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AIが発達する時代には、文系や芸術の価値が上がる話

※この記事はVoicy「作曲家のひとりごと」の台本です。本編に興味のある方は、下記のラジオをご試聴下さい。
>>作曲家のひとりごと

AI 技術の発達により、今まで人間がやってきた仕事をコンピューターやロボットなどが肩代わりしてくれる時代になりつつあります。人間の労働が機械に変わっていくにつれて、今まで人間がしてきた仕事がなくなるという話もよく聞きます。

そうであれば、 AI にできない仕事を人間がすればいいだけの話です。これまで重労働とされてきた仕事が機械がやってくれるわけだから、人間にとって楽な話です。今思い出したのだけれど、丹後の実家にいた祖母が今では考えられないほどの重労働をしていました。

例えば風呂に水を入れる時。今では水道をひねれば簡単に水が溜まるのだけれども、水道がない時代は100 mも離れた井戸から水を何往復もして汲んで、湯船に入れてました。さらに薪をくべて風呂焚きをしなければなりません。

風呂焚きは、僕も高校生の頃までよくやっていました。1980年代後半の話です。今思えば、薪をくべる時の独特の感触というのは、心の癒しになっていたとは思います。でも当時はすべき仕事がたくさんありすぎて、可処分時間がほとんどなくなっていたという大変な時代だったのです。

人間を苦しめるフィジカルな仕事はなくなる方が幸せです。逆に人間でないとできない仕事は、何かのビジョンを確立したり、人間の未来をどうしたいかと言った動機づけのようなものではないでしょうか。あるいは、奇想天外な発想を表現する芸術をはじめとしたオリジナリティー溢れる自己表現は、 AI にはできないことでしょう。

医療分野でおいてさえ、画像認識処理やロボットの高度な技術革命によって、複雑で繊細な手術の大半を AI がやってくれます。すでに無人の自動車運転も普及しているし、コンビニでは顔認識によって会計を済ませられつつあります。これらの分野を大学の学部にあてはめてみると、理系の応用分野に合致します。ある程度のところはAIが肩代わりできる=代替可能な学問分野と言えるでしょう。

逆に、 AI が補いきれない学部は、文系や芸術系です。人間の複雑な歴史や行動パターンを元にした社会調査は AI ではできません。人の心を感動させたり、意外性を与えるような表現を突き詰める分野も AI ではできません。悲しいことに、文系学部は国からの予算が削減されたり、理系よりも人気のない学部として世間一般に認識されています。

目先だけの利益やニーズに囚われて学部を選ぶのは、もったいない話です。理系に行くのはよくないと言う話をしているのではありません。 科学技術の急速な変化に敏感になり、短期的な局面を見るのではなく長期的な展望を見据えた上で、これから先に価値を高めそうな学部や学問領域を選ぶことが重要になるのです。

自分の強みは何なのか、人とは違う特徴は何なのか。それを強く意識することが、10年先の自分を生きやすくする術なのかもしれません。 これまでの常識や世間体だけで物事を決定するのは不利な時代になりました。最後のところはインディペンデントな感覚になって、自分の頭で考えてみましょう。

※この記事はVoicy「作曲家のひとりごと」の台本です。本編に興味のある方は、下記のラジオをご試聴下さい。
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小松正史
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