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BRICS Payを調べてみた


BRICS PayがBRICSサミットで公開されました。

BRICS PayはBRICS(主にロシア)が作成したブロックチェーンを使った決済方法ですが、ネット上には陰謀論的な情報が多く役に立たなかったので、一次情報を詳しく調べました。

私は米ドルがこのままずっと基軸通貨のまま続くとは思っていませんが、だからといってBRICSが発行する通貨が基軸通貨になるとも思ってません。

おそらく

先のことは誰にもわからない

というのが今の世界の現実なのでしょう。

ジャックアタリが世界の取り扱い説明書の中で予測しているように

米ドルはこれから起こる未曾有の金融危機で致命的なダメージを受ける

という可能性がかなり高いです。

なぜなら、今のペースで借金を増やすことを貸し手がいつまでも許すはずがないからです。

今の状況に置かれた米ドルを救う解決策を歴史から振り返ると

  • 経済成長

  • インフレ

  • 戦争

のどれかになりますが、どれを選択しても、今の米ドルが今の地位を維持することは不可能です。

つまり、完全に詰んだ状態です。

そして、このタイミングで登場したのが

Brics Pay

です。

最近では

G7の時代が終わり、BRICSの時代になるという意見を見かけるようになりましたが、私は昭和の古い人間なので、BRICSが信用できません。

今から15年ほど前、リーマンショックの前に

「これからBricsの時代が来る」

という戯言が流行った時期があり、私も少しだけBRICS銘柄を数年間保持していた時期があります。

しかし結果は

先進国株のパフォーマンスを大幅に下回る

結果になりました。

確かにBRICSは大きく成長したのですが

成長しても配当をあまり出さない

というBRICSの社会主義性がリターンを押し下げたからです。

つまり

どんなに成長をしようとも、その成長の果実を出資者(株主)に支払わないのであれば、庶民は恩恵を受けることができない

ということです。

なので、私はいまだにBiricsに対して懐疑的です。

しかし、時代は変わりつつあります。

ジャックアタリだけでなく、エマニュエル・トッドも

西洋の衰退を予言し、次の時代の到来を告げています。

なので

Bricsは信用できないと切り捨てないで、BRICS Payについてもきちんと調べてみることにしました。

きっと私のような考えを持っている人は結構いると思うので、そういった人に役立つ記事になったと思います。

というわけで今回は

BRICS Payを調べてみた

というテーマで記事を書きました。

具体的には

  • BRICS Payの目的

  • DCMS

  • BRICSペイQR

について記載します。

BRICS Payの目的


BRICS Payの目的は

金融技術によって世界の富への平等なアクセスを確保し、すべての人に潜在能力を最大限に発揮する機会を提供すること

です。

BRICS Payの開発には、BRICS Payコンソーシアムが結成されていて、分散型自律組織(DAO)の原則に基づいて運営されています。

DAOについて知識がない人は、

「Roopt神楽坂DAOの運営手法は不動産投資として再現性があるのか」

という記事の「Doaとは」の項目を目に通してください。

コンソーシアムとは、共通の目標のために企業や組織が作る共同体のことで、BRICS Payコンソーシアムでは

  • BRICSペイQR

  • BRICSペイB2B

  • BRICSユニット

  • ロイヤリティ

などについて議論・検証が進められているようです。

しかし、現時点ではBRICSペイB2Bやロイヤリティの情報はまだ公開されていません。

また、BRICS Payの技術ではDCMSと呼ばれるブロッックチェーンが利用されています。

イーサリアムを作成したヴィタリック・ブテリンもロシア系の人物なので、ロシアにはこのような技術が得意な人材が多いのかもしれません。

次は重要なブロッックチェーン技術のDCMSについて理解を深めていきましょう。

DCMS


DCMSとは

Decentralized Cross-border message system

の略で

決済情報交換のためのユニバーサルシステム

です。

DCMSはブロックチェーンなので、オーナーが存在しません。

Bricsといえば権威主義的なイメージを持っている人も多いはずなので、これは意外に思う人も多いのではないでしょうか。

DCMSの基本的なアーキテクチャーは、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンと同じです。

つまり、分散型のノード同士がデータをやり取りをして、情報の透明性が高く、第三者による改ざんも不可能です。

これは

