【感想】水曜NEXT!『バイきんぐ小峠の今夜もグダグダ気分』
これまた随分とサムネの画質が粗い…w
だが、実はこれにもちゃんと意味というか事情がある(後述)
フジテレビの実験室のように毎週色々な30分深夜番組が放送されている水曜NEXT!枠。
ちょうど先日はテレビマンとしてはベテランといっていいだろう木月洋介が手がけた『バチくるオードリー』について書いたばかり。
今回の担当は入社2年目という同枠史上最年少の原田和実ディレクター。
何とこの番組が演出デビューだったらしい。
(余談だが最初「はらだかずみ」さんという女性の方だと思っていて「乃木坂46の高山一実が卒業した週にデビューとは巡り合わせを感じるな」と勝手にストーリーを思い描いていたら読み方が間違っていたw)
番組は小峠と原田Dの打ち合わせ映像からスタート。
この番組の肝はここ一点勝負。
「事前収録済みVTRのひな壇に対してMCが台本通りに進行したらトーク番組は無事に完成するのか?多分そんなわけないだろうけど」というものである。
ちょっと三谷幸喜か上田慎一郎が監督・脚本のコメディ映画でありそうな設定。
ただ、こうもしれっとスマートにやられると「リモート収録に一つ捻りを加えましたって感じで何か誰でも思い付きそうな企画だよね」と思われてしまうかもしれない。
だが、実はなかなかどうして凄いことをやっている。
近い試みといえば2021/2/3(水)放送の『水曜日のダウンタウン』
ナダルに対する1週間予告ドッキリの中で「リモート打ち合わせの相手が事前に収録したVTR」というのを敢行していた。
ちなみにナダルは「話の通じないディレクター」と判断して態度が超悪かった上にドッキリと見破れずw
あとは2017/11/22(水)放送回の「やり込んだネタなら、ボケとツッコミ別撮りでも成立する説」も、これは映像同士を合わせるという試みだけど近いっちゃ近いか。
いずれもParaviで見れます。
(ParaviのURL貼ってもサムネイルやタイトルが上手く展開されないな…)
あと上で「コメディ映画にありそう」と書きましたが昨年6月に放送された日テレの単発ドラマ『ダブルブッキング』にそういうシーンありましたね。
これなかなか良く出来た佳作でした。
要は構造的な面白さで勝負するタイプの企画。
そういう意味では藤井Pが評価しているのもむべなるかな。
ただ、このひな壇VTRがなかなかの曲者で、あまり自由奔放にボケすぎると「それならゴッドタンの大声クイズみたいにスタジオに全員揃えて小峠の反応を見て適宜軌道修正しながらボケた方が面白いんじゃないの?」となってしまう。
かといって本当に台本通りにやっても「おぉ!相手は収録済み映像なのに会話が成立した!」という面白さは繰り返す内に徐々に減衰してしまう。
VTR映像であることの意味は残しつつツッコミの余白も作るという非常に難しいバランス。
前例が無いので成功・失敗を判断する基準が自分の中に無く何とも難しいのですが、あのVTRはその辺りかなり上手くいっていたと思います。
さらに、ひな壇VTRを撮ったとしても肝心なのは小峠を呼んだスタジオパート。
小峠がどう出てくるかはぶっつけ本番なわけで、どこまで想定・準備してたのかは分からないけど『キス我慢選手権 THE MOVIE』みたいなシミュレーション思考が要求されたのではないかと思う。
(さすがにこれよりは小規模だとは思いますが)
勢い任せに「藤井健太郎×佐久間宣行」と書こうと思ったけど、さすがにそれはちょっとまだ早計かw
(誤解の無いように言っておくと、こうやって長々と駄文を書いているぐらいなので大いに期待しております)
佐久間Pほどスタジオぶん回してない気がするし(小峠にカンペで指示を出していっそ準備してきたものを壊して企画を脱線させたりしているわけじゃない)
どちらかというと『水曜日のダウンタウン』の検証VTRに近いのかな?
「ツッコミ芸人なら映像が相手でもトーク番組成立させられる」説の検証VTRが撮られる過程を見たような感覚というか。
あそこで撮った素材を編集して(この編集こそが藤井Pの強み)さらにスタジオで松本人志はじめパネラーがリアクションすると『水曜日のダウンタウン』のフォーマットになる。
そんな原田Dにスポニチがインタビューをしていた。
なんとヨーロッパ企画が着想の源だったとは。
そういえば確かに『ドロステのはてで僕ら』はテレビ画面と会話し続ける作劇だったな。
12/1(水)からNetflixやAmazonプライム見放題に追加されるようです。
ちなみに
この劇団なのかな?
ここまでずっと原田Dのことばかり書いてしまったが、小峠も丸腰で放り込まれたはずなのに見事な立ち回りだった。
映像と会話のタイミングが合った時に「いいよ!」「嘘だろ!?」と映像に向かって話しかけているのが妙におかしいw
あと「こんなの話が合うわけないだろ!」とか「スタッフ頭おかしいだろ!」みたいなメタ視点のツッコミに逃げないで最後までトーク番組を成立させるという設定を貫いたのは何気に凄いと思う。
例えば『全力!脱力タイムズ』なんかはもう手の内がバレているのでこういうメタ視点のツッコミをためらう人がいないのとは対照的。
(もちろん脱力タイムズはそこをさらに上回ろうとするチャレンジを番組側が繰り返しているのが魅力である)
見ながら思い出していたのが2019/5/29(水)放送の『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』
ゲストはテレ朝の加地倫三プロデューサー。
この企画で小峠というカードを切った用意周到さが素晴らしい…って結局また原田Dの話に戻っちゃうんですがw
12/1(水)深夜放送回も原田Dが企画・演出。
タイトルは『バカリズムの恋のお悩み解決TV』
どんな番組に仕上がっているのか。とても楽しみ。
最後に、原田Dのこの言葉が頼もしい。
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