「おうちで日本一周」。その心は崇高な志ではなく「遊び心」。
今日紹介するのは「おうちで日本一周」。
47都道府県のゲストハウスにオンラインで宿泊をして日本一周をめざすゆずさんです。
日本全国のゲストハウスを巡って、ゲストハウスの魅力を伝える素敵な活動を手がけるゆずさん。
ゆずさんは現在43都道府県のゲストハウスにオンライン宿泊(※)していて、インスタグラムのフォロワー数は1,000人を超えたそう。
そのアカウント名は「ゆず@おうちで日本一周」。
僕はインタビューをするまでは、
「ゲストハウスがこれからくる。観光業界に一石を投じたい。」
そんな志のある女性だと思っていました。
しかし蓋を開けてみて出てきたのは、
「私は好きなことをしているだけで、オタク活動なんです」
という言葉。
今日はオンライン宿泊の背景にあるゆずさんの遊び心を通じて、人生を楽しむことの魅力に迫ります。
※オンライン宿泊:実際には宿には泊まれないけど、オーナーさんが宿を案内したり、一緒に宿泊している人とロビーで話したりして、実際に宿に泊まっているように感じられるプログラムのこと。
「内輪」が大好きだった。
「私、内輪で楽しむのが大好きなんですよ!」
日本全国を回っている女子大生が発したのはそんな意外な言葉でした。
「私、小中高大一貫校で。課外活動とか習い事とかしてなくて。友達はほとんどが学校関係の人でした。」
ーー内向的なのって飽きなかったんですか?
いや、楽しかったんですよ!もちろん友達は学校つながりしかいなかったけど、それでも楽しいからいいかなって思っていました。
入ったボランティアサークルも内部進学の先輩が入ってたから入ったし、本当に内部の人と同じことしようとしか思っていませんでした。
ーー意外!てっきりもっと課外活動とか積極的にするタイプだと思ってました!
いやいやいや!外の活動に参加したのも学校の先輩が参加してたからなんです。
先輩が応募してておもしろそうだから私も応募してみよう、という気持ちで「世界青年の船」に応募しました。
外に目を向けたいと思って外に出たわけではないゆずさん。はじめての価値観や生い立ちの違う人と出会いをきっかけに芯が形成されていきます。
感じた違和感。遊んでいること=悪の同調圧力
ーー「世界青年の船」とはどのようなプログラムなんですか?
簡単に言えば日本と海外の青年が同じ船に乗ってディスカッションをしたり文化交流したりして1か月間共同生活をするというものです。
私は小学校からずっと一貫校なのである程度お金の価値観や就職の価値観が似通っているんですけど、海外青年の人はそんなに所得はないけど国からの援助とかで来ている人もいて。はじめて違う価値観や生い立ちの人と話しました。
ーーはじめて外のプログラムに参加してみて感じたことはありますか?
すごく違和感を感じました。私は今まで内部生活でちゃらんぽらんに生きてきたんですけどちゃらんぽらんに生きてる自分と自分の友達が好きだったんですよね。でもこういうプログラムに参加してる人たちってビジョンがあったりり何かをされてる方が多くて。
ーー確かに。それはゆずさんと合わなさそうですね。
事前研修の時、「SDGsとか、ジェンダーとか大事にしてて。共感してるアカデミックな人出てこい」、と言う感じでどんどんみんな前に出てました。そういう意識啓発をして考えていくことも大事だと感じたけど、その中でも「くだらない」を止められた感じがして。
でも私はぼーっとしてるくだらない時間だって好きだし、友達と遊んでる時間だって好きなんです。
だから、「私はタピオカだって普通に飲むし、意識高くありたいって言うのを押し付けるのはエゴだから、遊んでていいと思います」って言いました。
色んな考え方があっていいと私は思うからこそ、意識高いことを強要するのが、私の活躍フィールドと違ったんです。
ーーすごい勇気!周りからはどんな反応をされたんですか?
みんな意識高いことを言ってたけど根は普通の大学生だし、考えてることは同じだからそう言ってくれて嬉しかったって言ってくれました。
意識が高い集まりで「遊ぶ」という素の自分を出せたゆずさん。遊ぶことで意識の高い人たちをどんどん巻き込んでいきます。
遊んで楽しむことで人を巻き込む
ーー「世界青年の船」ではどのような時間を過ごしたんですか?
船の中では遊ぶ企画を考えてました!
成人になる人に向けて成人式をやったり、船の中で逃走中をやりました。船が停泊してる時に一部にスーツ着させて、走らないで鬼ごっことかしてました(笑)
遊んで自分が楽しむことで、周りを楽しませるゆずさん。日本全国のゲストハウスをオンライン宿泊で巡るのも遊びの延長線上だと言います。
「おうちで日本一周」は遊びの延長線。
ーーゲストハウスの魅力を教えてください!
対面ベースで話せるのが好きですね。ホテルは景色を見たりするのが目的なんですけど、ゲストハウスはオーナーさんも出てきてお話できるのが一番の魅力です。
だから発信するときは「安いから行ってください」じゃなくて、「いい人たちだから会ってください!」と言っています。
ーークラウドファンディングをはじめたそうですが、どのようなクラウドファンディングですか?
オンライン宿泊をした47都道府県のゲストハウスを巡って、旅を通じ、出会った人々をまとめた本、題して「ひと本」をつくろうと思っています。
私が出会った素敵な「ひと」で溢れた本を作り、手にしてくれた皆さまが会いに行きたいなと思っていただければ幸いです。
ーーこの活動をしている中で大切にしていることはありますか?
「『変える』という言葉を使わないこと」です。もともと私は「日本のゲストハウスの宿泊率は4%で、それを変えます」みたいなことをクラウドファンディングのサイトで書いてたんです。
でも、このように世界を変えます、と書いたらお金は集まるかもしれない。けど、宿の人からするともともと守ってきたものを尊重しないで「変えます」なんていったら腹が立つと思うんですよね。
ーーなるほど。ゲストハウスの宿の方を大事にされてるんですね。
はい!クラウドファンディングでは支援してくれたリターンに宿泊券をつけてオンライン宿泊を広めるハブになったらいいじゃんと提案されたこともあります。だけど、宿泊券をつけたとことつけなかったところで差が生まれるのも嫌なんです。
だからスタンスは「安いから行ってください」って言ってゲストハウスの利用客を増やして業界を変えることではなくて、「いい人たちだから会ってください!」という想いです。
私の好きな宿を知ってほしいし、私の会いたい人にみんなも会ってほしい、この活動はアイドルのオタク活動と同じ気持ちです。私がアイドルを変えることはできないけど、好きを伝えることはできますから。
ーー想い、伝わるといいですね!
はい!ひとに会うために旅をするという私の旅の目的がいつの日か当たり前になるようになればいいなと心から思っています。
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日本全国のゲストハウスを巡ってゲストハウスの魅力を伝える素敵な活動を手がけるゆずさん。
崇高な志なんてなくても、純粋に自分が楽しいと思うことを伝えるだけで応援してくれる人がいるのだなと思いました。
皆さんも人の顔色を伺わず、吹っ切れて自分の好きなことを存分に出してみてはいかがでしょうか。そこから思わぬ仲間が増えるかもしれません。
僕も自分を出すことは苦手ですが、自分の好きなものを少しずつ出していきたいと思います。
まーきち
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