須藤正三

役者をやってます  舞台を中心に活動してます      一人芝居にも挑戦してます

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最近の記事

ぼんやりボサノバ

その夜、私は小さなライブハウスの客席にいた。 ステージにはボサノバを歌う女性シンガー。 バンドの演奏に合わせて、 アンニュイで魅力的な歌声を披露してる。 しかし私は気持ちが落ち着かない。 女性シンガーもやりづらかったと思うが、 私も居心地が悪かった。 なぜかと言うとお客さんが私だけなのだ。 曲が終わるたびに 客席に向かって会釈する女性シンガー。 拍手をしているのは私だけ。 異様な雰囲気がつづく。 私は女性シンガーと全く面識がない。 当時、私は一人芝居の単独ライブを上演する

    • 謎の占いマシーン

      私は時々、三木聡監督の作品が無性に観たくなる。 最近観たのが「インスタント沼」。 不運続きのヒロインが自分の出生の秘密を探るため、 父親の営む怪しげな骨董店へ行き、そこで繰り広げられる奇想天外なハートウォーミング・コメディー。 さまざまなヘンテコな出来事や人物に遭遇するが、 その中に「ツタンカーメンの占いマシーン」という 胡散臭い機械が登場する。 その名の通りツタンカーメンの黄金マスクをかたどった外観で、お金を入れて生年月日と性別を入力すると将来の結婚相手の写真が出てくる。

      • 幻のおもしろアイス

        昔、「モコモコアイス」というアイスシャーベットがあった。 缶に入っていて開けるとアイスがモコモコと盛り上がってくる。 テレビでCMも放送され、 私はそのアイスが大好きだった。 しかし周りの人にその話をすると誰も信じてくれない。 同世代の人も知らないと言う。 誰とも共有できず、 それどころか私が嘘を言っているみたいになっている。 森永乳業のホームページを見ると商品ヒストリーの欄にちゃんと載っている。 正式な商品名は「マジックアイス」。 販売期間が短かったため知る人は少ない。

        • 世界を踊らせた英国紳士

          泣く子も踊るロック界のレジェンド、ザ・ローリング・ストーンズ。 そのなかでドラムのチャーリー・ワッツはとても稀有な存在だった。 スキャンダラスな話題が絶えないストーンズの歴史で彼はいつも静かな男であり続けた。 ほかのメンバーが多くの女性と浮き名を流すなか、彼は生涯一人の女性を愛し続けた。 「チャーリーのドラムがなきゃストーンズじゃない」とキースリチャードは話す。 シンプルで派手さはないが凄くグルーヴ感のあるドラム。 クールでカッコ良いたたずまい。 その輝きは「七人の侍」

          蘇る昭和の音

          駅のホームで若い女性二人が踊っている。 二人の前にはスマホが置かれ動画を撮影している。 動画共有サイトに投稿するためだろうか。 最近ではよく目にする光景で珍しい事ではない。 「実家の大掃除をしていたら、懐かしいカセットテープが発見されたのでCDにダビングしてお送りします」 送ってくれたのは中学の時の同級生。 当時私は自分で作った曲を弾き語りで録音していた。そのテープが友達から友達へと渡っているうちにどこへ行ったのかわからなくなっていた。 久しぶりに聴いた中学生の頃の自

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          深層心理覗き見の旅

          私が何年か前に実際に見た夢。 「海を見ていると高い波が起こり、その波が崩れたあと、一部分がゼリー状の立方体になって宙に浮いている。近づいてみると、そのゼリーの中には魚が泳いでいる。引で海全体を見ると、あちこちに無数のゼリーが浮いている」 そう書かれたノートが自宅を整理していると出てきた。 夢は見てもすぐに忘れてしまう事が多い。 だから忘れないように当時記録していた。 「焼き鳥屋で並んでいたら、いつの間にか自分が焼き鳥を焼いていた」 同じ時期に見た夢。 ノートを一気読

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