『いつかは英語を話したい!でも、今じゃない』人にお勧めしたい(スピーキングのための)学習法を紹介します。
『英語を勉強しているからにはいつかは流暢に話せるようになりたい! でも今は英語を話す機会もないし、今後話す予定が決まっているわけでもない。だからスピーキングのトレーニングのモチベーションがなかなか上がらない』という人はいませんか?(これを書いている僕がまさにそうだったんですが。)僕自身がいろいろ試行錯誤していく中で、これはいいぞ!と言える方法が見つかったので、みなさんにご紹介したいと思います。でもちょっとその前に、僕の現在の英語学習のスタンスについてお話しさせてください。僕は現在次の2つのアプローチで日々英語を学習しています。
1.『英語を話すことになる生活』が実際に来ることが確定したときにスピーキング学習の「ロケットスタート」が切れるよう、語彙力と背景知識の強化をはかる
※つまり、インプット学習をメインにする、ということです。まあ、もともとインプット系の学習の方が自分は楽しいというのもあります。
2.『いつか来る本格的なスピーキング学習の時期』に備えるウォームアップを行う(実はこれが結構楽しい)
そして今回ご紹介するのが、このウォームアップに関する学習法です。その学習法とは、
(素材は何でもいいので)一定量の英語を暗唱する
というものです。実際にやってみると分かるのですが、ズバリ、暗唱はいいですよ!! 例えるなら、暗唱することによって『英語の方が自分自身に近づいてくる』ような感覚を味わうことができます。(ホントかよ、でも本当にそんな感覚なんです。)
では、どのようにやるかというと、自分が暗唱したいもの(洋楽、映画のセリフ、スピーチの一部、海外の小説の一節など、本当に何でもいいです)を選んで、それを覚えて口に出す、それだけです。ポイントは、音声や映像の「お手本」があり、それをできるだけまねる形で練習する、ということです。長さは、30秒以上であれば、あとはお好みでかまいません。素材としては、例えば洋楽であれば、歌いあげる系よりも早口だったりノリの良い曲の方が、単語数も多くて練習には向いていると思います。また、映画のセリフの場合は、自分の好きな映画の一部、例えばハリーポッターの「ハリー」と「ロン」と「ハーマイオニー」の3人が話しているシーンの一部を(英語字幕を書き起こしてから)すべて覚える、というようなやり方です。
僕が今好んで選んでいる素材が「ラップ」です。例えばこれ、
この曲、途中でマドンナ自身がラップをするパートがあるのですが、この曲を知っている方、そんなパートがあったことを覚えてましたか?(僕はすっかり忘れてました。)ラップは上の動画の3分40秒くらいから始まります。ぼくはこのラップパートのみを覚えて暗唱(というか、ラップ)しています。下はそのパートの歌詞(リリック)です。
Greta Garbo, and Monroe
Dietrich and DiMaggio
Marlon Brando, Jimmy Dean
On the cover of a magazine
Grace Kelly; Harlow, Jean
Picture of a beauty queen
Gene Kelly, Fred Astaire
Ginger Rogers, dance on air
They had style, they had grace
Rita Hayworth gave good face
Lauren, Katherine, Lana too
Bette Davis, we love you
Ladies with an attitude
Fellows that were in the mood
Don't just stand there, let's get to it
Strike a pose, there's nothing to it
Vogue
英文というにはちょっと?という感じで、特に前半は(往年の)スターの名前の羅列ですが、これでも全然大丈夫です。大事なのは、暗記して実際に英語を口にすることですから。これを本物と同じテンポ、同じ譜割りで暗唱できるまで練習しました。(ちゃんと韻を踏んでいるので歌っていて楽しいです。)暗唱というのは意外と大変で、この30秒くらいのパートを大体間違えずに「そらで」ラップするのに、1週間はかかったと思います。
