ビットコイン・ジャックドーシー・基軸通貨
Xの元CEOのジャック・ドーシー氏が
「ビットコインはドルに取って代わる」
とイタリアで開催されたイベントで発言しました。
この報道を受け、多くの人がSNSなどで
「そんなことあり得ない」
「馬鹿げている」
とジャック・ドーシー氏の発言を否定しています。
ジャック・ドーシー氏は以前からビットコイン信者として有名で、以前にXでも
「暗号通貨がドルに取って代わると思いますか?」
というポストに対し
「そうだ。ビットコインがそうなるでしょう」
と返信したことがあります。
私もビットコインを資産として評価していて、実際にポートフォリオの一部に組み込んでいます。
しかし
ビットコインが米ドルに取って代わる
とは思っていません。
そういう意味では、私もジャック・ドーシー氏の意見を否定する側の人間になるのですが、ジャック・ドーシー氏がこのような考えに至っているのは、
ジャック・ドーシー氏は、他の人が気がついてないビットコインの何かに気づいている
ということも考えられます。
そこで
これはビットコインを深掘りするいい機会と捉え
調査・考察をする時間を取りました。
結果として、なかなか面白い結論に至ったので、今回noteの記事にまとめることにしました。
というわけで今回は
ビットコイン・ジャックドーシー・基軸通貨
というテーマで記事を記載します。
具体的には
基軸通貨
フィンテック企業ブロック
ビットコインの機能と特性
について説明していきます。
基軸通貨
基軸通貨とは
国際通貨の中でも中心的な地位を占める通貨
のことです。
基軸通貨は、主に国際貿易、金融取引、外貨準備(為替介入等の資金)などに使われます。
2024年現在の基軸通貨は米ドルで、それ以前はイギリスのポンドが基軸通貨を担っていました。
直近の過去20年間で、世界の準備資産に占める米ドルの比率は低下していますが、未だに米ドルは60%近いシェアを握っています。
ジャック・ドーシー氏が言っていることは
この圧倒的な強者である米ドルがビットコインにとって変わられる
ということです。
より具体的に言い換えると
国際貿易、金融取引、外貨準備(為替介入等の資金)にビットコインが使われる
ということです。
このことは
どう考えても無理がある
と思うのが普通の人の感覚ではないでしょうか。
しかし、ジャック・ドーシー氏は常人ではありません。天才です。
彼がこのようなことを言い続けているのは、彼には彼の考える未来のビットコインの姿が見えているに違いありません。
なので、凡人である私も彼に習い、いくつかの仮説を立ててみました。
仮説1. 金本位制ならぬビットコイン本位制
まず最初に思いつくのが
金本位制ならぬビットコイン本位制
の導入です。
ビットコイン本位制が導入されることで、ビットコインが米ドルに取って代わるという仮説です。
これは
ビットコインの保有量に応じて通貨の発行量を決める仕組みを導入する
ということです。
しかし、金本位制がうまくいかなかった理由を考えると、ビットコイン本位制もうまくいかないことは明白です。
金本位制は、金の保有量に応じて通貨の発行量を決めることで、通貨を安定させることができますが、経済成長や金融政策に柔軟に対応することができないという弱点があります。
これは資本主義において致命的な弱点です。
通貨を安定させることは重要です。
しかし
通貨はあくまで取引のツールに過ぎません。
通貨の仕様に引っ張られて、経済成長や金融政策が阻害され、国民が困難に陥るのでは意味がありません。
現代は昔より取引の数も多く、イノベーションの速度も速いので、金本位制は論外でしょう。
なので当然
ビットコイン本位制
も無理があります。
仮説2. アメリカが米ドルを捨ててビットコインを法定通貨とする
次の仮説は
アメリカが米ドルを捨ててビットコインを法定通貨とする
ことです。
正直この仮説に関しては
世界中のほとんどの人にメリットがない
ので論外だと思います。
自国通貨が基軸通貨であるメリットを一番理解しているのが他ならぬアメリカです。
アメリカは米ドルの発行数をコントロールすることで、世界を実質的に支配しています。
なので、分散型でアンコントローラブルなビットコインを、アメリカが法定通貨にするわけがありません。
今後もし、米ドルがユーロや人民元に基軸通貨の座を奪われるようなことがあれば、アメリカでビットコインを基軸通貨にするべきだと主張する人も現れるかもしれません。
しかし、ビットコインのトランザクション処理能力はとても低いので、日常の支払いの決済には使えません。
なので、この仮説2は仮説1以上にあらゆる点で無理があります。
仮説3. ビットコインの信用力が米ドルを超える
三つ目の仮説は
