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コンサルと外資で学んだ、「アクション動詞」でタスクを書くと生産性が高まるという話

「スケジュールを制する者が仕事を制する」とよく言われますが、私はあえて「タスクを制する者が仕事を制する」と言いたい。

「タスクの書き方」なんて言われても、なんとなくできちゃいますよね。教わるものでもないですし、人と書き方を比べる機会もないですし。

でも、だからこそ、差がつきやすい。知らないうちに、ダメなやり方が染み付いてしまってるかもしれません。これからお伝えするタスクの起こし方をマスターすれば、あなたとチームの生産性は確実に高まります。ぜひ最後まで読んで、試してみてください。




タスクはアクション動詞で書く

英語レジュメ(職務経歴書)はとにかく「アクション動詞」で書けとアドバイスされる

皆さん、「Action Verb」という言葉をご存知ですか?

日本語に訳すと「行動する動詞」という意味になります。英語でレジュメ(職務経歴書)を書く際に、必ず「Action Verb」で書きなさいと、しつこく言われます。

職務経歴書というのは自分をアピールする書類ですから、「スゴいことやったんだぜ!」と言いたいわけです。

そのために、一般的に使われる動詞ではなく、Action Verb(アクション動詞)を使うことで力強い印象になることを狙います。

例えば、プロジェクトをリードしました、とレジュメに書くとします(「プロジェクトリーダーをやりました」とは書かず「〇〇しました」と書くのが、英語レジュメでは一般的)。このとき、

  • Led a project (led は lead の過去形)

と書くとします。もちろんこれでも十分意味は伝わるのですが、これだと平凡な表現なので、目に留まらないんです。

そこで、アクション動詞を使います。

  • Produced a project(つくり出した)

  • Orchestrated a project(組織化した)

  • Redesigned a project(再設計した)

このようなアクション動詞に換えることで、主体的に行動したことが強調されて、効果的に伝わるわけです。

実は、タスクを書きだすときに、この考えが応用できるんです。

タスクをアクション動詞で書く

日本語でタスクを書くときは、つい動詞ではなく名詞で書くことが多いと思います。

  • A社へ連絡

でも、おススメは動詞で書くことです。理由はこのあと説明します。

  • A社へ連絡する

わずかな違いですが、動詞で書くことで、行動に意識が向きやすく、アクションにつながりやすくなります。

単なる動詞ではなく、アクション動詞で書くわけですから、ホントーによくある、こういうのはダメなわけです。

  • 〇〇について検討する

なぜなら、これはアクションしてないですよね。手が動いてる感じがしない。アクション動詞で書いてないからです。では、こうしたらどうでしょう?

  • 〇〇を整理する

うーん、もしかしたら手を動かしてるかもしれない。でもちょっとあやしい。頭の中でやってるかもしれない。あと一歩、もう少しアクションぽくしてみましょう。

  • 〇〇を整理しスライド1枚にまとめる

アクションになりましたね。これは確実に手を動かさないとできない。つまり、「検討する」とは(このケースでは)具体的には、「整理してスライド1枚にまとめる」というタスクだったわけです。

もちろん別の形でもかまいません。「〇〇の改善案を次回の打ち合わせまでにつくる」でも「〇〇するかどうか決めて関係者に周知する」でもかまいません。実際に手を動かして何をするのか、具体的にわかるように書いていくのがポイントです。

タスク化するときは、脳内ツッコミを入れて「言い換え」て書く

ところで、今見た例も、先ほどの「プロジェクトをリードした」の例も、ニュアンスというか意味変わってるやん!と思いませんでしたか?

  • Led a project(主導した)

  • Produced a project(つくり出した)

  • Orchestrated a project(組織化した)

  • Redesigned a project(再設計した)

たしかに、これらは微妙に意味が違いますよね。実は、この「言い換え」もタスクを書き出すときの大事なポイントなんです。

職務経歴書を書くときは「それって、結局、何をしたの?」「何がポイントだったの?」というツッコミを入れながら書きます。

  • 無からプロジェクトを作ったんだよね、とか

  • チームがバラバラだったのをまとめたんだよ、とか

  • そもそも建て付けがダメだったから、そっからやり直したんだよ、とか

「結局、なに?」「ポイントは何?」というツッコミを入れることで、やったことが具体的になり、それを表現する良いアクション動詞が見つかるわけです。

タスクを書き出すときも同じです。

「それって、結局、何をするってこと?」というツッコミを入れることで、タスクが具体化、細分化されます。

冒頭の例で言えば、

  • A社へ連絡する

と書こうとした瞬間、自分に対して「それって、何をすること?ポイントは何?」と脳内ツッコミを入れます。

そこで、

要はメールを送るってことなんだけど、このお客様ちょっとクセがあるから事前に上司に見てもらった方がいいんだよね

となったら、タスクはこう「言い換え」できます。

  • A社X様宛のメールを下書きする

  • 下書きを上司に確認してもらう

  • 上司の確認が取れたら、A社X様へメールを送信する

1つのタスクだと思っていたことが、実は複数のタスクだったことが明らかになりましたね。さらに自分だけでは完結しないこともわかりました。当初思った以上に時間がかかりそうな気もします。


〇〇について検討する → 〇〇を整理しスライド1枚にまとめる/〇〇の改善案を次回の打ち合わせまでにつくる/〇〇するかどうか決めて関係者に周知する

先ほどの例も脳内ツッコミを入れて言い換えることで、かなり大変なタスクだということがわかります。場合によっては、根回しや日程調整なんかも必要そうで、かなり時間がかかりそうですよね。

タスクをアクション動詞で書く、さらに脳内ツッコミを入れて言い換えて書き出す。これだけで、だれが何をすべきかが、以前よりもクリアになります。


アクション動詞で書くと何がいいの?

