#27 まちの「個性」を育てたい
藤井聡子さんの『どこにでもあるどこかになる前に。』という本を読んでいる。
コンパクトシティ構想による再開発で発展したものの、個性が失われ、どこにでもありそうな街になってしまった富山市にUターン出戻った藤井さんが、個性的な人達との出会いや自身の奮闘について書いている。
僕が住むまちも、駅前はスーパーやファストフード店が立ち並び、地方政令指定都市のベッドタウンという位置づけてどんどん開発が進んでいる。
贅沢さえ言わなければ、自転車で回れる距離でなんでもそろうし、子育て世代には住みやすい環境であると思う。
ただ、ほんとに「どこにでもありそうな街」そのもので、個性はほとんど感じない。
一方で、駅から少し離れると、田園風景が広がり、山にも囲まれた自然豊かなまちである。
まちの端っこに行けば海もあり、田舎暮らしやワーケーションにはもってこいのまちだ。
自然豊かな側面もあるこのまちだが、最近は農地が埋め立てられて宅地になり、現代的なつくりの家が立ち並ぶようになった。
人口が増えるのはいいことだ。
駅周りが発展し、暮らしが便利になるのもありがたい。
だけど、残していくべき個性が何かが整理されておらず、無秩序に開発されているようにも見える。
今、まだまちの中心から離れた地域に、自然豊かな風景が残っているうちに、何を残していくのかを整理しておくべきだろう。
また、まちの良さには、景観だけでなく、「人」も大きく関わってくる。
まちを愛するという点では、地元の人も移住者も優劣はない。
まちを愛し、まちを豊かにしていく人たちがたくさん増えれば、他の地域にはない個性が育つものだと思う。
僕もその中の一人になりたいし、そんな人たちを育てる側にもなってみたい。