MM1/100『アシュラ・テンプル試作壱号騎』(ボークス)
難攻不落のアシュラ城。陥落したその先には…
ボークスの銀箱以前の古いガレージキットによく入っているチラシが好きだ。今回制作したアシュラ・テンプルは銀箱だったが、同時期にたまたまMMアシュラの初期ロットを手に入れる機会に恵まれ、そちらは銀箱以前のペラペラ箱(あれ、なんて呼ばれてるんでしょ。誰か教えて)。案の定、レーザープリンターでカラー出力されたようなチラシが入ってて、いつも通りなんだけどなぜかアシュラ・テンプルのキットにアシュラ・テンプルのチラシが入っていた。それはこのような文句で始まる。
「“難攻不落” いかに造形村造形師の腕を持ってしても“アシュラ”のあの“ドラゴン・トゥース”だけはMM化はおろか、単純可動ギミックすら不可能だろう。と、誰からもそう言われ続けてきたその“難関”を見事に“大石 凡”が突破!」
チラシでは大石氏がアシュラ城を陥落させたと謳っているが、キットには原型制作は「造形村プロジェクトチーム」とクレジットされている。キットを実際に磨いていても、大石氏というより生嶋氏っぽい気もするなぁと感じた。この感触はまったくアテにならないが、ともかくも隠し腕のギミックは大石氏を中心に作られチームとして全体が形作られた、ということなのかもしれない。
ユーザーからしてみればそもそもMMシリーズ自体が難攻不落で、普通に作っただけでは手足がブランブラン、まともに立つこともできず、「完全可動実現」が売りのシリーズなのに皮肉にも固定ポーズに仕上げるのが主流となっている。そして、この造形村が難攻不落と捉えたアシュラ。見事に陥落して僕らに届けてくれたはずなんだけど、いざ作ろうとするとやっぱり難攻不落なのである。
これまでそれなりの数のMMシリーズを作ってきて、可動を生かしながら仕上げるのはオージェ・アルスキュルが最も難しいと思っていた。アシュラ城の守りはもしかしたらそれを超えるかもしれない。いや、超えるでしょう。
他のMMキットの倍ほどの制作時間がかかってしまったアシュラ。以前、SAVのアシュラを作ったことがあるのだけど、その3倍以上はカロリーが必要だった。そのくせフォルムや細部のディテールは後出のSAVの方がやはりかっこいい(お値段もSAVのほうが1万5千円ほどお高いから仕方ないかな)。
手間もかかるうえ、かっこよさも劣るならSAVのほうがいいじゃん。そう考えてしまいそうだけど、いやいやいや、それはMMを固定ポーズで作った場合。難攻不落のアシュラ城に挑み、「完全可動実現」に真っ向勝負を挑んで突破した先にだけ見える景色がある。
パーツを差し替えることなく、伸展から格納までニョキニョキと動く隠し腕を見れば、やはりアシュラは腕が隠れていたり飛び出したりしてこそアシュラなんだ!と、なんだかよくわからない理屈に納得するはずだ。
制作依頼品である今回のアシュラは「白を基調に」というオーダーを反映したカラーリングに。その白はタミヤラッカーの「イングニシアホワイト」。黒部分はガイアノーツの「ヘキサフレームガンメタル」にセミグロスクリアプレミアムをコート。両色とも暖色系なので合わせて使うと良い感じの白黒対比となってくれたと思っている。当初、この白でアシュラを塗ることに抵抗はあったが、膨張色が良い具合に重MH感を出してくれたのではないかなと思えた。オリジナルカラーのモーターヘッドもいいものだね。そう思っていただけたなら幸いだ。
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