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前足接地時の胴体回旋角度と関節唇損傷

プロ投手のほとんどが関節唇を損傷しています。しかし症状にでるか適応性になるかは投手次第でそのメカニズムはわかっていません。
コッキング期の肩最大外旋から加速期において上腕二頭筋長頭と関節唇複合がねじれひずみを起こし、関節唇をはく離させます(Peals back)。一回のことでなく投球動作の繰り返しが関節唇を損傷させます。

Arthroscopy. 2022;38:1066-1074.

プロ投手26名は、肩に投球障害を発生させましたが、その後保存治療を受け、復帰していました。26名の投球障害肩でもっとも多かったのが関節唇(SLAP)損傷で11名(42.2%)でありました。続いて腱板損傷で7名いました。

投球障害肩既往歴の26名と年齢、体格、利き腕側、球速など一致するプロ投手104名(対照群)の全力投球における21のキネマティック(角速度)と7のキネティック(トルクあるいは牽引力)を比較していました。

結果、投球障害肩既往歴群と対照群のすべてのキネマティック、キネティックに違いはありませんでした。しかしSLAP損傷の既往歴がある11名と対照群において前足接地時の胴体回旋角度に有意な違いがありました(34.1º vs 39.2º)。

投球障害肩後、保存治療で復帰した投手は投球メカニクスを変えないことがわかりました。しかしSLAP損傷後に保存治療で復帰した投手は胴体回旋角度が少なかったことから、SLAP損傷のメカニズムの一端に関係しているかもしれない。骨盤、胴体が投球動作全体のキネティックエネルギーの半分を生み出しています。胴体回旋角度の減少が加速期に球速を高めるための代償が働き、そのことで肩牽引力に影響を与えていたかもしれない。

関節唇(SLAP)損傷修復術を受けた投手は、対照群に比べ肩水平外転、外旋、さらに胴体の前方傾きが少なかった先行研究も捕捉しています。

まとめ

投球障害肩を受傷した後に保存治療で復帰したプロ投手の投球メカニクスは、対照の投手とに違いがありませんでした。関節唇損傷後に同じく保存治療で復帰したプロ投手は、前足接地時の胴体回旋角度が有意に少なかったことがわかりました。

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