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空き缶でしあわせ#2

いつかの日常


大学2年になったころ、僕は初めての1人暮らしを始めた。

引っ越しした時は、ついに一人の時間ができた。なんでもできるぞ、と意気込んでいたがwi-fiがなくスマホのギガ数は3GBまでだったので動画をみて気を紛らわすのも気が引けた。そんな心配をしながら大学に行っていると気づけば3か月経ち、1人暮らしに慣れていた。

余裕が出てくると今まで気づかなかったことに目が行くようになる。いつもの通学路に花が咲いていたり、いつも同じ時間に散歩しているおじさんがいたり。眠れない夜もあったが、ほとんどは日中の昼寝が原因だった。

大学を卒業して、2年ぶりに大学の近くまでいったので住んでいたアパートの横を通った。この道を何回通っていたのだろう。あの時と同じ公園、看板、お店。無くなっている建物。変わっていないだろうと思っていたけれど、それは自分の願いだったと気づく。

確かに変わっていて、この懐かしさはいつかの日常だったんだ。

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