Old Jr. a.k.a 大久保潤也/Vibration制作記(後編)
というわけで、続き。前編はこちらから。
…というわけで、Old Jr. a.k.a 大久保潤也のソロ制作なんですが、ヒックスヴィル真城さんのオファーに加えて、2人のミュージシャンにお願いしたかった。
昔から、淡々としたトラックの上でエモーショナルな演奏を入れるのが好きで。そうすると、なんか演奏に、自然に耳が行くから。
…と思った時に最初に浮かんだのが、あだち麗三郎君のサックス。あまり知られていないけど、僕が昔やっていたWEEKENDでも彼のサックスを入れたことがあって。
↑M.4今夜はEAT IT!。ぜひVIBRATIONと聴き比べて欲しいです。構造がかなり近いので。
あだちくんは、久しぶりに会ったけれど、相変わらずすごいプレイだった。曲のコンセプトを説明して、3テイクくらい自由に吹いてもらってOK。
めちゃくちゃフリーキーで、後半のプレイは本当聞いて欲しいです。「人間」って感じがするので。あだちくんは、なんかね、もう本当に生ったらしいっていうか「生」みたいなものが立ち上がるんだよな。不思議。
録音したサックスにSP404のフィルターをかけて、隠し味の音も入れてある。これは、一発録音で、フレーズに合わせて僕が手動でグリグリやってます。あだちくんとセッションしている気分。
そんでもって、パーカッションも生で入れようと思ってたので、今回エンジニアもやってくれた上田修平君にお願いした。こちらも素晴らしかった。打ち込みと変わらないって思いつつ、ちょっとしたブレとかヨレみたいなものが加わって人懐っこいトラックになったと思う。あとは、やっぱりマイクで録音する音が増えると、人間ではコントロールしきれない空間とか空気が入り込むので、そういうのは大事にしたい。
さてさて、あとは真城さんのコーラスのことを。ほんっと素晴らしかった。声一発で景色が全部変わるというか、曲の全部が明るくなるっていう本当に素晴らしい、音楽にマジックが宿る瞬間だった。この不思議さ、みんなに伝わるといいな。聴き終わった後に不思議と明るい気持ちになるので。
↑こちらで、少しでも空気が伝わるといいな。
後半のフリーキーなコーラスは、ある程度お任せで数テイク録音してOK。
特に最後の最後、大久保君と2人だけのコーラスで終わるのですが、そこのなんというか色々あったのに最後希望が持てるように聞こえるのは、真城さんのおかげ。ほんとに素晴らしかった。
あ、あとは曲のハイライト、3:56〜のハイライトに鳴っているライドシンバルは、わざわざスタジオ録音で、僕が生のライドの演奏してます。ここが一番ドラマチックな箇所なので、どうしても生で行きたかった。
んーあとは、キックの音にこだわりたいって言って、大久保君がMIDIデータに合わせてアナログのリズムマシンを鳴らしてくれた音使ってます。
というわけで今回、めちゃくちゃ細かくこだわったサウンドになっています。生演奏と打ち込みのバランスはめちゃ気をつけた。アコースティックギターも弾いてるけど、あんまりアコースティックに聞かせないようにしてる。
歌詞は、1箇所だけ「土砂降りの中、大声で笑える夜」ってモチーフは、フリッパーズギター午前3時のオプ。昔からあの曲のあの箇所聞くと泣いちゃうんだよね。
素晴らしいミックスは上田君。上田君には、「もっとリバーブ減らしてドライにしてくれ」って言ったり、わがままをたくさん聞いてもらった。全体の音像をマイケルジャクソンとかみたいにしたくて。「なんかフィーリングとしてはハウスっぽいんだよね。」って言ったら「わかるわかる。」って言ってくれて、こんなんで伝わるのすげー嬉しいって思ったのを覚えてる。
上田君は最後の最後までめちゃくちゃこだわってくれた。本当にありがとう。こんなに納得いくまでやれるなんて幸せだぜ。
…というわけで、めちゃくちゃ細部まで、こだわって、自由にやらせてもらった。今回は、ほんとにどこにもないサウンドだって自負してます。
あまり口にするのはアレだけど、大久保潤也というアーティストがすごく好きだから、関われて本当によかった。この場を借りて感謝を。
関わってくれたミュージシャン、大谷君、真城さん、あだち君、上田君にも心から感謝を。ありがとうございました。
アルバムの中でも、ちょっと特殊かな?どうだろう。ぜひ皆様の感想を聞いてみたいと思います。どうぞ楽しんで聞いてみてください。