マイクロストラテジーから学ぶ企業と個人のビットコイン戦略
企業がビットコインを購入して保持する動きが目立ってきています。
多くのビットコインの購入・保持をしている企業としては
マイクロストラテジー
マラソン・デジタル・ホールディングス
ギャラクシーデジタルホールディングス
テスラ
などが当てはまります。
「マラソン・デジタル・ホールディングス」「ギャラクシーデジタルホールディングス」は暗号資産を専門に扱う会社なので、ビットコインの購入と保持をするのは当然ですが、マイクロストラテジーやテスラがビットコインを保持するのは、何か理由があるからでしょう。
その理由を常識的な観点で考えると
ビットコインが長期的な価格上昇をすると予想しているから
ということになるでしょう。
実際ビットコイン価格は、M2(市場全体に流通している通貨の供給量)で測定される世界のマネーサプライと正の相関を示してきました。
ということは、今後もビットコイン価格は上がり続ける可能性が非常に高いということです。
なぜなら現在の資本主義の世界は、各国がお金を刷ることで成り立っているからです。
アメリカや日本はもちろん、中国ですらマネーを刷りまくっています。
この傾向は、資本主義が続く限り今後もさらに加速していくはずなので、ビットコインの価格も上昇していくことが考えられます。
しかし、ビットコインの価格が上昇する可能性が高いからいう理由だけでは、企業がビットコインを購入する理由としては弱いです。
なぜなら
企業の場合、ビットコインに投資するより事業に投資した方が、低いリスクで大きなリターンが期待できる
からです。
個人が投資で毎年安定して10%のリターンを出すのは難しいですが、事業投資であれば十分可能です。
特にマイクロストラテジーのようなベンチャー企業であれば、より大きな成長が期待できます。
ということは
企業がビットコインに投資することは、事業投資する以上にメリットがある
はずです。
というわけで今回は
マイクロストラテジーから学ぶ企業と個人のビットコイン戦略
についてお話しします。
具体的には
マイクロストラテジー
企業のビットコイン戦略
個人のビットコイン戦略
についてお話しします
マイクロストラテジー
ビットコイン投資で最も有名な企業が
マイクロストラテジー
です。
マイクロストラテジーは、データからビジネスの意思決定をするBIツールを提供する会社ですが、最近は大胆なビットコイン投資を行い、業界全体に波紋を広げています。
マイクロストラテジーのBTC保有量は2024年11月現在で
252,220
にも及びます。
これは、ビットコイン全体の1.2%にもなります。
マイクロストラテジーは、企業のビットコイン導入にいち早く着手しました。
このマイクロストラテジーの決断は、初期投資額の36倍を超える巨額の利益をもたらしました。
CEOのマイケル・セイラー氏がシェアしたデータによると、この戦略を採用して以来、彼らの保有資産は1000%という驚異的なリターンを生み出しています。
例えば2024年だけを見ても、ビットコイン自体は1年間で35,000ドルから75,000ドルの2倍以上に急騰しています。
そしてマイクロストラテジーの株は、なんと4倍超に急騰しています。
両者を比較して見ると、マイクロストラテジーの株価が見事にビットコインのチャートと連動していることがわかります。
そして
マイクロストラテジーがビットコインを購入すると、マイクロストラテジーの株が急騰する
という傾向も見て取れます。
つまり、
マイクロストラテジーはビットコインの価格上昇の恩恵と自社の株価上昇の恩恵をダブルで受けている
ことがわかります。
このマイクロストラテジーの成功を見て
この戦略は他の企業も追随できるモデルなのだろうか
この戦略は自社でも再現性があるのか
と考えている企業が増えてきています。
中には、株主から「ビットコインを購入しろ」圧力を受けている会社もあるようです。
では、他の企業もマイクロストラテジーと同じ戦略で企業価値を高めることができるのでしょうか。
次はそのことについて考察します。
企業のビットコイン戦略
最初に、他の企業もマイクロストラテジーのようなビットコイン戦略を取るべきかの結論を述べると
企業のビジネスや環境次第
ということになります
例えば
マイクロストラテジーの株は、ビットコインよりもボラティリティが高い
です。
ボラティリティとは、資産価格の変動性や変動率を表す指標で、ボラティリティが高いほど価格変動性が大きく、リスクが高いとされています。
計算によると、ボラティリティはビットコインの14%に対し、マイクロストラテジーの株は25%にもなります。
つまり、
マイクロストラテジーの株はビットコインよりも価格変動性が大きく、リスクが高い
ということです。
また、リスク調整後リターンの指標であるシャープレシオだと、マイクロストラテジーの株は4.70で、ビットコインの1.73よりはるかに高いシャープレシオとなっています。
