見出し画像

居酒屋でのQR注文にはすぐ慣れるのに、社内システムを使ってくれないのはなぜ?

このnoteは私が主催しているツキイチAsana勉強会で共有したり、参加者の皆さんから共有された内容をもとにしています。

Asanaの活用を前提とした勉強会ですが、私がお伝えしている内容はツールとは関係ない話が大半なので、「仕事の進め方Tips」としてお読みいただけると思います。斜め読みでもいいのでぜひ最後までスクロールしていただけたら、うれしいです。


今回のテーマは「相手にAsanaを見てもらう」

相手を動かす…そんなこと本当にできるの?

こんな言葉、聞いたことありますよね

過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分だけ

そう、他人は変えられないと。そんななか、相手を動かすことなんてできるんでしょうか?


Asanaを見てもらうために多くの人がよくやっていること

だいたいみんな、こういう工夫をしてると思うんです。

● Asanaの画面を見せる機会をつくる
● チャットで来ても「Asanaに入れてね」と返す
● チャットで来ても、Asanaのリンクで返す
● Asanaでメンションしたり、コメントする(ことで通知を飛ばす)
● Asanaでいいね押したり、感謝スタンプ返したり、「見てるよ」感を出す
● Asanaを使わないと仕事ができない状況にする

もちろん私もやってます


けれど、こういうテクニックはうまくいったりいかなかったりして、万能ではないんですよね。ある部署ではうまくいったけど、別の部署ではうまくいかないことも。

でも、うまくいくことがあるとしたら、その裏にある原理原則はなんだろう?と考えてみました。

「人を動かす」原理原則

『人を動かす』D・カーネギー
「人を動かす」と言えばコレ

カーネギーさんによると、人を動かす3原則はこうです。

①批判も非難もしない。苦情も言わない
②率直で、誠実な評価を与える
③強い欲求を起こさせる


なるほど。たしかにQRコードで注文するときは「強い欲求」が起きてます。

強すぎる欲求


この原則を踏まえると、そもそも相手には、Asanaを使いたいという強い欲求があるのか?を考えると良さそうです。

これは、Asanaがどんな問題を解決しようとしているのかを知ることでヒントが得られます。

Asanaが解決しようとしている問題

コラボレーションツールによってやりとりの数は増えているが、生産性はそれほど上がってない
むしろ生産性高く仕事するのはどんどんむずかしくなっている
既存のやり方ではこの状況を解決できない
仕事を中心に文書とコミュニケーションをつなぐハブが必要

コラボレーションツールによってやりとりの数は増えているが、生産性はそれほど上がってない。それどころか、むしろ生産性高く仕事するのはどんどんむずかしくなっている。既存のやり方ではこの状況を解決できない。だから、仕事を中心に文書とコミュニケーションをつなぐハブが必要。仕事を管理すること(ワークマネジメント)で、計画が明確になり、ゴールへの進捗が追いやすくなる。

Asanaが解決しようとしている問題と、解決に向けたアプローチ


この考えに共感する人は、「強い欲求」が起こりやすいわけです。つまり、メールは不便!チャットだけではやりづらい!資料あるって言われても…と思ってる人はすでに困ってるわけですから、解決策を求める「強い欲求」があると言えます。


チャットで仕事を振られまくる人にはAsanaのコンセプトが刺さる

一方で、困ってない人に、解決策としてのツールを提示しても、使いたいという「強い欲求」が自然に生まれてくることはありません。

勉強会では、「チャットで仕事を振られまくってる人はこのコンセプトに共感してくれるが、チャットをただのコミュニケーションツールとして使っている人には刺さらない」という話が出ました。これは納得感ありますね。

当たり前すぎて、つい忘れがちですが、同じアプローチを取っても効くときと効かないときがあるのは、この違いによるものでしょう。

他にも、原理原則がないか、考えてみます。


「相手に影響を与える」原理原則

『影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理』ロバート・チャルディーニ
相手に影響を与えると言えばコレ

影響力の武器」によると、人を動かす7つの原理はこうです(最新版で7つめが追加されましたね)

①返報性
②好意
③社会的証明
④権威
⑤希少性
⑥コミットメントと一貫性
⑦一体性


なるほど。たしかに、注文のやり方を決めるのはお店(権威がある)という共通認識があるからこそ、みんなすんなり従ってると言えます。

仕事のやり方を決めるのはだれか

では、仕事のやり方を決めるのはだれなのか、共通認識はあるでしょうか?

