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なにもなくても大丈夫。最後まで笑える選択肢を。

「負けたら悔しい。もっとすごくなりたい」

誰しもこのような想いを抱いているのではないでしょうか。

しかしあえて僕は言いたいことがあります。

「人に負けて悔しいからと、無理をして努力をしなくていいんだよ。」

そう教えてくれたのは、17年間看護師を勤めておられるじゅんきちさんこと「柴田純子」さんです。

看護師さんはお医者さんからも患者さんからもお叱りを受けます。夜勤もこなします。

そしてじゅんきちさんは何かで1位になったことも、目立ったことも、表彰されたこともないとのこと。

そんな主役とはほど遠いじゅんきちさんですが、じゅんきちさんの目はまるで主役のように生き生きしていました。

今日はじゅんきちさんのものがたりを通じて「縁の下の力持ち」としての生きることの素敵さに迫ります。

人に恵まれることでなれた看護師

ーー看護師になろうと思ったきっかけを教えてください!

お母さんが看護師だったことですね。小さいころから憧れがありました。夜勤あるのも当たり前。なのに人に当たったりとか絶対しないし、私も人に優しくしないといけないと思って生きてきました。

ーー実際看護師なりたくないと思ったことはなかったんですか?

ありましたよ!先生が厳しかったんですよね。
すごい厳しい人で、「あなたは向いてない」っていう風に言われるんですよ。だから50人入ったら半分ぐらい辞めるんです。
こんなつらい思いするんだったら看護師になんかなれなくてもいいって思いましたね。
親からもあのときのあなたは今にも死んでしまいそうだったって言われました(笑)

ーーうわあ、辛い。そんな中でも辞めなかったんですね。

はい、何より人に恵まれてたのが大きいなって思います。そう思える存在が3つあって。
1つ目は家族の存在です。
おばあちゃんもおじいちゃんも「じゅんちゃんは看護師さんになるんや偉いね~」って期待してくれてたのが大きかったです。
2つ目が支え合っていた仲間の存在ですね。
お互い辛い時に支え合ってここまでやってきたからもしここで脱落したらきっとその子たちがダメになる、と思うと頑張ることができました。

3つ目は実習中に出逢った患者さんの存在です。
「絶対看護師さんなってね!」ってくれるおじいちゃんおばあちゃんがいたんですよ。
身内に期待されるのは当たり前なんですけど全く知らない赤の他人のこむすめにそんな言葉くれる人がいるんやって思って、頑張れる原動力になりましたね。

ーーすごい!素敵な人に恵まれたんですね。

はい!母親に「なんでかわからんけどあんたは人に恵まれる子やね~!」ってずっと言われてきたんですけど、今になってこれはほんとだなと思いますね。

こうして看護師になることができたじゅんきちさん。本当にずっといい人に恵まれてきたのか。バチバチしたことはなかったのだろうか。あまのじゃくな僕がさらに聞いてみると、どんなことでも素直に受け入れるじゅんきちさんの素敵な人柄が見えてきました。

同級生と後輩に抜かされ続けてもそれを嬉しい、とサポートする。

「人に恵まれていた」と話すじゅんきちさん。でも中学時代は部活内で選手を競い合う陸上部員だったそうです。

私陸上部だったんですよ!でも足遅くて、1回も試合に出れなくて(笑)同級生と後輩にどんどん抜かされるんです。

ーーそれは悔しいですね。

実はそれがあんまり悔しくなくって。逆に後輩がすごいなって思っちゃって。先生に「もっと悔しがれ!」って怒られましたね(笑)でもそれって私より努力してすごくなったからすごいって思うだけで、それでなにくそ!ってならなかったですね。

ーー逆に手を抜こうとは思わなかったんですか?

実はサボったこと1回もないんですよ!陸上部の時、試合に1回も出れないし、表彰もされないし。それでも先生に引退前に賞状もらったんですよ!
「イベ(旧姓)は遅いし、試合にも出れないけど1回も練習を休んだことがない」っていう頑張り屋さん賞を先生の手作りでもらいました。

ーー素敵!どうしてそこまで頑張れるんですか?

同級生の仲間や後輩が速くなってくれるの嬉しいんですよ!いっつも応援する立場だったけど自分はその方があってるなって。サポートされるよりサポートしたいっていう気持ちの方が強かったのかもしれないですね。

「お前なんかあっちいけ!」そこにある看護師の奥深さ

1回も試合に出られなかったからこそ、サポートの楽しさに気付けたじゅんきちさん。このサポート精神が看護師の仕事につながっていると言います。

ーー実際看護師さんのお仕事のときはどんなことを考えていますか?

まずは患者さんに寄り添うことでどうやったら安全に患者さんが安楽に過ごせるかを考えて日々過ごしています。

ーー看護師さんって「治してくれてありがとう」とはならないですよね。それでも続けたいですか?

はい!もちろんです。看護師はおっしゃる通り感謝をされることは少ないです。
ありがとうって言われるのはお医者さんの方が多いかもしれないけど、でも、辛い時も嬉しい時も、その時々の顔をを見せてくれるのは看護師さんだけなんです。
「お前なんかあっちいけ!」って物を投げられることもあります。でもなかなか出せない弱い自分をを見せてくれるって、つらいけど私にSOSを出してくれるんだって思うと真剣に向き合えます。

ーーうわぁ、すごい、看護師さんって奥深いですね。

でしょ?(笑)そんな辛い思いを抱えた患者さんの病気が治って笑顔で退院してくれるのがすごい嬉しくて。もう2度とこんなところで会わないようにしようねって思って送り出しています!

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何かで1位になったことも、目立ったことも、表彰されたこともないじゅんきちさん。

それでも

「私はこうして生きていけるし、笑ってられる。幸せだなって思いますね。」

と目を輝かせていました。

そして最後に、どうしても伝えたいことがあるんだと僕に教えてくれました。

もし何か迷うことがあったら最後まで絶対に笑えるほうをとってね。実際に余命半年って言われてたのに1年生きた人とかいて。それだけ笑顔って力があることなんやって。それぐらい笑うことってすごいことなんやっていうのを今どうしても伝えたかったんです。

人一倍負けず嫌いの僕ですが、なんだかそれがどうでもよくなるぐらいにじゅんきちさんの空気にとかされてしまいました。

もし劣等感をもってる人がいたら「なにくそ!」と頑張るのもいいけどそれを受け入れて、応援する生き方もいいのではないでしょうか。


すごくなくても、つらくて泣いても、この文章を読むあなたが最後まで笑える道を進むことを心より願って今日はペンを置きたいと思います。

まーきち

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