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見え方のクセを知ることで広がる子供の可能性
特別支援学校教員のたにやんです。
『見る』って本当に奥深いです。私はこれまで生徒たちに見える前提で教えていました。しかし、視覚機能について学んだり、自分自身が視機能に関する検査を受けてみたりすることで、『見る』って複雑な機能で、自分にも『見えていない』ことがあるかも…と感じました。
私は2年前まで裸眼で生活していました。年々ボヤけて見えるなぁ。と思うことが増えてきて、メガネをかけるようになりました。メガネをかけてみると目の前がすごくクリアになって世界の見え方が変わったのをよく覚えています。
しかし、メガネをかけるまではボヤけてる世界が当たり前だったんです。知らないと自分が劣っていることにも気づけないんです。そして、今回視機能の検査をすると自分の目は内側に寄りやすい癖や利き目が左目であることも知りました。立体物を片目と両目で見る検査では片目で見るとモノの立体感が全然掴めないことも検査の中で体感しました。
子供達も両目でモノを捉えられていないと立体感がつかめずに生活したり学習をしたりしているのかと思うと、見える前提で教えていてはいつまでも伝わらないと感じました。
1. 視覚情報の重要性
目から入る情報は、私たちが得る情報の約87%を占めています。この割合からわかるように視覚は学習において、とても重要な役割を果たしています。特別支援学校に勤めてみて感じるのは、生徒たちの視機能の低さです。生徒に目を動かす体操を実施していますが、両目を動かしたい方向に動かすことができていない生徒が大半です。動かそうとしていても途中から固まったり、左右の目で違う動きをしていたりと使いこなせていないのです。これでは文字を読んだを運動するのも一苦労だと感じます。なので、子供達の見え方の傾向を知ることは支援の手立てを考える上で必要不可欠と言えます!
2. 子供の傾向を把握する
目の癖から、子供たちの学習スタイルや傾向を掴むことができます。例えば、目が内側に寄りやすいと一つのことに集中しやすい強みがある一方で活動の切り替えが難しかったり、視野が狭かったりします。逆に目が外側に寄りやすい場合は、視野が広くよく気がつくメリットがある一方で注意散漫になりやすいです。
見え方が学習はもちろんのこと対人関係や注意集中にも影響を及ぼします。
このように見え方や視機能のクセを知るだけでその生徒の実態把握ができます。実態がわかると子供達の強みと弱みがわかって、効果的な支援ができます。
3. 学びの環境を整える
児童生徒の見え方のクセを理解することで、教師は学びの環境をより良く整えることができます。苦手なことと得意なことがつかめるとトレーニングの方向性やその子が情報を取り込みやすい方法で伝えることなどが可能になります。
席の配置
利き目がわかっていれば、利き目で見やすい方に席を配置してあげたり、周囲の子供に比べて視覚機能が劣るのであれば、前の席にしてあげることが可能になります。教材の工夫
文章にアンダーラインを引いてあげたり、大切なワードの背景の色を変えることで読み飛ばしたり、大切なポイントを捉えやすくなったります。周囲の情報を遮る仕切を設置
目が外側に寄りやすい場合は、周りに注意がとられやすいため集中したいときは仕切りで囲んであげるなど、周りの情報をシャットアウトしてあげることで集中しやすい環境が提供できます。
子供たちの見え方のクセを知るだけでもたくさんの支援方法がわいてきます。誰もが同じように見える前提でなく、子供達の見え方に関心を持ち理解しようとするだけでも子供達の学び方は変わってくると思います。そして、学ぶことが楽しくなると子供達の可能性はますます広がっていきます!