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都心の家賃が今後も上昇し続ける5つの理由
家賃が上昇を続けています。
特にファミリータイプの家賃は2015年と比べると1.36倍(136%)も上昇しています。
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中でも、東京23区・東京都下・神奈川県・千葉県・札幌市・仙台市・大阪市・福岡市などの都心で、家賃が上昇しているデータが出ています。
私も以前住んでいた賃貸物件を調べた所、かなり家賃が上昇していました。
この傾向は、今後も続いていくことが予想されます。
この記事を読んでいるみなさんの中にも
大家 or 管理会社から家賃の値上げ通知がきた
という人が結構いるのではないでしょうか。
このまま緩やかなインフレが定着すれば、契約更新の度に値上げの通知を受け取ることになるでしょう。
日本政府と日銀は、ある程度インフレになることが好ましいと考えているので、この状況が持続する可能性は高いです(政府の税金が高すぎて実質賃金があがらず、デフレに戻る可能性もあります)。
一方で、住宅を購入したいとは思っているが、今は住宅価格が高騰しすぎて希望の住宅を購入することができないので、価格が落ち着くまでしばらく賃貸に住んで機会を伺おうと考えている人もいるでしょう。
しかし
建築業界を取り巻く状況はかなり厳しく
2024年と2025年が一般人が都心で住宅を購入する最後のチャンス
となる可能性すらあります。
特にファミリー層の賃貸住宅事情は、かなり厳しい状況になっていくことが予想されます。
というわけで今回は
都心の家賃が今後も上昇し続ける5つの理由
について解説します。
具体的には
賃貸需要の高まり
建築資材価格の上昇
金利上昇
建築業界の人材不足
SDGs
についてお話します。
誤解してほしくないのは
賃貸の家賃が上がるから住宅を購入すべきだ
と煽っているわけではありません。
なぜなら
住宅購入は不動産投資
だからです。
なので、不動産会社の営業マンや不動産系インフルエンサーの意見を鵜呑みにしてはいけません。
不動産を購入する前に、自分でリスクをコントロールできる不動産の知識を身につけなければいけません。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの比較的安定した商品なので、きちんとした知識さえ身につければそこまでリスクは高くありません。
これからするお話は、現在建築業界はこういう状況だから
今後は賃貸、住宅購入、リフォーム、修繕費と、ありとあらゆる住宅コストは上昇する
というお話です。
では、はじめます。
賃貸需要の高まり
「持ち家は負債」
という言葉が流行ってから結構な月日が経ちます。
このことは以前公開した記事
若者に刺さる「持ち家は負債」論の罠
の記事でも説明しました。
この意見が多くの人に受け入れられた結果かどうかはわかりませんが
結果として
現代では所有から利用へという賃貸派が大きく増加しました。
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しかし、賃貸派が大幅に増えたことにより、現在は需給バランスが崩れてきています。
特に都心では賃貸の需要が高すぎて、コストが
賃貸 > 購入
になっています。
住宅を建てるのにはお金も時間もかかるので、今後しばらくは需要に応じた供給は期待できません。
なので今後しばらくは
都心では持ち家より賃貸の方が圧倒的にコストが高くなる
ことが予測されます。
特に
都心のファミリータイプの家賃は大幅に上昇する
ことが考えられます。
理由は単純で
賃貸用のファミリータイプを建設する不動産投資家や企業より、新築や築浅の賃貸住宅を借りたいというファミリー数のほうが多い
からです。
こういうと
需要があるのなら、新しくマンションを建てればいいじゃないか
と思うかもしれませんが、住宅への投資を回収するには時間がかかります。
にもかかわらず、日本では、今後ファミリー世帯が減少していきます。
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国が発表しているデータを見ても、夫婦と子どもから成る世帯は減少している傾向が見て取れます。
このデータを見て
「新しく賃貸用のファミリータイプを建設しよう」
と考える不動産投資家はほとんどいません。
不動産投資をするなら
今後も世帯数の増加が見込まれる単身世帯用の住宅
を選択するのが理にかなっています。
上記で記述したように、不動産投資での投資資金の回収には時間がかかります。
なので、
新しくファミリータイプ賃貸用のアパートやマンションを建設するということは、利益の出にくい環境に投資をする
のと同じことです。
なので、今後も賃貸用のファミリータイプの物件の数は増えません。
すると、条件の良い賃貸用ファミリータイプの物件は取り合いになります。
競争の結果として、家賃はぐんぐんと上昇します。
つられて周りの他の物件の賃料も少しづつ上昇していきます。
これが今後の都心の不動産物件に起こることです。
一方、家賃の急上昇をあまり心配しなくてよい人もいます。
それは
独身、かつ住む場所に全く拘らない人
です。
今後は家賃が上昇していく一方で、人気のない空き家物件も増えていきます。
実際、修繕していないボロボロのアパートは、都心でもたくさんあります。
こういった物件でも全然平気
という人は、今後も家賃上昇の影響をそこまで受けることなく生活できるでしょう。
独身男性には結構そういう人がいるので、そういった人達は、あまり家賃の上昇について気にする必要はないでしょう。
建築資材価格の上昇
次は
建築資材価格の上昇
です。
建築資材の価格はここ数年で大きく上昇し続けています。
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この傾向は、今後も続くと予想されています。
当然、この物価上昇は消費者の支払う価格に上乗せされます。
建築資材は新築の建築物はもちろん、既存の建築物の修繕でも必要になるので、今後の住宅は、新築・中古に限らず上昇していくことになります。
