京都人が見つけた滋賀の隠れた魅力 - 音と水に癒される旅
京都に住んでいる小松は、意外と近場の魅力に気づいていないものです。そんな中、ふと思い立って滋賀県へ足を運んでみました。琵琶湖のミシガンクルーズと石山寺。どちらも有名な観光地ですが、実際に訪れてみると、想像以上の魅力が待っていたのです。特に印象的だったのは、両所で体験できる独特の「音」の世界。この 予期せぬ音の発見が、日常から少し離れた視点を与えてくれました。
京都に住む人間には、ある傾向があります。それは、あまり他府県に足を運ばないということです。これは決して「意固地な京都人」という意味ではありません。単に、京都の中心部、特に田の字地区に住んでいると、半径100メートルか200メートル以内に必要なものがほとんど揃っているのです。スーパー、銀行、本屋、商店街。すべてが徒歩10分圏内にある生活は、確かに便利です。
しかし、この便利さゆえに、京都に住む人は日常生活の中で「違和感」や「メタ認知」、つまり少し離れた視点で物事を見る機会を逃しているのではないでしょうか。そう考えた私は、最近意識的に他府県へ足を運ぶようにしています。
琵琶湖を舞台にしたアメリカンドリーム
5月の初頭の話しになりますが、滋賀県へ向かいました。目的地は二つ。琵琶湖のミシガンクルーズと石山寺です。どちらも有名な観光地ですが、実際に足を運んでみると、その良さが身に染みてわかりました。
まずは、琵琶湖のミシガンクルーズです。大津の浜大津から出航する60分ほどのクルーズで、琵琶湖南湖をぐるりと一周します。驚いたのは、京都市内からのアクセスの良さです。地下鉄東西線に乗れば、乗り換えなしで京都の中心地から浜大津まで30分ほどで到着します。浜大津駅から港までは徒歩2〜3分。この手軽さは、意外と知られていないかもしれません。
ミシガンクルーズは今年(2024年)で40周年だそうです。アメリカのミシガン州と滋賀県大津市が姉妹都市提携を結んだことがきっかけで始まったこのクルーズ。琵琶湖に全く縁のない「アメリカ」という文化を持ち込み、日本風にアレンジした新しい観光スタイルを作り出したのです。
乗船時、アメリカンな衣装を着たクルーメンバー3人が、高いテンションで出迎えてくれました。朝9時40分という時間帯にも関わらず、その元気さには驚かされます。
静寂の中で見える景色
クルーズが始まると、琵琶湖の静けさに包まれます。船の揺れはほとんどなく、後部のプロペラの動きも非常に静かです。私は丹後半島で育ったため、船のディーゼルエンジンの音には慣れているつもりでした。しかし、こんなに静かな船上は初めての経験でした。
穏やかな湖面を進みながら、近くには大津の街並み、遠くには比叡山や比良山、そして琵琶湖大橋が見えてきます。この遠近感が織りなす風景は、何とも言えない魅力がありました。
クルーズの途中、琵琶湖プリンスホテル付近で一旦停泊し、その後帰港するという、片道30分ほどの往復コースです。この時間、琵琶湖に包まれる感覚が強く、静けさの中で自分の立ち位置を客観的に見つめ直すことができました。
個人的に最も気に入ったのは、4階デッキにある望遠鏡です。高倍率のレンズを通して、遠くの電車や比叡山の展望台まで見ることができました。遠くを眺めるのが好きな私にとって、この望遠鏡は独占的な楽しみでした。
水音に包まれる石山寺
次に訪れたのは石山寺です。この季節ならではの豊かな緑に囲まれ、さらに驚いたのは至る所で聞こえる水の流れる音でした。
寺の中腹や山の側面にぽつぽつと建物が立ち、それらをゆっくりと登っていく途中、あちこちで流水の音が聞こえてきます。この水音に包まれる感覚は、京都の喧騒とは全く異なる雰囲気を醸し出していました。
石山寺が「音風景」、特に水音に包まれる場所だとは思っていませんでした。しかし、実際に訪れてみると、何とも言えない穏やかな空間が広がっていたのです。遠くの音、鳥の声、葉のすれ合う音、そして至る所で聞こえる水音。さらには滝もあり、カエルの鳴き声も加わります。
この水音が続く環境は、不思議と心に安定感と安心感をもたらします。そして、クリエイティブな思考を刺激するのです。「こんな世界観を作りたい」「こんな音楽のフレーズが浮かんだ」など、創造的なアイデアが次々と湧いてきました。
ここで初めて、紫式部をはじめとする多くの作家たちが、なぜこの地に滞在して作品を生み出したのか、その理由が実感として理解できました。このような「実感」は、情報やインターネットではなく、実際に足を運んで初めて得られるものなのでしょう。
音で包まれる滋賀の魅力
今回の旅で、滋賀県には「音」で人を包み込む魅力的な場所が少なくとも2箇所あることを発見しました。ミシガンクルーズでは琵琶湖の静けさに、石山寺では豊かな水音に包まれる体験ができます。
これらの場所には、実に40〜50ほどの「音を感じるポイント」があります。この音の魅力をもっと積極的にPRしても良いのではないでしょうか。「音でゆったりできる雰囲気」を持つ場所として、滋賀県の新たな魅力を発信できるはずです。
日常から少し離れた視点を得るためには、時には近場であっても新しい場所を訪れることが大切です。その土地ならではの「音」や「空気」を感じることで、思わぬ発見や気づきが得られるかもしれません。皆さんも、身近な場所の隠れた魅力を探してみてはいかがでしょうか。きっと、新鮮な体験が待っているはずです。
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