仕事のやり方を会社が明確に決めている会社もありますが、多くの会社はそうではないでしょう。やり方もバラバラだし、それを決める人がだれかという共通認識もないと思います。仕事のやり方を決めるのは上司だと思ってる人もいれば、いや自分だと思ってる人もいそうです。

仕事のやり方は自分で決められると思ってる人は、そりゃあ、人から言われても動きません。逆に、「権威」が効くタイプの会社なら、アプローチはシンプルで「会社としてこう決めたから」と上から落とせばOKです。

仕事にもレベルやタイプの違いがありますから、「仕事のやり方を決める人」も一概に決められなさそうです。どこまでは会社やチームの決まりで、どこからが個人の裁量なのか。どういうタイプの仕事はやり方を決めておくのか。少しずつでも共通認識をつくっていくのが大事なんでしょうね。


権威がない中で相手に影響を与えるなら

権威がない中で相手に影響を与えるなら「返報性」を使うのが良さそうです。返報性とは、「他人がこちらに何かしてくれたら、こちらもそのお返しをしなくてはならないという義務を感じる」という人間の特性のこと。

つまり、相手にAsanaを見てもらうなら、先にこちらが何かしておくのです。何かしてくれたと感じてもらうために、先に相手にメリットを提供するわけです。

「あれ、どうなってる?」と聞かないでほしいなら、相手が欲しい粒度で見えるようにしておく。

承認してほしいなら、関連する仕事や資料をわかりやすくタスクの説明欄に整理(リンク)しておく。

進捗をアップデートしてほしいなら、それ以外の会議や報告をなくす。

相手にしてほしいことや相手の立場によって、相手が感じるメリットは変わってきますので、工夫が必要です。

正直いうと、こんなことこれまで考えたことなかったのですが、勉強会の準備をするなかで自分がやってきたアプローチを反省しながら、この整理をしました。

「相手にどのようにAsanaを見てほしいのか・どうなってほしいか整理してアプローチ方法を見直すのは大切だなと思いました」という声をいただけたので、やって良かった。

チャットは大部屋でのワイガヤ、Asanaはブースにこもって集中

勉強会ではさらにとても示唆深い発言がありました。参加した方の同僚に

「Slackは大部屋でワイガヤな雰囲気なのでいつでもアドバイスできるし、質問もしやすい。Asanaはブースにこもって仕事してる感じで、そういうのができない」

という感想を持つ人がいたそうです。

こういう視点はなかったので、参加者一同、目からウロコでした。そもそも、常にワイガヤな雰囲気で仕事したい人がいる、ということが発見でした。

私は、ワイガヤでやりたいときもありますが、やるべきことが明確になったなら集中して作業したい。というか、そうじゃないと、仕事が進みません…(切実)。そういえば、年齢を重ねると集中しにくくなるという研究結果もあるんですよね。若いときはラジオを聴きながらでも勉強できたのに、大人になると隣の席で人が話してるだけで集中できないのはそういうわけです。


そもそも仕事へのスタンスが違う人に見てもらう、使ってもらうのは無理がある

このあたりから、仕事に対するスタンスや、仕事の捉え方についての議論が深まっていきます。


🗣️ あらゆる仕事に即時回答、即時対応を求めてくる人いるよねー

🗣️ そういう人って電話好きだったりする?

🗣️ すべての仕事は急いでやるべきって考えてる人、いそうだよね

🗣️ 背景とか目的とかすっ飛ばして、とにかく作業だけ依頼してくる人もいるね

🗣️ しかも、その人たち悪気はなくて「むしろノイズになると思ったから」言わないらしいんだよね


自分たちとはまったく違うタイプの人がいて、その人たちは全然違う考え方で仕事を捉えている。こういう「違い」を知るのは大事ですね。

担当している仕事によって特性はあるにせよ、あらゆる仕事は即時に終わらせるべしというスタンスの人に、「仕事を可視化し、ゴールに向かって優先順位をつけて、計画的に進める」ためのツールを見てもらうのは、そもそも無理がありますね…

当日の資料と、参加者の皆さんによる「今日の学び」

参加した皆さんによる学びや気づきはコミュニティフォーラムで確認できます。Asana特有の細かなTipsなども共有されてますので、ユーザーの方は要チェックです。


当日の資料はこちら。


ついにはじまります、東京でアレが

勉強会に参加した方には先行告知をしましたが、いよいよ東京でアレがはじまります。東京近郊のAsanaユーザーさんはひとまず 9月11日夜 の予定を空けておいてください


いいなと思ったら応援しよう!

萩原 雅裕|Prodotto代表
いただいたチップは次の記事制作に役立てたり、他のクリエイターさんの記事購入に使わせていただきます。