Bricsという多くの国が参加する仕組みである以上、透明性とセキュリティを極限まで高めないと、お互いが疑心暗鬼になってしまい使い物にならない

ということからブロックチェーンを使う選択肢になったのではないかと思います。

通貨用途のブロックチェーンとしては、業界ではRipple(XRP)の利用が期待されていて高評価を受けていますが、DCMSはXRPと異なり

トランザクションが無料

という特徴を持っているようです。

ブロックチェーンはトランザクションを発行するたびに手数料が発生するので、これは大きな差別化につながります。

一方で、トランザクション手数料を利用せず、どのようにセキュリティと透明性を持たせるのかが現状ではよく分かりませんでした。

考えられるのは、ノードサーバーの運営者や参加者がガス代を建て替えるような仕組みです。(イーサリアムのスマートアカウント的な仕組み)

他にもDCMSは

システムはオープンソースとして配布されて利用は無料

となるようです。

現在は未公開ですが、パイロット版がうまくいった後にソースコードが公開されるようなので、そこで詳細なアーキテクチャーを理解することができるでしょう。

技術としては

Go・React・solidity

を利用しているとのことです。

また、メッセージングはSWIFTフォーマットを採用しています。

これは既存のSWIFTを置き換えることまで考慮している仕様でしょう。Bricsの立場であれば当然の仕様であり、最も重要な仕様であるといえるでしょう。

BRICSペイQR


BRICSペイQRは

BRICS Pay上で動くBRICSに所属する国の一般人が普段の決済で利用するQRコード決済サービス

です。

日本だとpaypayや楽天payのようなサービスです。

クレジットカードを紐付けて利用することもできるようです。

これは特に説明は不要でしょう。

その他


上記以外にもBRICSペイB2Bなどの機能もありますが、まだ詳細は公開されていません。

まとめ


今回はBRICS Payについて調べてみました。

まとめると

  • BRICS Payはブロックチェーンを使った決済方法

  • BRICS Payはバックエンドにブロックチェーンを利用している

  • BRICS Payはオープンソースで今後公開される予定

ということです。

最近は世界情勢を煽るニュースが多く

BRICS Payは脱ドルを目指すBRICSの陰謀だ

といった意見を目にするようになりましたが、実態は

ブロックチェーンをバックエンドにしたBrics版PayPayのインフラ

です。

これにより通貨のスワップコストが最小限に抑えられるので、Brics間の支払いが効率化されますが、別にBricsが米ドルに変わる基軸通貨を発行するという意図から作られたサービスではなさそうです。

そもそも冷静になって考えてみれば、

今後多くの加盟国が予定されているBRICSにおいて、通貨を統一するという考えは現実的な話ではなく、それよりも各国通貨のスワップコストを限りなくゼロにする方が効率的

です。

それを考えるとBRICS Payというサービスは、いい落とし所なのではないでしょうか。

ジャックアタリが予想するように

将来的にグローバルに流通する通貨は、グローバル展開する民間企業によってブロックチェーンで発行される

と考える方が今の世の中の流れではしっくりきます。

国家の仕事は、自国の防衛と法の確立、他国との駆け引きになり、通貨は中央銀行と企業が発行するデジタル通貨が競合していくことになるでしょう。

最終的には

国家に縛られることのない、グローバルに流通する通貨がグローバル企業によって発行され、市場のニーズによって使われていく

ということになるのではないでしょうか。

そもそも今の資本主義の世界が続けば、G7やBricsという枠組みに捉えられた仕組みの多くは

最終的に市場の力によって打ち負かされる

という結末を迎える可能性が高いです。

なので、BRICS Payが正式リリースされても、今後を気にする必要はなく、PayPayや楽天Payと同じ便利ツールの感覚で利用して問題ないでしょう。

なぜなら、BRICS Payが流行っても脱米ドルの原因にはなりませんし、結局通貨はブロックチェーンで発行・管理される運命です。

BRICS Payがオープンソースで公開を予定していることからもわかるように、この流れを止めることはできません。

ブロックチェーンとAIを使ったグローバル企業による世界統一通貨の発行は、デメリットよりメリットの方が多いでしょう。

BRICS Payは脱ドルどころか、市場の力をさらに増幅させるのではないでしょうか。

私の予測は多くの皆さんの予想とは真逆で、そんなことを想起させる調査結果となりました。

この記事が皆さんの未来予測に役立てば幸いです。

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