作曲界・音楽教育界の大巨匠、逝く。
※この記事はVoicy「音ってすごいね。」の台本です。本編に興味のある方は、下記のラジオをご試聴下さい。
>>音ってすごいね。
■テーマ
音楽界・音楽教育界の大巨匠、逝く。
■背景のツイート
サウンドスケープという発想はまず行政分野で反応があり、現在では音楽の分野のような誤認で広がった。提唱者のシェーファーの死去に伴い、サウンドスケープ(音の風景)という概念の原点(原典)に還る必要があるのでは、と思う。
https://twitter.com/masafumikomatsu/status/1428184324801667073?s=20
■マリー・シェーファーについて(1933-2021)
・カナダの作曲家であり、音楽教育家
・一番の業績は「サウンドスケープ(soundscape)」の提唱者
・作曲家(音楽家)にとどまらない幅広い音活動をしたことが特徴
■マリー・シェーファーから受けた影響
・じぶんの人生を大きく変えた人(サウンドスケープの言葉を知る)
・音を聴く行為の原点を思い知らされる
・教育、学問、デザインの3分野を循環することの大切さ
■サウンドスケープを知った頃のじぶん(大学4年の頃、1993年)
・農学部(材料施工学)で、景観についてのフィールドワーク
・見た目の景観分析に行き詰まりを感じていた
・視覚以外の「身体感覚」に意識を研ぎ澄ます重要性を知る
✓農学部に居ながら、音を扱うことの居心地に悪さと奇抜さを知る
✓もともと音楽演奏をやってきたので、サウンドスケープで開眼!
✓賛同者が日本にすでに居た(1993年に日本サウンドスケープ協会発足)
→のめり込みすぎて、進路を大幅に変更(大卒一般職→大学院(農→音楽→工学)
✓というわけで、まとめ
・マリー・シェーファーが編み出した「サウンドスケープ」という概念の強烈さ
・じぶんの人生が大きくかわる
・もともと大切と感じていたモヤモヤを「言葉」にしてくれた功績
■サウンドスケープが誤解を招く言葉に
・サウンドスケープ=よい音という誤認
→本当には、音と風景を同時に知覚する現象(インプットの知覚過程)
・サウンドスケープ=社会運動という誤認
→日本に概念が輸入されたとき、行政がらみ(騒音公害の改善)の色が濃かった
・サウンドスケープ=音楽のジャンルという誤認
→空間系/アンビエント系の音楽の種類として浸透してしまう
■今こそ、サウンドスケープの原点に立ち還るべき
・音と風景を知覚する段階の言葉:感覚情報のインプット
・サウンドスケープから刺激を受けての活動:感覚情報のアウトプット
→サウンドスケーピングという「何かをする行為の段階」
・サウンドスケーピングには「音育」「音学」「音創」の3領域がある
✓ということで、まとめ
・シェーファーの死去に伴い、今こそサウンドスケープを再認識すべき
・難しいことではなく、1人ひとりの生活の中で気づき、実践
・シェーファーからもらったことは「注意深く、面白い音を探そう!」
✓サウンドスケープ関連の書籍が日本一多い小松本のリスト
・小松正史『サウンドスケープの技法―音風景とまちづくり』(昭和堂、2008年)
・小松正史『サウンドスケープのトビラ―音育・音学・音創のすすめ』(昭和堂、2011年)
・小松正史『人と空間が生きる音デザイン』(昭和堂、2020年)
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