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2日目(Permaculture Tour)

2日目は、海さんの「NVC(非暴力コミュニケーション)」のワークからはじまりました。

3人1組でわかれて、NVCのニーズカードを広げます。

まずは、1人の人が1分でいまの自分にとって大切なことを話します。
海さんは「できるだけあまり普段話せないようなことだったり、解消されずに残ってるようなこと」といったことを言ってました。
明るい話や嬉しい話は、普段からよく話せて共感も起きやすいけれども、暗い話や重めの話はあんまり普段の会話で話されなかったり、共感されなかったりすると言ってました。

話し手の人が1分で話したら、3分くらい時間をとって聞き手の2人はその人の奥底にあるような「ニーズ」を選んで渡します。
「ニーズ」は、その人自身がその話の裏側で求めているようなことです。

渡すときは、ただ渡すのではなく、心に寄り添うように渡し、受け取る人はその「ニーズカード」を受け取った時に自分の中に起こる反応を丁寧に感じながら受け取ります。

そして最後の1分で、話し手の人が自ら目にとまるニーズカードをすべてとったうえで、一番大切な3つを選びます。

この流れを1人ずつ交代で行いました。
今回のワークでは、多くの時間をかけていないにもかかわらず、あたたかい気持ちになり、本当に大切なところでつながれている感覚が生まれました。
海さんもいっていたけれども、日頃多くのことを語ってもつながれなかったり、わかってもらえなかったりすることが家族でも親友でもあるなかで、初対面のメンバーでこの短時間でつながれたり、わかってもらえたりする感覚がうまれるのがこのワークの特徴です。
何かしながら、考えながらといった「ながら」で人の話を聞くのではなく、足を止めてじっくりと話を聞くこと。
そういう丁寧なコミュニケーションの大切さを思い出させてくれるものでした。

あと印象的だったのは「同意できなくても、ニーズに共感はできる。ニーズにつながれば、敵はいない。無敵」と海さんがいっていたことでした。
同じ意見になる「同意」という頭でのつながり方ができなくても、同じ気持ちを共にするような「共感」という心でのつながり方ができる。
それは本当に「非暴力」コミュニケーションそのものだなと思いました。

そして午後は、「Skagit Valley Food Coop」へ。

このco-opは以下の7つの理念で運営されてました。

①メンバーは誰でも参加できて、ボランティア。お金をもらうメンバーはいないけど、働く人はもらえたり、利益はみんなで分ける。
②民主主義的な意思決定をする。
③お金も民主主義的に使う。
④独立している。どんな企業からも独立してる。
⑤教育とトレーニングに時間とエネルギーを投資する。世界観をつくってる。
⑥協同組合同士の連携。
⑦地域を大事にする。地域課題に取り組んだり、どうかかわるかを考える。ただのビジネスではなく、地域のための資源として存在してる。地域の人たちがオーナーだからそれができる。一般的には投資家がオーナーだから、いかに投資して利益を増やすか。コミュニティがどうなっていくかはある意味関係ない。

あと個人的に印象に残った良い仕組みがこれ。

大きなバッグをもらわないと5セントのコインがもらえるのですが、それをNPOに寄付できる仕組みです。

日本だとレジ袋もらわないと三円割引とかがお馴染みで、ある意味そのエコ志向のメリットを使用者が享受できる仕組みだけど、これはpay it forwardの形になっているのが特徴的。
この恩送りの仕組みを通じて、暗黙的に利用者の「思いやり(pay it forward)」の精神を教育している工夫に見えました。

あとはお店にパーマカルチャーの本も置いてありました。理念の5つ目にも書いてあるように、この世界観の「教育」がここにも現れています。

そしてこの後は30分くらい運転して、オーカス島に向かうフェリー乗り場へ。

2時間くらいの待ち時間は、近くのシップ海の海辺でゆっくりと過ごしました。

そしてこの日の最後のインプットは、海の上での「パーマカルチャーの原則」についてのレクチャー。

デビッドホルモグレンとビルモリソンがパーマカルチャーをはじめました。「自然はなぜこんなに多様性と生命を育めるのか」、それを観察して原則が発見されました。2人が出した原則は違い、海さんはビルの方で学んだそうです。

パーマカルチャーは、地球のエネルギーをどう暮らしに循環させるか、というデザイン作法です。けれども海さんは人間関係やお金、文化のデザインにも応用していて、畑をやるだけではなく生活のすべてにいかしています。

