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【訪問看護の人材育成】年収別の結果の求められ方【最適な評価サイクルとは】

訪問看護は、社会の高齢化や在宅医療ニーズの高まりにより、重要性が増している分野です。

この業界で活躍する管理者(職)にとって、適切な評価を得ることはキャリアアップの大きな要素です。

しかし、漠然と役職に就きたい、それ相応の対価=年収を貰いたいと思っていても、実際にはどのように働いたら良いか分からないという人も多いのではないでしょうか。

実は、年収により働き方や求められる結果は変わっていきます。

本記事では、訪問看護における年収と成果の関係性、そしてその評価サイクルについてまで詳しく解説していきます。

訪問看護経営者である私(えん訪問看護ステーショングループ)が実践している内容なので、ぜひ参考にしてみてください。

(*本記事は管理者で統一表記していますが、管理職に属する人(所長・主任・リーダーなど)も含んだ内容となっております。)


管理者の評価に重要な2つの基準

管理者を含む役職に就きたい、年収を上げたいと思っている人は、まずは「どのように評価されるのか」を押さえておく必要があります。

私が思う、管理者を評価する上で重要な基準は以下の2つです。

  • 労働時間による対価なのか?

  • 組織にもたらした結果による対価なのか?


訪問看護に限らず、多くの一般職員は労働時間による対価を受けています。

朝の9時から18時まで働けば、決まった給料が得られるという図式です。

労働時間による対価なので、大袈裟なことを言えば結果の有無は関係ありません。

もちろん、経験を積んで質の高い労働をすれば評価は上がっていくと思いますが、より高い年収を求めたい人は、「結果による対価」が必要になってきます。

なぜなら、労働による対価はあくまでも時間による対価なので、ある程度上限が決まってしまいます。

しかし、結果による対価は、結果を出せば出すほど会社としての成果(=売上)が上がるので、自ずと自分への見返りも高くなってきます。


管理者(役員等は除く)として、一つのボーダーラインは年収800万円前後(地方だと1-2割減の650-700万円)だと思っているのですが、後者の考えがなければ1,000万円(地方だと800-850万円)を超えるような管理者は生まれません。

そして、その管理者たちは結果+特徴的な能力(0→1が強い、採用が強い、教育・制度設計が得意等)がある場合が多いです。


【年収別】結果の求められ方まとめ

それでは、訪問看護における、年収別の結果の求められ方をお伝えしてまいります(データがある訳ではなく、あくまでも主観と経験に基づいているのでご了承ください)。


年収600万円(*時給換算で約3000円)

労働時間8:成果2

  • 長時間働き、労働時間そのものが評価される段階

  • 労働時間が長く、組織全体の流れを把握し、チームメンバーに対する細やかなサポートが求められる

  • 日々の業務に集中し、問題が発生した際には迅速に対応する


年収800万円(*時給換算で約4000円)

労働時間6:成果4

  • 労働時間と成果のバランスが取れた段階

  • 自身の時間管理が求められ、結果を出しつつ、部下の育成や業務効率化に力を注ぐ

  • チーム全体の成果を最適化するための戦略立案や計画実行が重視される


年収1,000万円(*時給換算で約5000円)

労働時間4:成果6

  • 組織に与える結果の重要性が高まり、労働時間は少なくなる

  • 重要な業務は他のメンバーに委任し、自分は結果を生み出すための全体戦略に専念する

  • 新規事業やプロジェクトの推進役として、組織全体の目標達成に向けたリーダーシップを発揮する


年収1,200万円(*時給換算で約6000円)

