空き缶でしあわせ#10
雨の日の帰り道っていいよね
昼から雨だった。朝の天気予報では、雨のことなんて話していなかったと思う。いや、にわか雨くらいなら話していたかもしれない。でも、これはにわか雨と言うには強すぎる。先が見えないほどに強い雨だ。
今日は仕事だったから、夜までに止めばいいと思いながら過ごしていた。就業の10分前に外を見たけれど、まだ降っている。パラパラと。このくらいの雨なら良い。なんなら、好きな雨だ。ちょっとだけ雨が降っていると、晴れの日とは違うちょっとした罪悪感と言うか、非日常感があってすごく良い。
私の日常は晴れと曇りの日で、雨の日は非日常だ。地面も濡れているし、水たまりもある。夜だと、水たまりに気づかずバシャッと入ってしまう。「最悪じゃん」と小声で言いつつも非日常感があってよい。
一番好きなのは家に帰ってからで、濡れた足を床にゆっくりと這わせながら風呂場まで行く。そのままシャワーを浴びてしまおう。ここ、この瞬間が結構好きなのだ。濡れた足と髪を温かいシャワーで流す。帰り道に出会った雨とのエピソードを思い出す。あそこの水たまりは深かったな、とか急にあんな強くならなくていいのに、とか。温かいシャワーを浴びると全部許せて、穏やかになれる。風呂上がりから寝るまでの時間もいつもの1.5倍くらいは長いので、それも嬉しい。
誰かに伝わってほしいと思いながら、自分の中にしまっておきたいと思う。