暗唱の効果は次の2つです。
1.音読よりも、「英語が自分のものになっている」感覚を味わえる
これが、先ほど言った『英語の方が自分自身に近づいてくる』感覚です。どういう事かというと、音読の場合は、文の意味を頭のどこかに置いて声に出していて、その際日本語の感覚がどうしても入り込んでしまいます。一方、暗唱で、しかもネイティブのお手本を「まねる」場合は、英文を思い出し、発音やリズムやイントネーションなどに気をつけて声に出していると、頭の中が英語だけになり、この状態が「自分は今英語の世界の中にいる」感を生み出してくれるのです。僕の場合は、ただ本物をまねて間違わないように言う事で頭がいっぱいで、自分が口に出している英語の意味を考える余裕はないのですが、それでいいと思っています。この「頭の中が英語だけ」の状態が、外国人と英語で長いやり取りをしているときの「頭の中を英語だけでグルグル回している」状態にどこか似ていると感じられるからです。
黙読 < 音読 < 暗唱
このような不等号で、対象となる英語がアウトプットの方向に向かっていくように僕は思います。黙読よりも音読の方がアウトプット的で、音読よりも暗唱の方がアウトプット的だということです。
2.「口の筋肉のトレーニング」として有効である
これは実際にやってみると分かります。英語を発音する際、日本語では使わない(口の)筋肉を使っていることが。さらに、この感覚は、音読しているときよりも暗唱しているときの方が味わいやすいです。(本当は「のどの筋肉も」ということでしょうが、僕はまだ発音の指導を人から受けたことがなく完全に独学でやっているので、「のどを使った発声」がいまひとつ分からないのです。いつかちゃんと誰かに習うつもりですが。)
『将来、こんな風に話したい』理想というのは、暗唱したラップパートくらいの単語数を同じようなペースで口にすることなので、口の運動は絶対にやっておいた方が良いなと感じました。発音をちゃんとしようとすると、口があわあわしてしまい、「トレーニングしてるなぁ」という感じがしますよ。
暗唱した英文を書き出してチェックしてみるとさらに効果的です。
スラスラ暗唱できるようになったら、覚えた英文を一度書き出してみるとさらに効果的です。スペルミスはしても構いません。この「書き出し」がよいのは、たとえば「r」と「l」の違いや、冠詞( a や the )、複数形や3単元の「s」などをお手本通りに発音しているか確認できるからです。特に、複数形や3単元の「s」は、一度書き出すことで、次に暗唱するときに忘れずに発音するようになります。お手本を聴くと分かりますが、ネイティブはこうした語尾の「s」をしっかり発音しています。
おまけのおすすめポイント1:英語教材を使うよりも楽しい!
これは実際にやってみていただければわかるのですが、素材は本当になんでもいいんです。ですから、自分が面白そうだと思えるものを選んでやれるので、楽しく学べます。今英語が嫌いで勉強したくないという中高生が近くにいたら、『とりあえず何でもいいから暗唱やっとけ、あとで絶対役立つから』と言ってあげたい気分です。
おまけのおすすめポイント2:歩きながら練習できるのが良い
僕は最寄り駅までの行き帰りでずっと練習してます。歩くペースを調整して他の人と一定の距離をとるのがポイントです(笑)。その他、街の中でも練習できますし、電車のドア付近で小声でブツブツ言うこともあります。気が向いたときにやれるという意味では、「暇つぶし」としても機能しますよ。
僕はこの学習法の一環で、EminemのLose Yourselfを全部覚えました。(まるまる1か月かかりました。)発音は自分として頑張った程度であまり良くないですが、本物と同じテンポでラップ(もどきですが)できるようになり、今でも歩きながら思い出し練習をしています。1曲すべて言うのに数分かかるので、なかなかのエクササイズです。次は、PrinceのLet's Go Crazyの「あの」最初の喋り部分を暗唱したいと思っています。「Dearly beloved, we're gathered here today to get through this thing called life ~」の部分です。
「何でもいいから暗唱」学習法、みなさんもぜひお試し下さい!
主に英語学習について、みなさんにお伝えしたいことを発信していきます。ご質問・ご意見はコメント欄へ何なりとどうぞ!