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投球時の水平内転による球速への影響
プロ投手(MLB, MiLB)339名は、通常の距離(18.44 m)に捕手に向かって直球を8から12球を投げ、それをバイオメカニクス手法で分析していました。実験では、投手は投球に必要なウォームアップ後、各自のペースでゲームのような全力で投げました。
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前足接地時の水平外転の平均は38ºでした。そこから最大水平外転が達し、平均は44ºでした。最大肩外旋(MER)時に平均8º水平内転していました。 ボールリリース時には肩が水平中間位(2º)の位置でした(下記のグラフ参照)。
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最大肩水平外転角度が増加すれば肩内転トルク、肩水平内転トルク、肩前方力のキネティックスは減少しました。最大肩水平外転角度が大きい群は、肩外旋角度を減らしていました(下の表参照)。
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最大肩水平内転角度が大きい(75%以上)群は、少ない(下位25%以下および四分位25-50%)群に比べ球速を落としています(下の表参照)。
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肩水平外転では球速を上げない
肩水平外転時に生じる肩水平内転トルク値を回帰分析でみると最大肩水平外転と球速に関係はありませんでした。
最大肩水平外転が10º増加するごとに肩前方力は2.2% BW(体重比)減少し、肩内転トルクも0.5% BW x BH(身長)減少しました。さらに肩水平内転トルクも0.4% BW x BH減少しました。各キネマティック値を減少させていたことは予想外の結果でした。
最大肩水平外転に達するタイミングとキネティックスおよび球速に関係はありませんでした。肩水平外転では球速を上げないことになります。
肩水平内転トルク、角度増は球速を落とす
一方で、最大肩水平内転トルクと肩前方力および球速には負の関係がありました。最大肩水平内転が10º増加するごとに肩前方力は2% BWが増加するが、球速は4.3 km/h減少しました。また最大水平内転に達するのが10 msec遅れるごとに肩前方力は1.3% BW減少し、肩水平内転トルクは0.3% BW x BH増加しました。
肩の面が胴体に一列であるとき、肩甲上腕関節はもっとも安定な位置になり、最小限のキネティックス(トルク値)で、ボールリリース前まで維持できれば潜在的良好な投球ができます。
まとめ
あくまでもプロ投手レベルでは、最大肩水平外転角度が肩水平内転トルク、肩内転トルク、肩前方力と言った投球キネティックスを減らします(プロ投手!)球速の速さは、最大肩水平内転の最小に関係します。言い換えれば、肩水平外転と外旋からボールリリースまでの加速期が長ければ球速は増加します。したがって投球全体を通じて最小の肩水平内転が効果的な球速アップにつながります。投球後半は胴体の外旋(グローブ側)と体前屈を使い、腕は比較的に肩甲面で胴体後方に遅れた状態になります。