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病気の影響:統合失調症がもたらす家族と親戚の葛藤と和解

母の仕事が落ち着いてきたこともあり、私が自治会に出ることで何とか落ち着きを取り戻してきたが、なかなか生活が地に着くことがなかった。
今度は父の親戚とのトラブルが起こった。
今考えると、この頃はもしかしたら既に統合失調症だったのかもしれない。

当時は、母が言ったことを真剣に信じていた。
このことから、本来味方である親戚とトラブルになってしまった。

ある休日、母は親戚の叔母さんにお茶に誘ってもらい出かけた。
父の故郷に引っ越して来たものの友人もいない母に気を使って誘ってくれたことに感謝していたし、ありがたかった。

母も喜んで楽しみにしていたようで、お茶菓子を買ってきていた。楽しい時間になることを願って見送った。

しかし、数時間後の出来事をこの時は想像することができなかった。

親戚に誘われお茶飲みへ出かけた

昼食後のお茶に出かけた母は夕方になって帰宅した。
何か様子がおかしかった。居間に行くと母が泣いていた。
私はその光景に驚き動揺したことを覚えている。

動揺した私はしばらくの間、何も言えずに近くにいただけだった。
どんな言葉をかけて良いのかも分からず呆然としていた。
しばらくの間沈黙が続いた。

少し落ち着いた私は母にどうしたのかを聞いてみた。
泣きながら「みんなの前でいじめられた」と言った。
内容を聞くと、お茶会を始めた時にそれぞれ持ち寄ったお茶菓子を配っていた時に、私の母だけが罵声を浴びせられながら顔にお菓子袋を投げられたという。

今であれば統合失調症の症状が出たということが理解できるが、当時20代前半で経験が浅く、統合失調症という病気自体を理解していなかった私には、母の言うことを疑うことはできなかった。

ただどうすることもできない私は、「しばらく親戚とは距離を置いた方が良い」とだけしか言えなかった。

その日の夜、私の携帯電話が鳴った。
母の実姉からだった。少し疲れていた私は知らず知らずに寝てしまっていたようだ。

電話に出ると、母からの電話だということだった。
おばさんは「なぜ母がいじめられるのか?」、「母が可哀想」と泣きながら「どうにかして」と言った。
どうにかしてと言われても、どうしたら良いか分からない。
おばさんに「こちらに来て一緒に話してくれないか?」と聞いたが、厳しいようだった。やはり自分たちで何とかしなければならない。

母の姉弟は遠くにいるため、この場所に来るには飛行機や新幹線でないと行き来できない距離だ。

話し合いに行くしかない

その後、数日間色々考えた。
・どうしたら良いのか?
・このまま黙っているのか?
・誤解なのか?
結論は出なかったが、まず話し合わなければならないと思い、話し合いに行くことに決めた。
20歳そこそこの私が話し合いをしても解決するようなことではないと思っていたが、話し合いしか道はないと考えた。

結果、疎遠になった

話し合いの機会を探していた私は、いきなり家に行って話し合いをするのはさすがに厳しいと思い、次におじさんに会った時に話し合おうと考えていた。

数週間後、おじさんに会うことができたので、母から聞いた状況を話した。感情的でなく冷静に話し合いを行った。

しかし、結果は「そんなことをするわけがない」という内容で平行線だった。私も母が言ったことを信じていたので引かなかった。
結果、お互いの行き来がなくなり、疎遠となった。

その後、街で偶然会ってもお互いに気づかないふりをして冷戦状態が続いた。

帰宅した私は、母にその日の話し合いの結果を伝えた。
母は悲しそうな表情を見せたが、無理に笑って「仕方がないね」と言った。私は心の中で、もっと何かできることはなかったのかと自分を責めた。

状況が改善しないまま、月日は流れていった。
私たち家族は、その後も親戚との関係がうまくいかず、疎遠のまま過ごしていた。

しかし、数年後に母が統合失調症と診断されたことで、状況が少しずつ変わり始めた。治療を受けることで母の症状は徐々に改善され、家族間でのコミュニケーションも少しずつ良くなっていった。

私はその頃から、統合失調症について学び始め、母の病気を理解しようと努力した。
そして、親戚との関係を修復するためにもう一度話し合いを持とうと決心した。

再び話し合いを持った私は、母の病気について説明し、当時の状況が病気の影響だったことを伝えた。
親戚も驚いていたが、誠実に話し合いに応じてくれた。
その結果、お互いに誤解があったことがわかり、関係が修復されることとなった。

以降、私たち家族と親戚は再び交流を持ち、かつてのように和気藹々と過ごすことができるようになった。
母もその状況を喜んでおり、私は家族と親戚の間にかかる橋渡し役を果たすことができたことに満足感を感じていた。

この経験を通じて、私はコミュニケーションの大切さと、互いの状況や気持ちを理解しようとする努力が、人間関係の修復に繋がることを学んだ。
また、病気に対する理解とサポートが、家族や親戚との関係をより良いものにすることができると感じた。

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