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宮城旅行記3 〜ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所〜
念願の宮城峡蒸溜所へ到着する。
始発で作並駅を目指し、駅に着いたのが
6時40分ほど。
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仙台駅から約40分ほど
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日曜祝日はシャトルバスが出ているみたいです。始発なので当然バスはないため、40分歩きます。
途中、宮城峡蒸溜所の仕込み水で使われている新川川の撮影をしてからだったので、蒸留所の到着は9時半ごろでした。
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竹鶴政孝はこの川の水でウイスキーの水割りを飲んだ時、あまりのおいしさに宮城峡蒸溜所建設を決定したと言う。
ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝。
彼の夢は余市だけでなく、複数の蒸留所を持つことで、ウイスキーの美味さに幅を広げることだった。
その夢の一歩となる蒸留所で貴重な存在となる川の水の名前がにっかわと読むのだから、惹かれ合う運命だったのではないでしょうか。
綺麗な水だった。
この水を使って、あのウイスキーたちが作られてるのか。肌で感じてみたい。できるだけ近づきたかった。近所の人に降りれるか尋ねると、猪除けの柵ができたことから降りるのが難しくなったらしい。断念した。
国道沿いを降りること30分ほど、煉瓦造りの建物がみえてくる。ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所である。
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煉瓦作りの建物は歴史の深さを感じるが、
近代的な雰囲気でもある。かっこいい。
すでに心が躍る。
この日に予約していたのは14時から開始される宮城峡キーモルトテイスティングセミナーだった。
早く到着しすぎて、ギフトショップと博物館を右往左往する。それでも時間は余ってしまったので、無料の工場見学に急遽参加することにした。
ガイドさんの説明のもと、工場内を見学する。
見学施設は一部を除き撮影可だった。
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宮城峡のはくびれがある。
バルジ型と呼び、このくびれがウイスキーの味わいを
華やかなものにする。
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こちらはストレートヘッド型と呼ばれる。
この形が宮城峡のウイスキーと異なる、
力強い風味を生み出すと言われている。
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所狭しに樽が並ぶ
見学ツアーでなくても自由にみれる。
蒸留所見学が終わると、無料試飲ができる。
試飲で飲んだのはシングルモルト宮城峡、スーパーニッカ、アップルワインの3種類だった。氷、水、ソーダを自由に使えるのでいろんな飲み方ができる。
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人生で一番美味しい水だった
この試飲で衝撃的だったのは、
水のおいしさだった。
何この水、めちゃくちゃ美味い。
ウイスキーはその蒸留所の仕込み水で飲むのが一番美味しいと言われているのを聞いてるのでそのせいかと思ったが、
明らかにこれは水の美味しさが際立っている。
ギフトショップで一番欲しかったのはこの水だったが、売ってなかった。残念無念。
蒸留所見学が終わってなお、まだ時間は12時を回らないところだった。
酒も入ったことだし有料試飲を楽しむことにした。1人3杯まで、1日一回のみと制限がある。
私はすでに終売になっている「ピュアモルトレッド」、蒸溜所限定で発売している「鶴」
、そしてこの宮城峡蒸溜所の有料試飲でしか取り扱いのない「宮城峡シングルカスク10年」を注文した。
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これが流通してたら犯罪らしい
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何より、シングルカスク宮城峡の美味しさに驚く。じっくりじっくり1人笑いながらウイスキーに舌鼓を打つ。ただの変人である。
有料試飲は15mlといわゆるハーフショットと少なめだが、ここでしか飲めないものを手頃な値段で楽しめる。シングルカスク宮城峡は1000円したが、飲む価値しかないのでいく機会があったらぜひ飲んでみてください。
午前だけで6種類もウイスキーを頂いたせいでだいぶ出来上がってしまった。水をがぶ飲みして、また工場内を徘徊する。
工場内の空が広いことに気づく。
そう言えばガイドさんが説明していた。
宮城峡蒸溜所内は自然の景観を守るために
電線は地下に埋めて作れと建設に際して指示があったらしい。
また蒸留所内の動線も木を避けるように蛇行していたり、自然を大切にしている工夫が随所に見られる。
ウイスキーは人が作られるものではない、自然が作ってくれる。竹鶴政孝はそう言っていたとのこと。だから自然を残す考えで蒸留所内が設計されている。とても素敵である。
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電線がないからだ
ようやく14時となり、
キーモルトテイスティングセミナーが始まる。
まずはウイスキーについての講義。
そして見学。
見学は無料の見学と基本同じ流れだが、
内容や場所が少し違う。
まず、紹介だけで終わったキルン塔の中に
入れること。
ウイスキーの香り付けで重要となる、ピートを触らせてもらった。ウイスキーのスモーキーな香りに必須のものである。
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燃料に使われるのがピートであり、このピートを
燃やした時の香りが麦につくことで、
ウイスキー独特の スモーキーさを生み出している。
ピート自体はスモーキーな香りがないのに驚くが、燃やさないと香りは出ないらしい。
そして、ウイスキーの貯蔵庫も無料の見学とは違う場所に入ることができる。
貯蔵庫は蒸溜の終わったウイスキーを、
樽詰めして保管する場所のことである。
ここで長い時間熟成されることとなる。
他のスピリッツ類とは一線を画す唯一無二の工程である。
今回入った場所は圧巻だった。
ツンッと冷たい空気の中に、埋め尽くさんばかりのウイスキーの樽たち。
中でも宮城峡蒸溜所創業当初からある樽の存在感は凄まじかった。樽の中は空っぽらしい。
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すでに雰囲気が違う。ここだけでも有料のを
予約した価値があると思った
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年季が違う
ここまで来てようやく、講義室に戻り宮城峡キーモルトの試飲を始めることとなる。
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簡単に説明をすると、ウイスキーは沢山の種類の樽の原酒を、ブレンドすることで出来上がるのである。その香味の鍵となる原酒を「キーモルト」と呼ぶ。宮城峡は3つの違う種類の特性を持つキーモルトをブレンダーさんがヴァッティングすることで出来上がるのである。
ちなみにブレンダーさんは、1日何百種類ものウイスキーをテイスティングするらしい。
飲んでしまうと、それはとても大変だから香りだけで判断するとのこと。なんという嗅覚!鼻風邪は命取りになりますね。
そんなこんなで1日ウイスキーというものを肌で感じて、大充実して1日を終えました。
少し頭が痛くなったのはまあ、10種類位ウイスキーを飲んでるのだから仕方がない。
名残惜しく宮城峡蒸溜所を後にして、
私は1人、人生初のゲストハウスへ足を向けたのだった…
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