周囲に迷惑をかける人間が淘汰される世界 #スシローを救いたい
2023年2月1日、大手回転寿司チェーン店「スシロー」で、少年が醤油ボトルを舐めた動画が国内外のSNS上で拡散して大炎上する事件が起きました。その結果、その運営会社である株式会社FOOD&LIFE COMPANIESの株価が、大幅下落(総額168億円の損失)したことが大いに取沙汰されております。
後日、当事者とその保護者が謝罪に来たようですが、会社側は「引き続き刑事・民事の両面から厳正に」対処するようです。
これに呼応してネット上では、他の飲食店のお客側の迷惑行為も取り沙汰されおります。これを受けて一部のお客から「もう飲食店にはいけない」といった意見も聞こえ、風評被害が出てきております。
他方SNS上では「子供のいたずらにしてはあまりにも社会は責め過ぎている」「ネット上で名前と顔、通っている学校を晒すのはいかがなものか」「もう少し寛大な処置でもいいのでは」といった意見も散見されます。
確かに身バレ行為は一部やりすぎな側面もあるかも知れません。また今回の賠償金は数十億円の賠償になると予想されます。(2023年2月3日現在では民事、刑事訴訟の結果は確定しておりません)
このような損害は株主の損失、企業ブランドイメージを下げるだけでなく、売り上げが落ちることで従業員たちの生活に悪影響を及ぼします。子供のいたずらだったとしてもこの影響は安直に捉えられないことです。
この一連の迷惑行為は、しばらく尾を引きそうです。
なぜ会社側は厳しい処置をするのか?
会社側が新たな設備投資が必要になる
飲食物にいたずらする行為が顕在化されると「気持ち悪くて回転寿司屋さんにいけない」と思うお客様は一定数います。同店舗と近隣の店舗では、食器・調味料の提供方式を変更したり、店内に食器や調味料を設置し、客自身がテーブルに運ぶ形にする。またはテーブル席とレーンの間にアクリル板も設置中のようです。
この流れが波及すれば、これまで店舗を開店させるために必要だった回転レールなどの設備投資が無駄となり、スシローのみならず回転寿司チェーン、さらには飲食業界全体の業態形態の変更を余儀なくされ、新たな設備投資による多額の損失を受ける恐れがあります。ひょっとしたら今後お客がレーンに流れる好みのお寿司を自由に取れない、調味料や添え物をセルフサービスで使えなくなるかも知れません。そのくらい今回の事件は大ごとになってます。
悪目立ちする模倣犯防止
昔は子供のいたずら程度であれば、保護者や学校関係者と同伴でお店や会社側へ謝罪をすることで解決できたでしょう。約20年くらい前、私の同級生が似たような迷惑行為をした際は保護者と一緒に謝罪と、損失分の弁償金を支払うことで済ませてました。
しかし昨今は悪目立ちがSNSで拡散されやすい状況です。またこういった悪目立ち行為をSNSのPV狙いのために行う人間がいます。実際、少し前にカラオケ店の備品に汚物をかける行為をSNSに投稿をした方がいます。
世の中には一定数、善悪の判断ができない人がいます。
これまで彼らはネットがなかったお陰で見過ごされてきました。しかし現在ではSNSの力でどんどん可視化されてきます。それにより程度の低い人たちは次第に淘汰されてきます。社会的にも悪目立ちする人間を放置しない姿勢も求められるでしょう。
反社などによる企業の空売りされる可能性
恐らく企業側としては、これが一番危険視されるでしょう。
良くも悪くも今回「いたずら」程度でこれだけ世間が騒がれています。
これがもし反社勢力などが、判断力が乏しい人間を連れてきて、特定企業に対して同様のいたずら行為をして損害を与えた場合、株価下落が事前予測ができるため空売りにより利益を得ることができます。
話は脱線してしまいますが、1985年の未解決事件「グリコ森永事件」の影響で関連企業の株価が一時下落したようです。一説では犯人は身代金目的ではなく、株価下落による「空売り」が目的だったのではという意見もあります。
恐らく今回の少年たちはそのような繋がりはないかとは思いますが、一連の流れを見た人の中に、空売り目的を企む者がいてもおかしくないでしょう。
こういうスキームが反社の常態化を防ぐためにも犯罪抑止という面で、この悪い流れを断つ必要があります。
周囲に迷惑をかける人間が淘汰される世界
この事件で感じることは今後、周囲に迷惑をかける人間が淘汰されていく世界になると予想されます。情報が既存のメディアからだけでなく、SNSにより個人が情報を発信できることで情報が民主化されてます。それにより今後は良くも悪くも人々の行動がどんどん可視化されていくことでしょう。その可視化された社会では陰口やイジメ、パワハラ・セクハラ、高圧的な態度をとる人間が悪い意味で目立つようになります。そこに人々が今回の事件のように批難の目を向けやすくなります。そうなりますと、他人を傷つける人間は次第に社会から弾かれてしまうでしょう。
この流れはひと昔前に議論された「行き過ぎたネット言論空間を規制をすればよい」という話ではないです。例え規制をしたところでこの大きな拡散力は止められないでしょう。
1973年12月、女子高生の冗談で銀行が潰れかけたことがありましたが、当時は本人の個人情報がそこまで広がらなかったかと思います。
しかし今は違います。
情報は拡散されて瞬く間に世界中を駆け巡ります。
今回の事件も日本だけでなく中国、韓国でも拡散されたようです。情報の取り扱いや精査に注意することはもちろん必要ですが、同時に普段からネット環境下だけでなく現実世界(リアル)の立ち振る舞いにも気をつける必要もあります。
何故なら例え当人がSNSを利用していなくても迷惑行為をすれば顔や名前が拡散されます。電車内の迷惑行為をするおじさん、おばさんの動画をYouTubeやTikTokのタイムラインでみた方もいるかと思います。
「ネット」と「リアル」の距離が近くなる、曖昧になるのがこれからの世界です。
恐らく本人は醤油にいたずらした動画がネット上でここまで拡散されることを予想できなかったでしょう。その想像力の欠如が事件の原因のひとつだったと思います。
一度世の中に流された情報は自分の意志とは関係なくウイルスのように拡散されます。それを制御することはほぼ不可能です。この件を「馬鹿な子供がやった行為」としてみるだけでなく、ネットでもリアルでも「私は周囲に迷惑をかけていないだろうか」「人を(身体的だけでなく、精神的にも)傷つける行為をしていないだろうか」と皆さんで自分の行為を考え直す必要もあります。
そして社会で生活するためにはマナーとして人として最低限、迷惑をかけない「悪いことをしない人」になることが大切です。
ありがとうござました。
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