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一番泣いた本の話

こんばんは、今日もお疲れ様です。

「聖の青春 著者:大崎 善生」
私が今までで一番泣いた本です。
 有名な作品で映像化もさてれいるので、ご存知の方も多いと思いますが、とても好きな小説なのでご紹介させていただきます。

この作品は28才でこの世を去った天才棋士
村山聖さんの生涯を綴ったノンフィクション
小説です。

幼少期に患った【腎臓ネフローゼ症候群】と闘いながら、棋士の誰もが夢見る【名人位】を目指す物語で、その葛藤や支える人々の想いが
繊細な表現で綴られています。


 このネフローゼという病気が厄介で、周期的に40°を超える発熱をもたらし、体の自由を奪っていきます。
 そんな時はただじっとして体力が戻るのを待つしかなく、トイレに行く体力さえ惜しいと尿瓶を用意して布団の中で耐える日々。
 水道の蛇口を少し開けて水を出しておき、その音を聞いて自分の生死を確かめていたという
エピソードがその壮絶な苦しみを表していました。

 せっかく順位を上げたと思うと、体調を崩し不戦敗を余儀なくされる。
それでも「名人になる」という目的のために、
文字通り「命懸け」で将棋に向き合う姿に、
胸がいっぱいになります。

 ぷっくりした容姿と少女漫画が大好きで、
寝込んだ時には師匠の森棋士に漫画を買ってきてもらうという微笑ましい思い出の数々。
そんなエピソード達が、この本を一層魅力的なものにしています。

その中の一つをご紹介させて下さい。


【ある晩、雀荘にいる森棋士の前にふらっと現れ照れくさそうに報告する村山氏。】

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「20歳になれて、嬉しいんです。20歳になれるなんて思っていませんでしたから」

 そう言うと、村山は雀荘から出ていってしまった。その後も麻雀はつづいた。


 しばらくして森は気づいた。村山にとって20歳まで生きるということは大きな目標だったのである。その目標を達成した喜びを誰かに告げたくて、いてもたってもいられずに雀荘にきたのだということを。

 そうか、村山君よかったなあ。

 森は牌を握りながら、弟子に言いそびれた
言葉を何度も心の中で呟くのだった。

「聖の青春 第三章 一夜の奇跡」より

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 村山さんと師匠の想いに、どうしようもなく涙が溢れていました。

 どういった類の感情なのか上手く説明できませんが、例えば絶景を目の前した時や素晴らしい音楽を聞いた時に自然に流れてしまう涙に近い気がします。

何度も力をもらった本です。

是非読んでみて下さい!


 最後になりますが、筆者の大崎善生さんは
今年の8月3日にご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 そして、このような素晴らしい作品を世に出してくださったことを心より感謝いたします。

最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。





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