合同会社型DAOを理解する
2024年4月から合同会社型DAOが解禁されました。
この法改正に伴い、DAOを立ち上げることを考えている人も多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。
「でした」と過去形なのは
2024年6月現在だと、合同会社型DAOにするメリットはない
と判断したからです。
本記事では簡単に結果だけを記述しましたが、この結論に辿り着くまでに、法改正によって設立が可能になった「合同会社DAO」について詳細に調べました。
せっかくなので、今回の記事ではその知見を皆さんにシェアしようと思います。
というわけで今回は
合同会社型DAOを理解する
というテーマで記載します。
具体的には
合同会社型Daoとは
合同会社型DAOの仕組み
についてお話しします。
合同会社型DAOとは
合同会社型Daoとは
法人格の付与が可能なDao
です。
DaoはDecentralized Autonomous Organizationの略で
ビジネスやチャリティーなどの共通の目標を追求するために、暗号通貨ウォレットを共同管理するオンライン組織
です。
つまり
ブロックチェーンの機能を使って運営する組織
ことです。
具体的には
組織に既存の会社のように社長・部長・平社員のような厳密な役割がなく、目標達成のためのタスクをDAOの参加者が自発的に行い、貢献者がリワードトークンを受け取って組織の運営が行われる
ということです。
DAOは未来型の組織として注目されていますが、既存の会社等の中央集権組織のように大きく稼ぐことには向いておらず、どちらかというとオープンソースや公共サービスのような、大きな利益をあげにくいサービスを持続的に運営する手段として適しています。
なのでDAOが一般的になることで
基礎研究
メジャーでないスポーツやアーティスト
オープンソース
公共サービス
等の、営利事業としてやっていくと資金繰りが苦しくなる組織でも、持続的な運営が可能になることが期待されています。
しかし、法改正前のDAOの問題としては、DAOは法人にはなれないので、代表者が必要なサーバー代等の経費を支払わなければならないなどの問題がありました。
今回の法改正により、合同会社型DAOは法人契約ができるようになったので、DAOメンバー個人の負担が減るようになりました。
合同会社型DAOは文字通り
合同会社型として扱うことが可能になったDAO
ということになります。
合同会社型のDAOの仕組み
2024年6月現在だと、合同会社型DAOの仕組みは以下のようになっています。
合同会社型DAOには、定款の作成/出資の払込み/設立登記が必要
社員権をNFTで発行する
ガバナンスとトレジャリーのコントラクトを作成して利用できる
合同会社型DAOの設立手順は、基本的に通常の合同会社と同様になります。
合同会社と異なるのは
社員権をNFT、資金をトレジャリー、組織をガバナンスのコントラクトで管理できる
ことです。
しかし、現在決まっているのは上記くらいで、不明なことがまだまだ多いです。
また、NFTの発行や管理、トレジャリーやガバナンスのコントラクトの作成など、設立のハードルが通常の合同会社より高く、時間とコストが発生します。
なので、ほとんどの組織では、合同会社DAOにするメリットはないのが今の現実でしょう。
また、この先細かな部分が規定が加われば、さらに事務手続きが面倒になり、管理コストも上昇していくことが予想されます。
そうなれば尚更
通常の合同会社の方が良い
という合理的な判断になります。
そもそもDAOの最大のメリットは
通常の会社と比較して、組織を素早く立ち上げたり、閉じたりできる機動力にあります。
なので、このまま既存の仕組みの型にはめようとすればするほど
DAOとしての魅力は失われ、合同会社型としてのDAOはほとんど使われなくなる
ということになるでしょう。
まとめ
今回は
合同会社型DAOを理解する
というテーマで記事を書きました。
まとめると
日本で合同会社型のDAOが解禁された
現状は手続きや法が煩雑になるデメリットが目立ち、利用するメリットはほとんどない
合同会社型のDAOは、既存のDAOとしての魅力が失われ、合同会社としても従来より手続きが煩雑になっていて、中途半端な仕組みになっている
ということです。
正直、現状の合同会社型DAOでメリットがあるのは
合同会社型DAOの設立をアドバイスして金銭を稼ぐ税理士やサービス、法人設立によって税の徴収が可能になる国や地方自治
くらいです。
また、メリットがあってDAOを構築する場合も
既存のサービスやDApps使うより、自前で作成することをお勧めします。
なぜなら
組織の形は自分達で作り上げるもの
だからです。
組織作りに正解などありません。
DAOはあくまで組織の形態の一つであり、目的達成のための手段の一部でしかありません。
トークンやコントラクトは、自分達の組織にあった仕様で運用していくべきです。
現状の合同会社型DAOは、既存の組織の枠組みに無理やり当てはめただけの理想論のハリボテで、実用的に利用する状態にはない
というのが私の結論です。
この記事が皆さんの役に立てば幸いです。
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