
0V1(ゼロブイワン)を作る(1)
0V1(ゼロブイワン)とは
「0V1(ゼロ・ブイ・ワン)」は、初期の真空管ラジオの一種で、シンプルな構成の無線受信機の回路名称です。「0V1」という名前は回路の構成を示しています。名前がかっこいいです。
0:高周波(RF)増幅段がない
高周波信号を受信する専用の増幅回路を持たないことを意味します。
V:1つの検波段
信号を検波(復調)するために真空管が使われます。
1:1つの低周波(AF)増幅段
検波された音声信号を増幅するための1段の低周波増幅回路が含まれます。
回路構成は、アンテナから入った高周波信号を共振回路で特定の周波数に調整し、それを真空管で検波、音声信号に変換し、そしてその音声信号を増幅してスピーカーやヘッドフォンに出力するというものです。
この0V1で使用される「再生式(Regenerative)」回路は、受信機の感度と選択度を大幅に向上させる仕組みですが、再生コイルの巻き方が感度に大きく影響します。
私も中学の時に挑戦したのですが、目当ての周波数が得られず悔しい思いをしました。当時は測定機器も持っておらず、方程式を習った程度でコイルの巻き数計算もできず致し方なかったのです。
30数年の時を経て、何を思ったかリベンジを考えました。私の中学生当時はすでにトランジスタの時代で、真空管の受信機なんて見向きもされなかったのですが、粗大ごみで捨てられていたテレビから真空管をあさり、なんとかくみ上げたものでした。
部品がない
現在もオーディオ関連の真空管など、わずかながら製造されているようですが、ほとんどの真空管は製造中止から40年以上たっています。当時集めた真空管はとうの昔に捨てられてしまっており、ネットで中古購入するしかありません。
また真空管の機器は、200V~600Vくらいの高電圧になります。このためコンデンサなどの部品も高電圧のものが必要ですが、電解コンデンサの国産品は非常に高く、高電圧のセラミックコンデンサは秋葉原でさえ探すのに苦労します。
さらにスピーカーに出力するための出力トランスも秋葉原のいくつかのお店のみです。
2018年にCQ出版社から1球式 再生受信機キット「RR-49」というキットが出ていたようです。10000円以上のキットでしたがすぐに完売したようです。思案した結果、ネットオークションで出ている真空管を使用した昔のジャンク無線機器から部品どりをして作成することを思いつきました。

VFO-1から作る
そこで、目を付けたのがトリオのVFO-1という機器です。VFOとはVariable Frequency Oscillator(可変周波数発振器)で、無線通信において周波数を可変的に発振する装置または回路のことを指します。このVFO-1は1960年代前半くらいに売られていたようです。YouTubeに以下のような動画があり、参考にしながら製作してみることにしました。
トリオ真空管式VFO‐1を改造して0‐V‐ 1に変身(宮甚商店)
真空管ラジオやアマチュア無線機自作の材料として最適なVFO(宮甚商店)