『亜人ちゃんは語りたい』は名作
このアニメをご存知でしょうか。
女子高生の日常を描いたコメディ作品ですが、その背景には非常に深いテーマが隠されています。
舞台:
生まれながらにして「サキュバス」「バンパイア」「雪女」「デュラハン」など、一般の人類と異なる性質を持つ「亜人」が一般的に認められた世界。
なお、作中では「亜人」の読みは「デミ」で統一されている。そのため、タイトルは「デミちゃんはかたりたい」と読む。
主人公:
高校教師の高橋鉄男。
彼は大学時代から亜人に関心を持っていたが、当時は終ぞ出会えず。
30過ぎの無精ひげの一見冴えない感じの独身教師です。
物語:
高橋が勤める高校の、とある新学期。
新入生の女子3人と転任してきた女性教師の合わせて4人が亜人という、高橋もびっくりの状況から物語がスタートします。
彼女達亜人は、通常とは異なる性質・行動・容姿を持っているがために、それぞれが社会において、生きにくさを抱えています。
高橋は、そんな彼女たちと、語り合いながら悩みに答え、相談にのっていく中で、それぞれの問題に向き合っていくのです。
表面上は笑いあり涙ありの、コメディタッチで描かれています。
しかし、見えない部分で、他者への理解の大切さ、そこに至るまでの話し合いの過程や、自分と似て非なるものへの接し方など、私たちが普段何気なく行っているが、実はとても重要な事柄を教えてくれるのです。
違和感:
私たちは普段の生活の中で、無意識に自分とは異なるものへの違和感を抱えながら生きています。
行動、思考、容姿、国籍、人種などなど様々な違いを吸収しながら生きているのです。
その差異を肯定的、かつ、フラットに認めることができるならば、何ら問題はありません。
しかし、その差異を自分優位と認識してしまうと優越感が生まれ、逆なら劣等感から妬みや嫉みが生まれたりします。当然、人間関係の摩擦が発生するわけです。
精神的に成熟していない子どもたちが、間違った優越感から相手を「格下」と認識してしまった場合は、いじめに発展する場合があります。
また、大人の誤った優越感は、差別やハラスメントという思考・行動につながることもあります。
テーマ:
自分とは異なる部分を認め、受け入れ、理解することさえできれば、いじめや差別、ハラスメントのない社会にできそうなものなのですが、現実社会は高橋のような人間ばかりではありません。
高橋は、相手(亜人達)を理解しようと努めます。それでも理解できないことは放置せずに、本音で語り合い、素のままの自分でぶつかっていくことを繰り返します。
『亜人ちゃんは語りたい』は、普通に見るだけなら気軽に笑いながら視聴できます。しかし、背景に隠された深遠なテーマに気付くと、高橋が語る一言一句に深い意味があるように感じます。
それが大切なことなのだと、アニメという装置を通して私たちに教えてくれます。
見た目はかわいらしいし、登場人物は皆、愛すべきキャラクターを持っています。表面的なことだけでなく、少し違った切り口で見てみると、とても面白いアニメですから、未視聴の方は、これを機会にぜひご覧ください。