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空き缶でしあわせ#62
懐かしいもの
誰にでも懐かしい景色がある。それと同時に、懐かしいと思わされている景色もあるように思う。2つは、似ているけれど違うものだ。
私の懐かしい景色といえば、小さい頃に駄菓子を買いに行くといつも店の前を掃除していたおばあちゃんとか、通学のためにバスを待つバス停からの景色だ。これは、誰に奪われることもない私だけが知っている景色。これらの景色を思い出すと、おばあちゃんの表情や、寒い冬の匂い、夏の匂いも思い出せる。自分の宝物として胸の中にしまっておけるから、大事にしたいものだ。
一方で、下町の商店街や、海のさざ波の音はどうだろうか。ノスタルジーを感じる。異郷の景色を見て、自分の故郷を思い出すというあれだ。3丁目の夕日を思い出したり、おばあちゃんが大福を食べていたり。これらが懐かしいと感じるのは、映画がヒットしたからなのか、ぽたぽた焼きが美味しいからなのかは分からないけれど。
いつからか海を見ると、美しさと同時に恐怖を感じるようになった。自然は美しいけれど、どこまでも冷徹で残酷になる瞬間がある。時に暴れる危うさを孕んでいるから、自然は美しいのだろうか。