【感想】2025年新春特番『令和ロマンの娯楽がたり』
YouTubeで公開される予定らしい未公開トークは見てない状態での感想です。
売れる最短ルート
議論の序盤で「売れるとは?」の定義の話になったのが良かった。
議論する上で言葉の共通認識を作ることは大切だ。
売れる=バイトしてない
でも「めちゃくちゃ」売れるのは超大変
ケムリが清水尋也に「エバースは売れてると思いますか?」はファン云々とか関係なく答えづらいだろと思ったけどw
そこに永野が幸福度の観点を持ち込んだのは会社員としては耳が痛いw
最近は「給料や手当が増えても多忙を嫌って管理職になりたがらない」人が増えているみたいな。
まぁ確かにオードリー若林を筆頭に「売れてテレビ出演が増えたらむしろ忙しすぎて辛くなった」と当時を振り返るエピソードトークもよく聞くもんなぁ。
結局M-1の影響力がデカすぎるというなかなか残酷な結論に。
賞レース至上主義の振り戻しがいつか来るかもと言われつつなかなか来ないもんですね。
それこそちょうど裏番組だった『千鳥かまいたちアワー』の一撃芸人オーディションなんかはそういう趣旨の企画ではあるのだけど、とはいえあそこからめちゃくちゃ売れる人が出るイメージは湧かないよなw
千鳥の番組なら『クセスゴ!』や『チャンスの時間』も賞レース的なものに対するカウンターではあると思う。
ただ、繰り返すがあの番組発でめちゃくちゃ売れる人が出るイメージ(以下略
考察ブーム
個人的にはこっちの方がより面白かった。
映画・ドラマ好きの間では数年前から起き始めていた考察ブームへの警鐘
脚本家の野木亜紀子も映画『ラストマイル』の公開時のラジオ出演の際にこう語っている。
ちょうど新春SPドラマ『スロウトレイン』の放送後にこんな投稿があってタイムリー
『THE SIGN PODCAST』でも批評家のさやわかが似た話をしていた。
だからこの手の議論をする際はまさに
感想
批評
考察
の定義や区別をしないと噛み合わなそうだなぁと思っていたら、ダウ90000蓮見が「最近言われている考察は本来の辞書的な言葉の意味から外れて予想の意味」と言及してくれる。
さらに批評と考察の違いに三宅香帆が言及してくれて痒いところに手が届く。
そういえば元日にNHKで放送された『あたらしいテレビ2025』で小説家の麻布競馬場がこんなエピソードを話していた。
そもそも批評と冷笑は別物(麻布競馬場ではなく彼が話した大学生の中での言葉の定義だけど)というのは一旦置いておいて
批評=対象から一定距離を取る(≒客観的)
考察=前のめり
なのかなと。
ちなみに『あたらしいテレビ』ではファンダムカルチャー・推し文化の話題が出てたけど『娯楽がたり』にも出てきてましたね。
この辺りのセットアップはもう少し丁寧に聞きたかった気もするが、30分の放送時間を踏まえるとさすがに厳しいのかな。
言葉の定義だけで終わっちゃうしw
あと「そもそも考察は忌むべき行為なのか?」もヌルッと行った感じ。
個人的には
感想はその作品を鑑賞して感じたこと(最もカジュアル)
批評は対象の価値を評する行為なので相対化(他の作品への参照や言及)が発生
考察は1本の作品に閉じて思考をどこまでも巡らせる
というイメージ。
感想の「なぜそう感じたのか?」を深掘りすると批評に近付いていくが、考察は全く別の筋肉が必要な気はする。
なので自分は批評の真似事ぐらいなら出来たとしても考察は全く出来ないと思っている。
あとは「結末を知りたい」というファスト映画や倍速視聴に通じる演出軽視(撮影・編集・美術・音楽etc.)とストーリー偏重の香りを感じるから考察は苦手ってのはあるかなぁ。
画面内のあらゆる物を伏線だと疑って意味を見出す系も息苦しく感じてしまう。
「正解が絶対に存在する前提で、その正解を当てるべく頑張る」空気が苦手なのかな。
映画やドラマはクイズではないのだからと。
ミステリー作品は重なる部分あるけど。
映画なんて観てる間の2時間が楽しければ3日後にはケロッと忘れて、たまに一生好きになるような名作に出会えるくらいでいいんですよ。
「作者に影響を与えたい」は朝ドラの反省会ハッシュタグが気持ち悪すぎて考察云々以前に生理的に無理w
ちなみに永野が持ち込んだ野球が考察文化の元祖説は、ストーリーを司る人がいるわけではないスポーツ(サッカーでも競馬でも)の場合は純粋な予想の範疇なんじゃないかなと。
本来の辞書的な意味の「結果を分析する」という考察か。
(自分は理系なので学生時代の実験レポートでの「考察」のイメージが今でも強い)
サイン馬券予想は考察の一種かもだけどw
ラストはくるまが著書『漫才過剰考察』を書いた真の目的が明かされる展開へ。
ただ、あの本ってタイトルは「考察」だけど中身は「批評」だと思うんだよな。
で、プレイヤー自身による批評というのはまた別の論点に繋がっていくわけです。
ちょうど、いぬのせなか座主宰の山本浩貴が先月号のユリイカでこう語っていた。
このユリイカの「お笑いと批評」特集号は非常に面白いので、お笑い好きの人が読んで損は無いと思います。
ちょうど年始の『あちこちオードリー』で伊集院光がM-1審査員について語っていたことにも繋がる。
そして、売れる最短ルートは結局M-1という前半の話に回帰するわけであります。
YouTubeで公開予定の未公開トークも楽しみ。