Spotifyのラストワンマイル
今更始めた
恥ずかしながら、今年になってから初めてSpotifyを使い始めた。
いわずと知れた世界最大手の音楽ストリーミングサービス。
個人的には避けていたわけではなく、使う機会が全然なかっただけなんだけど、コロナの影響で自家用車移動が増えたこともあって、「運転の友」を探していたところ、友人に教えてもらった。
Spotifyは運転中のベストパートナー
フリープランだとバックグラウンド再生ができないYouTubeに不満を抱えていた僕としては、Spotifyはストライク(本当に今更だが)。
レコメンドが勝手に流れていくため、CDやスマホに落とした曲に比べ、選曲の手間が省かれる分、運転中のわずらわしさが激減する。
またAmazon musicに比べて、格段に音がいい(Amazonは通常のプライム会員だと文字通り耳を疑うレベルで音が悪い印象)。
Podcastも聞けるし、Googleアシスタントでの操作もできるので、運転中のベストパートナーとなっている(あとは、Google アシスタントがJ.A.R.V.I.S.ばりに賢くなってくれるのを待つのみ)。
母にSpotifyの使い方を教えてみた
ところで、僕の母は洋裁が趣味(あと当社の製品の一部もつくってくれている)で、よく夜中にミシンを触っている。
作業中、大瀧詠一なんかを結構なボリュームで鳴らしているわけだが、数年前に弟が(そそのかして)買ったWALKMANに曲をダウンロードするのが面倒になったらしく、僕に相談してきた。
そこで早速、Spotifyだ。
最初に使い方をレクチャーすると、あとは勝手に楽しみ始めた。70歳近いおば(あ)ちゃん(最近孫ができた)でもすぐに使えるようになるUIは素晴らしいね、Spotify。
今では、弊社のタイ製ウッドスピーカーで、夜中から早朝にかけて、大瀧詠一を爆音で流している。
布教の連鎖
そんなこんなしていると、おもしろいことが起きた。
母が洋裁仲間たちに、Spotifyを布教し始めたのだ。
現在では少なくとも3-4人のおばちゃんたちが、Spotifyをほぼ毎日使っているらしい(もちろんフリープランだけど)。
これっておもしろい。
おばちゃんの近くの誰か(今回は僕)が、「ラストワンマイルの一押し」を、ちょっとしてあげるだけで、あとは勝手に広がっていくわけだ。
僕の周りには「使ったことない」っていう人が結構いるんだが、こういうひとおしをしてくれる人がいるなら、Spotifyの市場はまだまだ広がる。
ちなみに、2020年時点で、全世界のSpotifyユーザーが3億人(参考:CNET NEWS 「Spotify、有料会員数は1億3800万人に--総会員数は3億人に迫る」)なのに対し、スマホユーザー数は43億人(参考:総務省「携帯電話の全世界への普及」)。
そもそも彼らのコンテンツである音楽に国境は(小説や映画ほど)ないので、彼らの優れたUIがあれば、彼らのユーザーが増える余地はまだまだある。
誰がフランシスコ・ザビエルか
それだけSpotifyのUIが優れている、ということももちろんあるけれど、この「ラストワンマイルのひとおし」を如何に託すか、ってすごく重要なカスタマージャーニーの設計だ。
思えば、Slackやchatworkはおろか、FBメッセンジャーやGmailさえ使えないおじいちゃんたちも、なぜかLINE(とキャリアメール)は使える。これも、「最後のひとおし」(家族や、キャリアの販売店店員とか)の設計と無関係ではないのだろう。
かつてイエズス会が、その発祥の地から遠く離れたアジアや新大陸において、たとえ部分的ではあってもキリスト教の布教に成功したのは、その教義の「良さ」だけではなく、フランシスコ・ザビエルたちのような宣教師を「うまく」送り込んだからこそに違いない。
新たなwebサービスやアプリをつくるにしても、「誰がザビエルか」は実は見落とされがちで、でもだからこそ重要な「理想と現実」の接点なのだと、Spotifyを通して考えさせられた一件だった。
結論。
Spotifyいいよ。
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