菌とキノコと農業の関係〜自給自足カレッジ69
「素晴らしき、きのこの世界」という本について、ここのところ書いていますが、今日は、菌とキノコと農業の面白い関係性について、書いてみたいと思います。
キノコを生み出す菌類は、三つに分けられるそうで、腐生菌(分解生物)、菌根菌、と内生菌になります。
腐生菌は森の切り株によく見られますが、倒れた木や葉などを分解して、その栄養素を獲得し、それを植物にも提供しながら、資源循環の役割りを担っています。キノコは、その菌のネットワークを広げる為の生殖器官といえます。(昨日の自給自足カレッジ68を参照)
サステナビリティの条件の一つである循環性を成り立たせている大事な役割を、この腐生菌が担っていると言えます。
2番目の菌根菌は、植物と共生しており、植物が光合成で獲得した糖を植物から貰いながら、逆に菌根菌は植物にチッソやリン等様々な栄養素を提供しています。
この菌根菌の地下ネットワークは、土壌を安定させることにも役立っています。菌類はグロマリンという粘着性のある物質を出して、土壌粒子を接着して、土が団粒構造をつくり、水捌けもよく、保湿性も兼ね備え、菌類と植物の根の共生関係も成り立ちやすい環境を作り上げています。
三つ目の内生菌は、もう一つの共生菌で、植物の細胞と細胞の間に棲息しています。
捕食者を撃隊して植物を守る内生菌や、暑さ寒さに対するストレス耐性を提供している内生菌等が科学者に発見されています。
例えば、仔馬がウシノケグサの特定種をはむと病気になる可能性がありますが、これは共生している草を守る為に、ウシノケグサに内生している菌が、捕食者である仔馬に食い尽くされないように防御している、といった事が分かっています。
ここで、農業とこれらの菌との関係性を考えてみたいと思います。
本では、土を耕したり、肥料をやる、農薬や殺菌剤を撒く、と言った世界中のほとんどの農家がやっている事(日本でも98%の農家は慣行農法でこれをやっています)は、この植物と菌との共生関係を壊す事に繋がっていると下記のように書いています。
「森林における菌根ネットワークの役割に関しては多くの意見があるが、これらのネットワークは農業にとっても重要である。 菌類ネットワークが樹木に栄養素を提供しているのと同様に、農業環境の菌類も畑や庭の植物に栄養素を提供している。 だが、畑を耕すと、 菌類ネットワークは破壊され、 菌類から水や栄養素などを得ている植物を弱らせてしまう。また、肥料をやると、 植物は菌類からリンなどの生存に不可欠な栄養素を受け取る必要がなくなるため、交換物である糖の提供が停止し、 菌類が減少してしまう。さらに、 農地に散布される殺菌剤は、抗生物質が私たちの体に及ぼす影響と非常によく似ている。 つまり二次的な被害があるということだ。 一部の菌類が植物に害をもたらすことは事実であるため、病原菌を殺したくなるかもしれないが、かえって有益な菌類まで殺してしまう可能性があるのだ。 したがって、干ばつやその他の環境上の脅威が作物に及ぶ場合、 耕作で破壊されたり、 殺菌剤で弱体化されたりした菌類ネットワークは、植物をサポートしたり、土壌を安定させたりすることができなくなってしまう。これが、アメリカ農務省(USDA)が不耕起栽培機械で農地を耕さない栽培方法を推薦する理由のひとつである。」
自給自足カレッジでは、無肥料無農薬で野菜やお米を作る事を学べます。生態系ピラミッドを支えてくれている菌糸類との共生関係を取り戻し、農薬や殺菌剤を使わないで作った、自らの健康にも良いお米や野菜を、次世代の子供達に残していきませんか。
是非一度、VISON農園の無料体験に来てみてください。
5月にも、本格的に自給自足が学べる講座が、毎月第一第三週の週末(土曜日曜)に開催されています。
5月以降は、5月6日(土)・7日(日)・20日(土)・21日(日)
6月・・・ 3日(土)・4日(日)・17日(土)・18日(日)
7月・・・ 1日(土)・2日(日)・15日(土)・16日(日)
今まで経験した事のない新たな経験や発見があるものと思います。
下記は、自給自足カレッジの紹介ビデオです。
見ていると気持ちが何となく落ち着いてくる気がします。
YouTube動画(3分)
https://youtu.be/IQPWF9KBu00
体験会等について詳しくは、下記のホームページをご覧ください。
https://self-sufficient-life.jp
自給自足カレッジ
小柴正浩