ビットコインの信用力が米ドルを超える
ということです。
おそらく
ビットコインが米ドルにとって変わるならこれ以外の方法はありません。
問題は米ドルを超えるほどビットコインの信用力が上がるか
ということです。
これは言い換えると
ビットコインがアメリカの国力を凌駕する
ということでもあります。
米ドルは、米国政府の信用と強大な力によって支えられています。
一方のビットコインは、一部の富裕層の資産分散、ギーク達による分散型サービスのプラットフォームとして利用されています。
両者の信用力の差は明らかです。
つまり現状では、ビットコインが米ドルに変わることはない
でしょう。
ただし、100年を超える遠い先の未来ではあり得るかもしれないと思わせる部分もあります。このことについては後で説明します。
なので、もしかしたらジャック・ドーシー氏は、100年を超える遠い未来を見て発言しているかもしれません。
フィンテック企業ブロック
次は
フィンテック企業ブロック
についてお話しします。
ブロックは
ジャック・ドーシー氏が立ち上げた決済会社です。
ブロックは提供サービスの中で、ビットコインを扱っています。
最近では、ビットコインのマイニングシステムを構築することも発表しました。
このことから
ジャック・ドーシー氏はビットコインの価格上昇を狙って、ビットコインが米ドルに取って代わると
事業マーケティングの一環として発言しているとも考えられます。
ビットコイン価格の上昇は、ジャック・ドーシー氏が運営するブロック社に大きな富をもたらします。
なので、このことが目的でこのような発言をしているとも考えられます。
しかし
ジャック・ドーシー氏はすでに使いきれないほどの富を得ています。
お金目的のためだけに企業を立ち上げ、その上ビットコインのようなボラティリティの高い商品を扱うのは馬鹿げています。
そうなると
富を得る目的以外にも、ジャック・ドーシー氏を惹きつける魅力がビットコインには存在する
ということになります。
おそらくそれは
ビットコインのもつ機能と特性
にあるはずです。
なので、次はビットコインのもつ機能と特性について解説・考察します。
ビットコインの機能と特性
最後に
ビットコインの機能と特性
について解説していきます。
ビットコインは
金のようなデジタル資産
と世界中で評価されていますが、それは世間が作り上げたビットコインの一面でしかありません。
例えば、私のようにブロックチェーンを使った開発に携わるエンジニアだと
ビットコインは分散型プラットフォームであり、そこで発行されているBTCは、運営を持続的にするためのツールの一部
というイメージの方が強いです。
とはいえ私は
世間でビットコインが金のようなデジタル資産として捉えていることを批判する気はありません。
彼らが支持しているからこそビットコインの価格は上がるし、私自身もビットコインを保持しています。
しかし一方で、
ビットコインをデジタルゴールドとしてしか扱わないのは勿体ないとも思います。
なぜなら、ビットコインにはもっと実用的な機能と特性をもっているからです。
具体的には
NFTの発行
独自トークンの発行
分散型ID(DID)での利用
などが挙げられます。
知らない人も多いですが、現在のビットコインはNFTの発行も可能になっています。
2022年の爆発的なNFTブームの発生時、ビットコインはNFTに未対応でしたが、現在は改良されNFTを発行できるようになっています。(公式には認められていません)
つまり、ビットコインも
イーサリアムやsolanaのように進化を続けている
ということです。
しかし、分散型プラットフォームとしてのビットコインは、イーサリアムやsolanaより使い勝手や機能面で若干劣っています。
従って、ジャック・ドーシー氏がいう「ドルの代替」には、これらの機能を考慮しても力不足です。
ただし、ビットコインには米ドルには真似できない優れた点があります。
それは
ビットコインは取引記録を永遠に残せる
ことです。
ビットコインのデータは、国や企業がどんな権力を振りかざしても改ざん不可能で、地球に破滅的な出来事が発生しない限りデータが消えることはありません。
これは
時間が経てば経つほど価値があがっていく
ということです。
普段の生活では気付かないと思いますが
データを長期にわたって保存し続けるということは、非常にコストのかかること
です。
データを保存し続けるには継続的なサービスのメンテナンスが必要で、そのコストはサービスを提供する企業が払い続ける必要があります。
なので
銀行であっても全ての取引を永久に保存することはできません。
コストがあまりにかかりすぎて、費用対効果が見合わないからです。
