の値段で買ってください、と日銀は言えるのでしょうか❓
インフレの火を消す為に金利の引き上げをする必要性に迫られても、自ら債務超過になる覚悟をしないと出来ない状況の様に見えます。
FRBは、この1年、インフレを抑える為に急激な政策金利の引き上げを行っています。足元の短期金利は5.5%まで引き上げられていますが、FRBは当座預金に付利する事で、この金利の引き上げをやっています。
日銀の場合は、河村百合子さんの本の表紙にもあるように、5%どころか、1%上げただけで、2年で債務超過になってしまいます。
前回二回のブログで財政破綻したら、どうなるのかというケーススタディをやりましたが、これからは自分の身に置き換えて、そうなった場合に備えて今何が出来るのかを考えて、準備をしておく必要があると思います。
終戦後の狂乱物価の時に平気で暮らせていたのは、農家です。
当時の農家は自給自足しながら生活をしていた家族が多く、また日本人の半分弱が農家だったので、財政破綻してもかなりの割合の人が貨幣経済に依存せずに生きていました。
今は農家の割合は人口の1%程度で、その農家の大半もモノカルチャー的な慣行農法による農業を営んでいるので、貨幣経済に依存した形になっています。
自給自足カレッジでは、無肥料無農薬、自家採種して米や野菜を作る事を学べるので、貨幣経済に頼らずに生きる術が学べます。
自然と共生しながら自立した生き方を志向する方は、自給自足カレッジの無料体験会に参加してみてください。
8月以降でも、第一第三週の週末(土曜日曜)に開催されています。
次回以降では、
8月・・・ 19日(土)・20日(日)
9月・・・ 2日(土)・3日(日)・16日(土)・17日(日)
10月・・・7日(土)・8日(日)・21日(土)・22日(日)
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https://self-sufficient-life.jp
自給自足カレッジ
小柴正浩