今回レクチャーで扱われた10個の原則はこちら。

①つながりある配置(relative location)
・何をどこに置くかによって、関係性が変わり、エネルギー効率がかわる。時間やエネルギーロスが変わる。植物とバジルとトマトを一緒に植えるとよいという組み合わせがある。バジルの匂いが虫を抑えてくれたりする。相乗効果が起きるように組み合わせる。人間関係もそう。
②多機能性
・木はいくらでも機能を持ってる。自然にあるすべてのものは多機能。
・消費社会はひと機能しかない。効率が悪くものが悪い。人も一緒。「お茶配り係」みたいになったら、他のことができなくなり、ストレスになる。社会の仕組みがひと機能しか見つけてくれなくて、出せない機能がでてきて、ストレス。
③stacking functions。機能を積み重ねる。
・東日本大震災はものすごい多くの人が東電に依存していて、脆いことが明らかになった。
・海さんの家は雨水と井戸水と水道がある。重要機能はバックアップする。
④効率的なエネルギープランニング
・ゾーニング。家がゾーン0。家のすぐ周辺がゾーン1。ゾーン1が一番人がうごく。
・そこに植えると世話をしやすい。大事なものは家の近くに。
・ゾーン2は、1日1回くらいはいくところ。
・ゾーン5は全く触れないワイルドな場。
・ゾーンによって、どこに何を配置するかを決める。
⑤生物資源を活用する
・いまの生活は生物資源より、機械に生産されたものに依存してる。
・本来ならば蚕を飼って服をつくったり、野菜育てたり、竹で道具使ったりしていた。
・生物資源はタダだし、勝手に増える。増える経済。
・けど貨幣経済は減る経済。銀行がすらない限り増えることはない。
・減る経済に依存してたら、だんだん壊れていく。iPhoneも買った時が一番新しい。
・増える経済、生物資源を生活に取り入れていく。
⑥エネルギーの循環
・太陽光も、風も雨も、物質(有機物質)もエネルギー。
・住んでる場所にはただでエネルギーがきている。
・そういう来たエネルギーを貯めて、キャッチして、循環させる。
・雨とかはただで落ちてくれる。地球のどこでも雨は降る。けど、僕らはそれを捨てて複雑な水道システムからお金を払って買うという仕組みにのってる。
・フリーなエネルギーがいっぱいきてるからそれを使ってそう。
⑦小規模集約システム
・いまはスケールアップの話をすぐにする。
・始まってもないのにスケールアップの話をする。
・自然は何億年かけて進化しないところが続き、ある日突然進化したりする。
・畑をやるときもいきなり自給自足するのではなく、バジルをまずは育ててみるとか。
・変化のスピードはそんなに簡単に計算できない。
・小さなビジョンを確実に進めたほうがいい。
⑧自然遷移の加速
・種から植えてくるみを育てることもできるけど、いまはくるみの苗を手に入れれる。
・自然だと何百年かかるプロセスを、人は知恵を働かせて短縮できる業をもってる。
⑨エッジ効果
・川があって海があると、交わるところはすごく栄養効果が高い。
・森と海の間も豊か。生態系が交わるところは豊かになりやすい。
・エッジを増やす。ビオトープ。くねくねした池の方がエッジが増える。
・海さんは法的な意味でもつかう。合法と違法の間はすごく色々ある。そこで活動してたら、いつか合法になるときがある。
・自分にも当てはめれる。
⑩多様性を活かす
・一品種の農家はビジネスのための農業。ある意味博打。
・お金に変えるためにやってるのではなく、暮らしをつくるためにやってる。目的も哲学も世界観も違う。
・コミュニティにも多様な人がいた方が多様な意見も出やすくて、その分いろんな状況に対応できたりする。
・うちらが食べてる作物は病気。薬で生かしてお金に変えてる。一般的な肉を買ってる人は、病気の動物を食べてる。
・「短期間でどれだけ肉をつけるか」という目的でホルモン剤をいれて、そしたら病気になったりするから、抗生物質いれて、販売する。


2日目はこんな1日でした。パーマカルチャーは本当に新しく触れたばかりの世界観で、いまはまだちょっとずつその新しい世界観をインストールしている感じです。
まだまだ咀嚼しきれてないところも多くあるので、今回はレポートまで。ではでは!

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