データが増えれば増えるほどメンテナンスコストは肥大化するので、大量のデータを保存することは、企業の金銭的な負担を増大させるのです。
そして、万が一企業が破綻してしまうと、データも消えてしまいます。
しかし、ビットコインは違います。
ビットコインはサービスが動き続ける限り、取引データが保持され続けます。
ビットコインは企業が運営しているわけではなく、分散型のサービスなので、ビットコインを利用する人がいる限りビットコインの記録は存在し続けます。
例えば、あなたの遥か未来の子孫が、あなたがビットコインで決済したことを確認することも可能です。
そして、そのデータは国も企業も改ざん不可能なので、真実であることが保証されています。
これはとても価値のあることです。
もしあなたが未来の子孫にお小遣いを渡したいのであれば、ビットコインを購入したアドレスを保管して、子や孫にその旨を伝えておくと良いでしょう。
加えてメッセージを残したければ、NFTを使ってメッセージを記録しておくこともできます。
このようなことは、銀行や企業が運営するサービスではまず不可能です。
遠い未来では、そもそも現在存在するサービスや企業自体が潰れて存在しない可能性の方が高いからです。
このような超長期的な未来まで考えると、ビットコインが米ドルより信頼される未来というのは十分あり得ます。
むしろ、こういった用途に関しては、米ドルよりビットコインの方が信頼できるでしょう。
未来の子孫に米ドル1万ドルをお小遣いとして残しても紙屑になる可能性が高いですが、1BTCを残しておけば住宅と車を購入できるかもしれません。
とはいえ、それでも今の現役世代が米ドルよりビットコインを信頼するようになる可能性は低いでしょう。
なぜなら、私達は生まれた時から国家が発行する法定通貨を使って生活するのが当たり前になっていて、それを無意識レベルで信頼しているからです。
現代で紙幣よりも金(ゴールド)を信じるという人は、ごく少数なのと同様に、紙幣よりビットコインを信じる人も僅かです。
なので、もしビットコインが米ドルより信用を得るとしても、ビットコインネイティブ世代が当たり前になってからになるので、今から100年はかかるでしょう。
もしそうなった時、未来の人達は
「ジャック・ドーシー氏は天才だった」
と彼をあがめるでしょうが、その時ジャック・ドーシー氏はもちろん、現代を生きる我々もこの世にいないでしょう。
なので、ジャック・ドーシー氏のいう
「ビットコインはドルに取って代わる」
という意見は
これから十数年単位で実現する可能性は低いが、それより先の100年後なら十分ありえる
と思います。
つまり
ジャック・ドーシー氏は100年以上先の未来を見ている可能性があるので
「(数百年後に)ビットコインはドルに取って代わる」
という彼の意見はまんざら出鱈目ではない
ということが言えるでしょう。
(*) 私のビットコインに対する価値についての考えは以下の記事でも書いているので、よければ一読ください。
まとめ
今回は
ビットコイン・ジャックドーシー・基軸通貨
というテーマで記事を記述しました。
まとめると
現状ビットコインがドルに取って代わる可能性は低い
ビットコインは進化していて、今後も進化をし続ける
期間が長くなればなるほどビットコインの価値は高くなるので、ジャック・ドーシー氏の意見はまんざら与太話でもない
ということです。
私の現在の各暗号通貨に対する評価は、以下の記事を書いたときと変わっていません。
なので、今後も特定の暗号通貨に関しては資産ポートフォリオに入れ続ける予定です。
私達は、ジャック・ドーシー氏の意見のような、現在では想像もつかない未来予測を聞いた時
「そんなわけない」
とすぐに否定してしまう傾向があります。
しかし、否定するだけでは、大きなチャンスを逃してしまいます。
なので、自分が興味を持っている分野に関しては
なぜそのような結論に至ったのかと、仮説・検証していく必要があります。
ビットコインの歴史はたかだか10年程度で、米ドルの信用力とは比較になりません。
今は米ドルの信用力の方が遥かに上です。
しかし、ビットコインは永遠に運用可能な分散型の仕組みで動いているので、20年、30年と経つうちにどんどん世界中の人々から信用を得ていくことになるでしょう。
同時に機能も進化し続けるでしょう。
その時、ビットコインが未来の世界でどんな役割を果たすかは、今の我々には想像つきません。
なので、今の我々ができることは
未来に備えて余裕資金でビットコインに投資していく
ことではないでしょうか。
個人的には、資産の2 - 5%くらいを暗号資産に投資するのは良い選択だと思っています。
そして、その中の半分はビットコインで良いのではないでしょうか。
この記事が今後のあなたの暗号通貨戦略に役立てば幸いです。