労働時間2:成果8

  • 結果主導での評価が大部分を占め、管理者としての能力が高く評価される段階

  • 自らが率いる組織に対して、長期的な利益をもたらす仕組みを作り、成果を最大化する

  • 組織にとって不可欠な要素となり、常に結果を出し続けることで、信頼と成果を積み重ねていく


※その他の地域で1.5-2割減。3-4級地で1割減。あとは該当エリアの管理者の需要・供給バランス


このように、年収が高くなるにつれて、管理者としての役割が単なる労働時間の長さに依存しないものになり、結果を生み出すリーダーシップや戦略的思考が求められてきます。

ここに役員といった法人としての役職がつくと、責任プラスαで役員報酬が乗るイメージです。

訪問看護のコメディカルで1,000万円超えを目標とする人たちも一定数いると思いますが、実現するためには労働時間での評価を過剰に求めてはいけません。

その企業での結果を圧倒的に出すということと、結果を出しつつ中長期に利益貢献をするということが必要になってきます。

そしてもう一つ、重要なことをお伝えすると、「ちゃんと評価してくれる経営者を選んでおきましょう」ということです。

初期の選び方を失敗してしまうと、年収が鰻登りに上がっていくことはありません(この業界では適正評価されている人は少なめな印象なので注意が必要です)。


訪問看護の管理職の評価サイクル

このような年収の増加は、もちろん会社からの評価により決まっていくのですが、果たして訪問看護における”適切な”評価サイクルはどのくらいでしょうか。

結論、私は「成長⇒実績・成果⇒評価⇒昇給」という評価サイクルを採用していることから、管理者においては年単位という長めのサイクルが良いと考えております。

  • スタッフの評価サイクル:数か月~半年

  • 管理者の評価サイクル:最短半年~基本年単位

  • 経営者の評価サイクル:数年単位


これが適切かどうかは個人によると思いますが、やはり『成果・結果が先で会社評価→昇給』という順番が、特に管理者評価としては正しいと思っております。

確かに、現場で働いている人にとって、目に見える結果は早いに越したことはないかもしれません。

もちろん、早いサイクルで結果を出し続けている人は、それ相応の評価サイクルにすることも大切だとは思いますが、ここで気をつけなければならないのは「想定が前提になること」です。

つまり、スタッフから「頑張る気持ちなので給与を高くして欲しいです。」という声があったとして、「うん、これからもより頑張れそうだから大きく昇給しよう!」という流れは危険ということです。

過去の経験上、上記をしてしまった管理者候補のスタッフ(7-8人くらい)で、成果を出し続けてる人は皆無です。

みんな、見えない何かでドロップアウトしました。

現在はその反省を生かして、過去に他社での一定成果が既にあり、弊社でも同じ成果以上が出せると判断した場合だけ高い給与を提示しています。

ただし、基本的には半年間は前職より若干低め、半年後に昇給の評価をしています。

その際、想定より上振れすれば前職より上げる、想定内であれば前職と同じくらい、想定以外であれば下げるという前提条件も付けています。


管理者になったばかりの時は、残念ながら現場プレイヤーより給与が少ないこともあります。

なったばかりだと管理者手当ては低い、一方スタッフはオンコール手当や残業代などがあるため、管理者の給与より高くなるというジレンマも起こります。

しかし、管理者は評価サイクルこそ遅いものの、年収増加幅は大きいことを忘れないでほしいと思っております。

  • スタッフの年収増加幅:数万〜数十万円

  • 管理者の年収増加幅:0〜100万円

  • 経営者の年収増加幅:-数百万円〜+数百万円


私の周りで訪問看護の管理者として実績を出し続けてる人たちは、泥水を飲んででも組織に向き合い成長して、そして結果を出している人が圧倒的に多いです。


一例ですが、知り合いの管理者は以下のような年収を推移しています。

400万円(2年)⇒500万円(2年)⇒600万円(2年)⇒750万円(2年)⇒900万円(2年)


2年毎単位で端折っていますが、訪問看護で結果の出せる管理者はこのような振り幅を目指せます。

正直、結果が出せてない時期の400万円は、弊社の現場スタッフより断然少ないです。

しかし、今は1,000万円に届きそうな状況です。

雇われのコメディカルでは本当に凄いことだと思っております。


まとめ

訪問看護の管理職として成功するためには、年収と成果の関係性、そして評価サイクルを理解し、長期的な視点での成果を追求することが不可欠です。

年収は労働時間ではなく、高収入を得るためには組織に対して持続的な価値を提供する必要があります。

また、評価サイクルが長いため、短期的な成功に固執せず、持続的に成果を出し続ける忍耐力も必要になってきます。

その先には大きな年収増が待っているかもしれませんからね。

訪問看護の管理者を目指す皆さんには、この業界の特性を理解し、長期的な成果を意識した働き方を心がけていただきたいと思います!


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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)

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