見出し画像

適切なリスクを取る意思決定が人生を豊かにする

正しく選ぶ方法を身につけると、仕事にも人生にも役立つ

日々の仕事を進めるなかで、また企業経営に携わるなかで、私が意識してやってきたことのひとつに「意思決定」があります。

平たく言うと、「決める」とか「選ぶ」こと。

何かを決めるとき、同時に何を潜在的に決めていることになるのか
それを選んだら、何を捨てているのか

そういったことに、とても意識的であろうとしていました。

「なんとなく」決めてしまい、実は将来の選択肢を捨てていることになることが怖かったからかもしれません。

仕事も人生も選択の連続ですし、経営とは意思決定そのものなので、どれだけ質の高い意思決定ができるかが、すべてです。

Amazonを巨大企業に築き上げたジェフ・ベゾスは、こう言ってます。

「良質な意思決定を3つできたなら、その日の仕事は十分だ」

また、こんなことも言っています。

As a senior executive, you get paid to make a small number of high quality decisions; your job is not to make thousands of decisions every day.

経営者の仕事は「少数の良質な意思決定」をすることであって、数多の意思決定を日々おこなうことではない。


「いや、でも私は経営者じゃないから関係ないんだけど?」と思った方に質問です。

では、あなたの「人生の経営者」は誰でしょう?

そうです。あなた以外に、あなたの人生の経営者になれる人はいないのです。

だとすると、良質な意思決定ができるようになることは、誰にとってもものすごく大事なスキルです。

ベゾスが言うように、今日の良質な意思決定が、あなたの3年後、5年後を決めるのです。

そんな「良質な意思決定ができるスキル」が身につけば、人生にも仕事にも役立つことは言うまでもありません。

まずは意思決定に関わるようになり、やがて意思決定の実質的な主導権を取れるようになることが、ジェネラリスト的ビジネスパーソンの生きる道だと思って、これまでやってきました。


会社での意思決定はいろいろと手続きが面倒くさい、と思っている人が多いかもしれませんが、その面倒くささは意思決定の質を高めるために、あえて設計されているんですよね(形骸化していなければ)。

だからこそ、仕事でつかえる意思決定の手法を、個人の意思決定にも取り入れれば、人生でも良い選択ができるようになります。

一般的に、集団における意思決定は、個人で行う意思決定よりも優れている。それは、多様な意見や情報を収集でき、決定内容がより多くの人に受け入れられる可能性が高いからである。
(グロービス経営大学院 MBA用語集より)
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12273.html


そこそこ満足している人が身動き取れなくなる仕組み

仕事もそうですが、人生もノーリスクなんてあり得ませんし、そんなのはつまらなすぎます。

リスクを取るから、リターンがあるのです。

リスクを取れない状況なら、リスクを取らない選択を。

リスクを取れる状況なら、取る選択を。

そのときどきで、ちょうど良い大きさのリスクを取るというのは、どんなときでも必要なことです。リスクを適切に判断し、それを踏まえて、判断したり行動したりするのは、誰しもやらなければならないのです。

というよりも、皆さん、無意識のうちにやっているはずなのです。

ところが、大きな意思決定の場面になると、急にリスクを過剰に見積もってしまったり、逆に本人は大きなリスクだと感じることでも、傍から見ると「そうでもないよ」ということもあります。

行動経済学の理論で、「人は失うもの(損失)には強く反応するが、得るもの(利得)への反応は比例的に増えない」ことが、実証的に証明されています(気になる方は「プロスペクト理論」で調べてみてください)。

今が「良い状況」の場合、得をする喜びよりも、損をするガッカリ感の方が大きいので、リスクがありそうな選択をしにくいのです。

画像1

(出典:『プロスペクト理論とは? 行動経済学をビジネスに応用する方法』Study Hacker


しかも、この理論は、確率が分かっている状況ですら、そうだと言っているのです。人生において、選択した結果がどうなるかの確率が分かってることなんてあり得ません。

だとすると、確率が不確実な現実の世界で、意思決定をしようとすると、どうなるでしょう。

現状に不満がないとは言わないが、そこそこ悪くないよなと思っていたり、ある程度、思い描いていたものを手に入れてしまったな、と感じている人が、挑戦できなくなってしまう落とし穴はココにあります。

ただでさえ、安定志向・損失回避に走りやすいという、人間のバイアスがあることに加えて、良いことが起きる確率を過小に見積もったり、悪いことが起きる確率を過剰に見積もってしまうと、身動きが取れなくなってしまう。

だからこそ、適切なリスクを取れることは、幸せな人生を生きる上で、自分の人生を経営する上で、とても大事なスキルだと思うのです。

なぜなら、バイアスに引っ掛かりやすい自分自身のクセを認識しつつ、冷静に考えれば、実はたいしたリスクがないことがわかる、ということも多いですから。

身動き取れなくなってしまい、やりたいことをやらずに後悔する人生は、「そこそこ幸せ」どころか、実は全然幸せではないと思うのです。


適切なリスクを取る意思決定が人生を豊かにする

大昔、先輩から良い表現を教わりました。

Take a calculated risk (計算したリスクを取れ)

ちゃんと、『あ、いま自分は損失を過剰に見積もってるな』と認識して、実はそうでもないんじゃない、と冷静にリスクを計算する(見積もる)ことができるようになりましょう。

そうすれば、今はチャレンジと感じていることに、もっと楽に取り組めるようになります。

実際、たいていの場合、新しいことに挑戦してみたら、結果はこのどちらかです。

うまくいく → やったね!やりたいことが実現できて最高!
うまくいかない → この経験は貴重!しかも大きな学びが得られたなあ

どっちに転んでも、たいしたリスクなんてないのです。

実際、いろいろやってみると気づくのですが、自分で「これはチャレンジ!」「リスク取った」と思ったことでも、あとから振り返ると実は全然リスクなんかなかったということは多々あります。

やりたいことをやる、好きなことで生きていくという漠然とした言葉に踊らされたり惑わされたりするのではなく、リスクを認識した上で、適切なリスクを取る意思決定ができるようになりましょう。

ノーリスクな人生なんてあり得ませんし、それではつまらなすぎます。

リスクを取るから、リターンがあるのです。

自分に合ったリスクを取る。そういう意思決定をすることが、自分の人生を自分が経営している感覚を持つ第一歩です。

それだけでも、きっと多幸感が増すと思います。

#ライフMBA #意思決定

いいなと思ったら応援しよう!

萩原 雅裕|Prodotto代表
いただいたチップは次の記事制作に役立てたり、他のクリエイターさんの記事購入に使わせていただきます。