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算数の文章題を乗り越える!特別支援教育の工夫
特別支援学校教員のたにやんです。
問題を解けないのは子供達の努力不足ではなく、教師の支援方法に誤りがあるからだと思います!そう感じさせられたのは、ワーキングメモリーについて学んだからです。
子供達はワーキングメモリーが低いことや文章の読解力が低いことで文章を理解し、式にすることが難しいです。そのような苦手なところや得意なところを見極めて、子供にあった支援が大切です。
その一つの指標としてワーキングメモリーがあります。ワーキングメモリーといっても耳から聞くものや目から見るもので種類が変わりますし、子供によって得意不得意があります。
ワーキングメモリーについて理解を深めることで、文章を図解したり、キーワードにアンダーラインを引くなど、子供達の力を引き出せる支援ができます。
◯ワーキングメモリーと理解力の関係
特別支援学校の生徒たちは、ワーキングメモリーが低いため、文章題を理解する際に必要な情報を保持し、操作することが困難です。文章を読み進める中で、重要な数値や条件を思い出すことができず、問題の全体像を把握するのが難しくなります。このため、文章題を解くための基盤が揺らいでしまいます。
・文字情報を覚えておくことが苦手な生徒
文章題を見ると圧倒されてしまい、読み始める前から勝負が決まったようなものです。
例えば、ゴミ屋敷を片付けなさいと言われたら、どこから手をつけるべきか?圧倒されますよね。同じような感覚です。
◯視覚的支援の大切さ
特別支援学校の生徒たちが算数の文章題を理解するためには、視覚的な支援が不可欠です。文章を図解することで、情報の整理が進み、内容の把握が容易になります。文字から得た情報やイメージを頭の中に留めながら問題を解くのは負荷が大きすぎるのです。学生たちが具体的なイメージを持ちやすくなり、問題解決へのアプローチがスムーズになります。
情報を整理したり、文章題を解いていくためには解くプランを理解することが大切だと思います。冒頭に紹介した本の中では①変化②統合③比較という3種類のプランが紹介されていました。
変化
『いちごが最初は10個ありました。5個食べました。今は何個でしょう?』
最初から数字に変化があります。この場合は『あげました。』『もらいました。』などの文言によって加減方なのかどうかがわかります、統合
『りんごが5個、みかんが7個あります。合わせて何個でしょう?』
合わせて。とあるので足し算で求められることがわかります。比較
『りんごが110円。みかんが120円です。どちらがいくら高いですか?』
2つのものを比較しています。
上記のようにいろんな問題がありますが、3種類のプランが分かれば、どれに当てはまるのか?考えてプランに合わせた図式をイメージしたり実際に書いたりしながら解いていくことが可能になります。
このようなフォーマットがあるだけでも、安心できます。
例えば、A地点からB地点に車で向かう際にルートが3つわかっているとします。1ルートと3ルートが混んでいることが分かれば2ルートで行こうと判断できます。このように複数のプランが理解できていれば、その問題(例文で言うと渋滞)に合わせたプランを選ぶことが出来ます。
・キーワード強調の効果
文章題の中で重要な数字や言葉にアンダーラインを引くことで、生徒たちの注意を必要な数字に向けることができます。図解する時に数字を抜き出す時にも役立ちます。この方法は、ワーキングメモリーが低い生徒にとって特に有効です。キーワードを強調することで、彼らが問題の核心を捉えやすくなり、式を立てる手助けとなります。
◯段階的アプローチの提案
複雑な文章題を解く際には、段階的にアプローチすることが効果的です。まずは問題を簡単な言葉に置き換えたり、次に情報を整理し、最後に式を立てるという流れを提供することで、生徒たちが自身のペースで理解を深められるようサポートします。
イメージしたり、言葉を短期記憶にとどめておくことが難しい生徒にとって図解しておくことは短期記憶の負担が少なく、問題を解くことに力を注ぐことが出来ます。
このような工夫やプロセスを繰り返すことで、彼らの自信と理解力を育むことができます。