「天城山からの手紙 51話」
また台風がやって来た情報が流れてくる度に、自然の脅威をまざまざと見せつけられ、平和に過ぎ行く日常の有難さを痛感したのではないだろうか?そして、人間も自然の一部であり、そのルールには逆らえないと再認識する。台風も過ぎ去ろうとしている中、やはり頭の隅っこには、天城の山は大丈夫だろうか?あの木は無事に立っているだろうか?どうしてもチラついてしまい、足が山へ向かってしまう。台風19号通過から迎えた13日、やはり天城の様子を見に行こうかと車を走らせた。台風一過が置いていく絶景も狙いで、複雑な心境を抱えて仁科峠に向かった。しかしいざ着いてみると自衛隊のトラックが!もちろんその中を進むわけはなく災害の大変な時に”本当にありがとうございます”頭を下げその場を後にする。後にしたはいいが、諦めるわけにもいかず、迫りくる夕刻の時間にあそこなら間に合うか?いやダメだ・・・。車を走らせながらベストチョイスを練り上げていく。そんな中、台風の後なら水量も多いし観光客もいないだろうと・・・、浄蓮の滝へ向かったのだが着いてみると思惑は大外れ、中国からの観光客が台風なんて何のそのと、にぎやかに滝を囲み、大撮影会が広がっていた。さすが観光地!侮れない・・。私に残された手は、隅っこでじっと人がいなくなるのを待つだけだった。そしてそんな私に自然がくれた贈り物は、頭上の夕日に染まる雲、水面はその色を溶かし黄金の水を流す私だけの時間だったのだ。そして、今日も無事に自分だけの宝物を見つけることが出来た。
掲載写真 題名:「特別な時間」
撮影地:浄蓮の滝
カメラ:SONY ILCE+7RM3 FE24-105F4GOSS
撮影データ:焦点距離30mm F20 SS 1/4sec ISO250 WB太陽光 モードAV
日付:2019年10月13日 PM4:42