見出し画像

空き缶でしあわせ#65

この景色を忘れたとしても


 一度しか見たことがない景色を覚えてしまうような、強烈な体験がしたい。そんな事を考えながら、缶ビールを片手に明日には忘れているテレビ番組を見ている。こんな矛盾に気づかずに、今日も布団に入るのだと思うと怖くてたまらない。過去の自分に後悔しても、何も変わらないのに。

 一度だけ見た景色も、誰かに共有しなかったら、無かったことになるのだろうか。歴史上の人物は何をしたかを、誰かが伝え続けたから今知ることができている。たくさんの人が仕事をしてきたのに、誰にも知られずに死んでゆくなんて悲しいけれど、知らないと存在したかも分からない。

 人と関わることが嫌になることもあるけれど、人と関わらないと感じられないことがある。だとすると誰と関わるかが大切になるのではないだろうか。知らない人と関わる母数を保ちながら、関係を深めたいと思う人と定期的に合って話をして時間を共に過ごす。そうするとこで、自分の人生の価値観や世界観を広げながら、自分を深めていけるような気がする。20年そこらの若造が考えるにはだが。

 一度しか見たことがない景色を忘れてしまったとしても、誰に話さなかったとしても、自分が経験したことには変わりはない。自分だけの人生にするために色んな経験をしていこう。

いいなと思ったら応援しよう!