金利上昇
次は
金利上昇です。
2024年、日銀はマイナス金利を解除してゼロ金利にしました。
個人的には、実質賃金が上昇していない状況でこの判断はいかがなものかと思いますが、既にやってしまったものはどうしようもありません。
現在の日本は老人が多いので、社会構造的に金利をあげにくい社会です。
日本の潜在成長率を考えると、金利を1.0%にするのも無理でしょう。
しかし、今の日銀が永久にゼロ金利を維持するいうことも考えにくいです。
しばらくゼロ金利の時代が続いたあと、10年程度の時間をかけて0.5%くらいまでは上がる可能性はあります。
しかし
金利があがると賃貸人である大家の金利負担が増えるので、家賃も当然あがることになります。
これに対し
普通借家契約であれば賃借人の同意なしに家賃はあげられない
と、SNS等で反論している人も見られますが、これは一部分は正しいですが、一部分は間違っています。
普通借家契約であっても
土地や建物の税金が上がったり、物価が上がるなど経済事情が変動したとき
家賃の値上げは可能です。
金利上昇は
経済事情が変動したとき
に当てはまります。
なので金利があがった場合は、更新時に家賃の値上げ通知も届きます。
特に金利上昇でダメージを受けるのが、ファミリータイプのアパート・マンションの建設です。
これらの建設には多額のお金がかかるので、ほんの少しの金利上昇でも、会社や不動産投資家が支払う金額は相当増加します。
この上昇した金額を補填するには
家賃を上げる
という手段を取る以外にありません。
もし、家賃をあげなければ、貸し手と借り手が共倒れになります。
なので
今後は金利上昇により家賃があがっていく
ということを考えておくべきです。
建築業界の人材不足
次は
建築業界の人材不足
です。
最近はメディアでも取り上げられることが増えてきたので、知っている人もいると思いますが
建築業界は人材不足
です。
特に大工が不足しています。
原因は色々とありますが
労働環境が悪くて給料が安いこと
が大きな原因の一つになっています。
このことは日本政府も大きな課題であることを認識していて
2024年の建設業界に対して「5%賃上げ」要求を行いました。
さらに政府は、公共事業で行う費用を増額することも決定しました。
具体的には
2024年3月から、「公共事業労務費の引き上げ」が行われています。
これにより、公共事業の労務単価が「前年比5.9%引き上げ」となりました。
加えて、建設業では2024年から「働き方改革関連法」が施行されます。
働き方改革関連法の主なポイントは以下の3点です。
時間外労働の上限規制の導入
年5日の有給休暇取得が必須
非正規社員の不合理な待遇差の禁止
これらの中で最も大きな変更点としては、時間外労働の上限が「月45時間・年360時間」になることが挙げられます。
特別な事情がある場合でも、「年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間」が限度になります。
この法律によって、これまでのような現場の作業者の長時間労働に頼る仕事のやり方が不可能になります。
このことは、建設作業でこれまでより多くの人材の投入が必要になることを意味します。
そしてその分の建設費用も上乗せされます。
なので、
住宅の購入、修繕の費用も上昇することになります。
SDGs
最後は
SDGs
です。
SDGsは多くの人が知っていると思います。
SDGsとは
持続可能な開発目標
のことです。
SDGsは、建築業界でも取り組みを始めています。
例えば家づくりにおいては、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入してエネルギー収支ゼロを実現するZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及、既存住宅の断熱リフォームの推進など、省エネ化が進められています。
これは未来のことを考えたとてもよい取り組みです。
一方で、この取り組みは
建築コストがあがる
という欠点があります。
しかし政府は、デメリットよりメリットのほうが大きいと捉えているようで
2025年のすべての住宅の省エネ基準への適合義務化
2030年に省エネ基準をZEH水準に変更
といった計画を立てています。
これは
新築住宅の建設のコストが大きく上昇する
ことを意味します。
なので、当然ながら
新築の賃貸マンションやアパートの家賃も大きく上昇します。
これは政府主導の取り組みなので、
この先10年間、新築住宅の価格は上昇していくでしょう。
当然、これに引きずられて既存住宅の価格や家賃も徐々に上がっていきます。
まとめ
今回は
都心の家賃が今後上昇し続ける5つの理由
というテーマで記事を書きました。
まとめると
賃貸需要が昔より高まっている
建築材料価格が上昇している
金利の上昇が予測されている
建築業界は人材不足に陥っている
SDGsに対応する住宅の施工が求められている
ということです。
このような話を聞くと
「価格が上がる前に早く住宅を購入しないと」
と焦ってしまう人もいるでしょう。
しかし、最初に言ったように
住宅購入は不動産投資です。
知識なしに不動産を購入してしまうと、高い確率で失敗します。
逆に、知識さえあれば、ほぼ大きな失敗はしません。
不動産営業マンや不動産系インフルエンサーの話を鵜呑みにしないでください。
彼らは自分が利益を上げることしか考えていません。
なので、最初は株式投資と同じく、本をたくさん読んで勉強しましょう
決して焦ってはいけません。
インフレ下でも粘り強く探し続けていれば、必ず良い物件は出てきます。
また、不動産の購入するなら手元に資金をある程度用意するべきです。
「頭金ゼロでも買えます」
と不動産営業マンは言いますが、絶対にやめましょう。
手元に資金がないのなら
まずは株式投資や暗号通貨投資で資産を形成するべきです。
不動産投資(住宅購入)はその後です。
株式投資や暗号通貨投資でも十分インフレ対策にはなります。
株式投資や暗号通貨投資について学びたい人は、以下の記事が役立ちます。
良かったら目を通してみてください。
今後も不動産について記事を時々は書いていくので、参考にしてみてください。
きっとあなたの役に立つと思います。