これまで読んで、「たかがタスクを書き出すのに、そこまでやるのメンドくさくない?」「そこまで考えて書くくらいなら、その時間で作業した方が早いっしょ」と思った方もいると思います。

残念ながら、その考えがまさにあなたとチームの生産性の敵になるんです。

むしろ、ここまでやった方が生産性が上がる理由を、3つお伝えしますね。

理由1:エネルギーの消費が減少する

タスクというのは、未来の行動メモです。未来の自分やメンバーは、あなたのメモを見てすぐに迷わず行動できるでしょうか。

これってどういう意味だったかな、結局どうするんだっけ?と、タスクの中身を思い出したり考え直したりするためにエネルギーを消費していませんか。

ここでのエネルギーとは、いわゆるウィルパワー(意志力)※ を指します。1日に使えるウィルパワーには限りがあり、消耗することで疲れたり、判断力が低下したりすると言われています。

タスクが具体的に書いてあれば、思い出すことに余計なエネルギーを消費することなく、実行することにエネルギーを使うことができるんです。

※ウィルパワー:アメリカの心理学者ロイ・バウマイスターが広めた理論。「意志決定と実行を可能とする精神的なエネルギー」と定義されている。


理由2:時間の見積もりが正確になる

ざっくり書いたタスクと、具体的に書いたタスクとでは、作業の想定時間が変わります。先ほどの例をもう一度見てみましょう。

A社へ連絡する

これだけだと、5分か10分くらいで終わりそうに見えますよね。どんなに長くても30分もあれば終わりそうです。

  • A社X様宛のメールを下書きする

  • 下書きを上司に確認してもらう

  • 上司の確認が取れたら、A社X様へメールを送信する

こうなると、どうでしょう? とても30分で終わる気はしません。ヘタすると上司の確認待ちで、2日くらい掛かりそうです。

ざっくり書いたタスクと、アクション動詞で具体的に細分化して書いたタスク(たち)では、どちらが正確に作業時間を見積もれているか、その差は明確ですね。

もし、この例文の「上司」が、「上司の上司」や「他部署」に変わったり、「パートナー企業」に変わったら、必要な時間はさらに長くなりそうなことも、すぐにわかります。

タスクを具体的に細分化して書き出すことで、待ち時間を含めた業務のトータル時間の見積もりが、よりクリアになります。


理由3:チーム内のコミュニケーションがスムーズになる

タスクをアクション動詞で具体的に細分化して書くと、承認や決裁、フィードバックの反映などチーム内のコミュニケーションがスムーズになります

先ほどの例のように「下書きを上司に確認してもらう」というタスクがあれば(さらにそのタスクが上司に割り当てられていれば)、上司も準備や心づもりができます

さらに、その先に「上司の確認が取れたら、A社X様へメールを送信する」という部下のタスクが見えていたら、「自分がやらないと、後続の作業が遅れるな」ということも一目瞭然です。

タスクを具体的に細分化しておくことで、上司(や他のメンバー)に頭出しをしているわけです。周りの人もスケジュールが調整しやすく、承認や決裁が早くできるようになります。

また、仕事の全体像をつかみやすくなるので、新しいメンバーにとっては仕事や組織を早く理解しやすくなります。先輩や上司にとっても、新メンバーの進捗状況を確認しやすくなるので、細かなフォローがしやすくなります。さらに、多忙な状況や仕事が滞っていることがわかれば、助けてもらいやすく・助けやすくなります。

このようにタスクをアクション動詞で具体的に細分化して書くことで、チーム内のコミュニケーションがスムーズになり、その結果としてチームの生産性が上がるわけです。


チームで働くなら、タスクは見える化する

今回は、あなたとチームの生産性を高める、タスクの書き方と活用術についてお伝えしました。

タスクを書くときは「アクション動詞で書く」

これを実践していけば、あなたとチームの生産性は高まるはずです。

そして、理由2、理由3で見てきたように、アクション動詞で書いたタスクは、チーム内で見える化することで価値を発揮します。タスクを見える化すれば、関係者内との調整がスムーズになりますし、経験者の意見を活かせる場面も多くなります。

自分だけのメモを手元に持ってるだけでは意味がありません。タスク(仕事)を見える化、共有するだけでも生産性は上がりますが、このタスクの書き方をマスターすれば、さらに生産性が高まること間違いなしです。

ちなみに、アクション動詞で書き、何をするかを明らかにするよう言い換える(具体的に細分化する)ことはタスクを書き出すときだけでなく、だれかに仕事を依頼するとき、企画書や提案書を書くとき、議事録を書くときなど、さまざまな場面で応用できますよ。

ぜひお試しあれ!


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