民族差は感覚の差?
民族差と身体の使い方を探求する、アウェアネス・アナトミスト平山昌弘です。
旧ユーゴスラヴィア滞在時の経験から、この民族差について書いていますが、
今日は、道具からみた民族差について書きたいと思います。
日本人にとってノコギリやカンナは引いて使うのは当たり前ですが、
彼らにとってのそれは全てが逆でした。
カラダの使い方や、感覚の違いを感じていた私は、日本からノコギリやカンナを持参して、
事前レクチャーなしに彼らにノコギリもカンナを使ってもらったところ、
なんと『押して使う』ではありませんか!
日本は引いて使いますから、逆なのです。
彼らからしたら、当たり前のことなんですが、日本人の私からみたら、
逆だぞ!と言いたくなります。
これは日本のノコギリとカンナで、日本では、引いて使うことが普通であることを告げると
「何を言っているんだ、お前らクレージーだ、それじゃあ切れないなではないか、押すのが当たり前で
押さなければ力が出ないし、引いたら大きな力は出ないじゃないか」
と反論してきます。
挙げ句の果てに、何故日本人はちまちま動くのか言う始末です。(そう感じていた訳ですね。)
このやりとりから民族の差には、「動きに対する感覚の差」が道具にも存在することを実体験したわけです。
以前から感じていたカラダの使い方の差はこんなところからもあったのです。
この時感じた事を整理し分かりやすく理解する為に図にしてみます。
カラダの筋肉は大きく分けて屈曲筋群、伸展筋群、2つの筋群(グループ)があります。
グループ1 自分の中心に関節を曲げて集める屈曲筋群は上半身では腕の内側を含む胸側、下半身では太腿裏側
グループ2 自分の中心から関節を伸ばして外へ放つ伸展筋群は上半身では腕の外側から背中全体、下半身では太腿前側
日本人と欧米人のカラダの使い方の大きな違いは、
前面主体で使う日本人は上半身は屈曲筋群、下半身は伸展筋群を主体に使う
後面主体で使う欧米人は上半身は伸展筋群、下半身は屈曲筋群を主体に使う
ここで、もう一つ重要な点です。
人間の動作で重要な働きを担っているのが、『抗重力筋』です。
常に重力に逆らって活動しており、このお陰でスムーズな動きが可能になるわけです。
背中の伸展筋群はカラダの中で『最大の抗重力筋』、そこが活用できる事によって股関節骨盤の可動性を発揮させ、
太腿の裏側にある筋(蹴る)を使いスムーズな体重移動を可能にしているわけです。
つまりノコギリを例に「」動作が得意な彼らは、
カラダの後面を主体に無理なく動け、且つパワーを発揮できるのはこのような理由だと分かりました。
この難問を解読したことは、この後の私の活動に大きな影響を与え、
AWARENESS ANATOMY®を作る、キーコンセプトにもなりました。
ヒトの進化図を見れば、背中の能力向上が、直立を可能とし、歩行へとつながったことが理解できると思います。
我々は直立になれたことで、歩行が可能となりスポーツも行うことが出来るようになった訳ですが、
日本人は未だ背中をうまく使わず、いいや、使えずに生活をしているように感じました。
カラダ前面の意識が強い日本人は、仏様に手を合わせる仕草、精密機器を作る手先の器用さ、畑を耕す鍬(くわ)、杖をカラダの前に付き歩く老人
カラダ後面の意識が強い彼ら(この場合は主に欧米人を示します。)は、マリア様を思い天を仰ぐ仕草、こまったときの両腕を開く開く仕草、杖をカラダの横につき押しながら歩く老人
なんとなく日常見てきたささやかな違いも民族差でにこんなに違いがあったとは、
考えさせられるキッカケとなり、
カラダを考える上で本当に大きな『イノベーション』となり今に至るのです。
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