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弁理士が独立した時に、既存事務所と差別化する5つの方法


はじめに

こんにちは、商標登録サービス Toreru の宮崎です。今回の記事では、弁理士が独立した時に、既存事務所と差別化する方法を考えてみました。日々、経営していく中で得た知識を共有します。

なぜ、弁理士が独立したときに差別化することが必要なのか?

  1. (理由1)独立したての弁理士に仕事を発注する理由がないから

    • 既により良い特許事務所があるので、そちらに発注する方が良いと思うのではないでしょうか。

  2. (理由2)仕事が獲得できたとしても、リピートが不安定になるから

    • クライアントの周りにたまたま弁理士がいないだけの場合には、他にもっと良いところを知ることができると乗り換える可能性があります。

差別化の5パターン

基本的には何かを変えることによって、差別化をしていく方法が考えられます。以下にそれぞれのパターンをご紹介します。

また、上記のことを考えなくても偶然にも差別化になっていることもあります。しかし、意図的に差別化を行っていない場合は、環境が変化すると、その変化に対応できないことがあるため注意が必要です。

パターン1:提供サービスの種類を変える

一般的な特許事務所があまりしていないようなサービスを提供することで差別化を図る方法です。具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 知財を中心とした経営コンサルティング

  • 自社権利売却調査・交渉

  • ニッチな国の海外出願

  • 知財を中心とした研究開発支援

  • 知財評価

メリット:競合が少ないため高単価で獲得できる可能性があります。
デメリット:市場が小さいためマーケティングが難しくなる場合があります。また、特殊な知識やスキルを必要とする可能性があるため、その準備や維持には労力が必要です。

コメント
市場を創出することも必要なため、かなり難易度が高いです。しかし、既に前職などでその業務に関わっていると有利に運べます。

パターン2:マーケティング方法を変える

次に、クライアントへのマーケティング方法を変えるという方法です。具体的な方法としては以下のようなものがあります。

  • SNS

  • SEO

  • 広告

  • 他士業や他企業との連携

  • 動画

  • セミナー

  • 商工会議所などのコミニティ

メリット:マーケティング方法が見つかれば安定する可能性があり、また拡大しやすいです。
デメリット:マーケティングの知識やスキルが必要で、安定したマーケティング方法を見つけるまでが大変な場合があります。

コメント
最も伸ばしやすい方法です。特に若い弁理士はSNSなど今までなかったアプローチ方法を吸収するのが得意と思われます。また、コネクションがある場合は、コミニティや他士業連携も有効だと思います。

パターン3:対象クライアントの層を絞る

地域、業種、規模などに対象を絞るという方法です。具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 地方を専門とする

  • 特定の業種を専門とする(IT、バイオ、宇宙、Web3、AIなど)

  • 個人を専門とする

  • 特定の国の外内を専門とする

メリット:競合が少ないため高単価で獲得できることもあります。また、専門家としての地位を確立しやすいです。
デメリット:市場が小さいためマーケティングが難しくなる場合があります。

コメント
独立したての弁理士としては、王道の方法になると思います。特定の業種については、最近出てきたWeb3などまだ専門家がそこまでいない分野であれば競合が少ないのでおすすめです。また、地方など立地的にそもそも弁理士が少ないエリアを対象にするのも有効だと思います(しかし、狙って地方に住むのはなかなか難しいと思いますが)

パターン4:顧客体験を変える

今までの特許事務所は提供していないような顧客体験を提供するという方法です。具体的には以下のようなものが考えられます。

  • ラグジュアリーな体験

  • ゲーミフィケーションなど楽しめる要素がある体験

  • クラウドを使った体験

  • アプリを使った体験

メリット:競合が少ないためマーケティングがしやすい可能性があります。
デメリット:顧客体験の開発費用がかかる可能性があります。

コメント
難易度はかなり高いです。今までと顧客体験を変えるには、デザイナー、エンジニア、ブランドコンサルタントなど弁理士以外の専門家と協力して作り上げる必要があります。

パターン5:プロセス方法を変える

プロセス方法を変えるという方法は、特許事務所の仕事の流れや体制を変えることで、より効率的に業務を行ったり、クライアントにとって利便性を上げるような変更を行うというものです。具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 特許明細書作成方法の効率化

    • VBAやAIを使う

  • 事務の効率化、自動化

    • 期限管理

    • 特許庁提出書類作成

    • メール作成

メリット: 業務効率が向上し、コストを削減できる可能性があります。また、クライアントにとっての利便性が向上するため、顧客満足度が上がる可能性があります。
デメリット:新しいプロセスを作り上げるには時間とコストがかかる場合があります。また、システムの導入や維持には技術的な知識が必要です。

コメント
ITやAIによる効率化はリスクが少なく効果は大きいため試してみる価値はありそうです。効率化については詳しくは下記の記事を参照してください。

番外編:知財で勝負する

特許事務所経営では、意外なことに知財(発明、ブランド、デザイン)があまり重要視されていないなと感じます。
知財は、あくまでも提供するサービスであって、弁理士が自ら開発するものではないとの先入観があるのかもしれません。
しかし、知財は今後、知財業界で最も差別化できる要素だと思います。(ややこしい文章ですが・・・)
もしアイデアが見つからない場合は、知財で勝負できないかを検討してみるのもとても良いと思います。

まとめ

独立した弁理士が事業を成功させるためには、既存の事務所と差別化することが重要です。今回ご紹介した5つの方法(提供サービスの種類を変える、マーケティング方法を変える、対象の層を絞る、顧客体験を変える、プロセス方法を変える)はその一例で、具体的な方法は各弁理士の独自の経験や知識、視点により様々です。
重要なことは、差別化を意識的に行い、それを持続的に維持し続けることです。そして、その差別化がクライアントにとっての価値を提供できるものであることが必要です。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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