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【雑記】ニッポンおもひで探訪、カルマの木、祓除etc.

ここ2週間ほど突然(というわけでも実はないのだけれど)モキュメンタリー番組がプチブームである。

ニッポンおもひで探訪

結果的にその口火を切る形になったのは11/20(月)深夜にNHKのドキュメント20min.枠で放送された『ニッポンおもひで探訪』

てれびのスキマさんが放送直後に素晴らしいレビュー記事を書かれている。

自分もこの記事で知ってTVerで観た。

この企画が面白かったのは「モキュメンタリーを作ることそれ自体が目的・ゴール」になっていること。
モキュメンタリー、すなわちフェイク・ドキュメンタリーは文字通り「フェイク」なわけだから観客や視聴者を騙すことが本来の目的である。
「騙す」という表現がアレなら「ドキュメンタリーだと思って観てたら実は…!と驚かせる」と言い換えよう。

この『ニッポンおもひで探訪』は今は無くなった村の文化や風習を当時の村人の方々が再現して映像に残すというもの。
番組前半で俳優の宍戸開が訪れた村は実は再現されたものだったというのが大まかな構造である。
つまり視聴者を騙す・驚かせることは作り手にとって主目的ではない。
この点がとても新鮮だった。
言ってしまえば「モキュメンタリーを作る過程を映したドキュメンタリー」みたいな。

これと非常に近い趣向だったのが12/1(金)深夜放送の『るてんのんてる』のドキュメント_プランB

番組前半は叶えられなかった夢をモキュメンタリーで、後半は実際の人生をドキュメンタリーで見せるという構成。
出演者は芸能人ではなく一般の方。
これもモキュメンタリー部分は別に視聴者を騙す目的ではなく(もちろんそのサプライズ要素がゼロとは言わないが)かつて叶えたかった夢を体験してみて、そして現実の人生に帰っていくという構造それ自体がゴールである。
モキュメンタリーを経由したドキュメンタリー。

ちなみに来週12/8(金)の回はこの企画の第1弾(今年の7月放送)を再放送する模様。

カルマの木

さて「プランB」というタイトルから連想されるのが11/25(土)の深夜にテレ東で放送された『カルマの木 verseB』

番組はスタッフが呂布カルマを探している映像から始まる。
しかし、道行く人はなぜか誰も呂布カルマを知らない。
「どこにいるか知らない」という意味ではなく「呂布カルマ?誰それ?」とみんな言う。

すると場面は切り替わり、外見が呂布カルマそっくりの三島裕也(呂布カルマの本名)という売れない漫画家の自撮りドキュメンタリーに。
試みとしてはバカリズム脚本のドラマ『かもしれない女優たち』に近いか。

「???」となりながら事の次第を見守っているとあるアイテムが画面に見切れたところで番組は終わる。

そもそも密着取材中に呂布カルマを見失ったって何だ?てかこれがverseBならverseAはどこにあるんだ?と思ったら、verseAはYouTubeで配信されている。

この2つを見ながらverse=世界線や多次元宇宙(今流行りのマルチバース)の考察を楽しむ作りになっている。
つまりモキュメンタリーよりは考察ドラマに近い。
モキュメンタリーと考察要素の相性は昔から良いし。
『放送禁止』シリーズとか。

ところでこれクレジットに日本経済新聞が入っていて驚いたら、なんとNIKKEI RAP LIVE VOICE 2023のタイアップ的な企画w
外側の構造も面白い。

祓除

外側の構造も面白いモキュメンタリーといえばテレ東の大森時生プロデューサーを外すわけにはいかない。

今年は『SIX HACK』で遂に会社から怒られたと思ったら、それも最初から織り込み済みだったというモキュメンタリー検証VTRが配信されて度肝を抜かれたわけだが、またまた凄い企画をやってくれた。
ただ、残念ながら私は祓除のイベントには参加できなかったので本作を完全に楽しみきったとは言えない点は先に開示しておきます。

横浜赤レンガ倉庫で開催されたリアルイベントを事前番組と事後番組で挟む構成。
もうこの時点で巻き込み方がハンパない。

リアルイベントで生まれた謎が事後番組で解明されていくという構造になっている。
「モキュメンタリーを作ろうとしたスタッフ・出演者がトラブルに見舞われ、それを検証していくドキュメンタリー」という体裁のモキュメンタリー。
いやはや複雑w
大森Pも本名顔出しで登場して「イベントの裏で何が起きていたのか?」を追う検証ドキュメンタリーなのだが、それがフェイクというw

1つ目のモキュメンタリー(イベントの開催)が目的・ゴールどころかフリになっているという点で『ニッポンおもひで探訪』や『ドキュメント_プランB』とは大きく毛色が異なる企画である。
(念のため書くが、どちらが凄いとかっていう優劣の話ではない)

大森P、いよいよ『容疑者、ホアキン・フェニックス』の背中が見えてきた感が。

2年に及んでメディアと世間を巻き込んだ本気の悪ふざけ。
まぁこれを地上波テレビでやったらさすがに炎上どころでは済まないと思うが…w
ちょうどこれを書いてる翌日にホアキン・フェニックス主演の映画『ナポレオン』を観る予定なので思わず連想してしまいました。

恋するシナリオ

最後はおまけ的に。

ラブ・モキュメンタリーを謳う本作だが、36歳のおじさんである私は正直そこまで熱心には見ていない。
まぁ作り手としても「お前は別に客層じゃないよ」って話だろうけどw

見ながらゼロ年代にヒットした『未来日記』というテレビ番組を思い出していた。
(正確には『ウンナンのホントコ!』という番組の中の企画)
同じ頃にこれまたTBSでやっていた『恋するハニカミ!』という番組もABEMAの『私たち結婚しました』にコンセプトが引き継がれている。
これらはモキュメンタリーとはまたちょっと違う気もするけど、需要はいつの時代も変わらず存在しているんだなと。

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