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空き缶でしあわせ#8

何かが色褪せるとき


僕が、この写真を見たとき、何とも言えない不思議な感情を感じた。僕が生まれてから見てきた写真は、もっと色が鮮やかで、くっきり写っていて拡大しても細かいところまでしっかり見えていたからだ。

知り合いにその写真を見せると「フィルムカメラで撮ったんじゃない?」と一蹴された。僕は知らなかったのに。親に話を聞いてみると、本当にそうだった。フィルムカメラで撮った写真はL判で印刷するだけでなく、デジタルにもできるらしい。アナログなのか現代的なのかよくわからなくなる。フィルムカメラで撮った写真と、スマホで撮った写真を見比べてみた。絶対に、スマホで撮った写真の方がきれいだ。確実に。けれど。ーー

僕がこの写真を見たとき何とも言えない不思議な感情を感じた。懐かしいのだ。ただ、懐かしさを感じた。行ったことのない場所なのに、小学校の修学旅行のような、初恋のようなそんな懐かしさを感じた。

この写真は何を思い出させるのだろう。何かが色褪せるとき、誰がこの写真を懐かしむんだろう。

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