シャープレシオとは
投資効率の良さを数値化した指標で、リスクに見合うリターンが上がっているかどうかを示します。
基準値は、一般的に1.0以上であれば優良なファンド、2.0以上であれば非常に優良なファンドとされています。
つまり
マイクロストラテジーはビットコインを購入することで、ビットコインを超える優良なファンドになっている
ということが言えます。
なかなか面白い現象です。
このようにマイクロストラテジーの戦略は一見魅力的に見えます。
しかし、いくつかの要因から、ほとんどの企業には当てはまらないのが現実でしょう。
例えば、マイクロストラテジーは、社債を発行してその一部をビットコインの購入に充てています。
一般的にアンコントローラブルでボラティリティの高いビットコインに投資をすることは、事業投資と比べるとかなりのリスクを伴います。
しかし実は、マイクロストラテジーの株はビットコインよりボラティリティが高いので、ビットコインを購入することは安全策を取っていることになります。
加えて、安全策を取りながら、自社の株価が大きく値上がりする可能性も高くなります。
つまり、マイクロストラテジーがビットコインに投資することは、マイクロストラテジーという会社にとっては合理的な選択なのです。
また、マイクロストラテジーは豊富な資金があるので、一度に大量のビットコインの購入が可能です。
投資のリターンは入金力で決まるので、この戦略を小さなベンチャーが真似することはできません。
一方で、資金力のある著名な上場企業では、リスク的な観点から暗号通貨の投資は慎重にならざるを得ません。
なぜなら
ビットコインに投資するより、自社に事業投資する方が低リスクで自社の価値を高めることができる可能性が高い
からです。
資金力のある著名な上場企業では、成長だけでなく、安定性も求められます。
これらの理由から
ほとんどの企業ではビットコイン戦略は取れない
ということになります。
個人のビットコイン戦略
では、個人もマイクロストラテジーのように、お金を借りてまでビットコインを購入するという戦略を取るべきなのでしょうか。
結論から言うと
ビットコイン投資はすべきだが、余裕資金の数%(3-5%)でやるべき
と、いつもと同じ回答になります。
先ほど説明したように、ビットコインのシャープレシオは1.73なので投資先として優秀です。
また、ビットコインは企業と異なり、消滅することもありません(ほぼ無価値になる可能性はある)
ボラティリティが高いのは事実ですが、現在の株式市場の危うさを考えると
ビットコインを保持しないリスクのほうが、保有しないリスクより高い
と言えます。
ただし、資産を一気に増やしたいという考えでビットコインの売買を繰り返すのは、やはりおすすめしません。
これも何度も言ってますが
ビットコインの値動きは株式市場の動きと一致しません。
ビットコインは暗号通貨市場の税制や規制などの影響が大きく、いつ上がるか暴落するかもわからないので、短期的な売買には全く向きません。
しかし、NFT相場やトランプ相場のように、一気に上昇する時期が発生するのも事実なので、短期的な損失は無視してコツコツと買い増ししていくべきです。
長期的な保持であれば失敗する確率はグンと低くなります。
また、企業と異なるのは、個人がビットコインを保持したからといって、あなたの保有している株価の価格が上がるわけではないことも認識しておきましょう。
なので個人がビットコインを保有するメリットは
長期的な資産価値の上昇の期待と資産の分散
になります。
なので、資産の数%をリスク分散としてビットコインにしておくのが最も良い選択なのではないでしょうか。
まとめ
今回は
マイクロストラテジーから学ぶ企業と個人のビットコイン戦略
というテーマで記事を書きました。
まとめると
マイクロストラテジーはビットコインを購入することで、ビットコインの値上がり以上にマイクロストラテジーの株価を上昇させた
ほとんどの企業はマイクロストラテジーの戦略を利用することはできない
個人は余裕資金の数%をビットコインの購入に当て、長期的な保持をするのがオススメ
ということになります。
いまだにビットコインを購入するべきか迷っている人は多いと思います。
ビットコインはボラティリティが激しく、買い時や売り時を判断するのが難しいアセットだからです。
しかし、歴史を振り返ると
ビットコインは、短期間で急激な上昇をする時期が発生します。
その時期は、株価のような分析は不可能で、突然訪れます。
なので定期的に購入し、長期保持するのが、個人にとって最も賢明な投資手法になります。
また、あなたが会社を経営していて、マイクロストラテジーのような環境にある会社であれば、ビットコイン投資をするのも良い選択です。
しかし、そのような条件に合致する企業はほとんどないはずなので、やはり事業に投資することが一番におすすめになります。
この記事があなたの今後のビットコイン戦略に役立てば幸いです。