見出し画像

成功、成果の尺度とロジックモデル

アウトプット(output)とアウトカム(outcome)という英語の違いをしっかりと理解したのはロジックモデルというフレームワークを勉強した時でした。ビジネスの文脈ではあまりポピュラーなフレームワーカではないですが、政策立案の文脈では知る人ぞ知る政策・事業評価のフレームワークです。

このロジックモデルというフレームワークはインプット、アクティビティ、アウトプット、アウトカムの4つからなるのですが、最初はアウトプットとアウトカムの違いがいまいちよく分かりませんでした。日本語では、「output:出力、産物」、「outcome:結果、成果」という訳が当てはまると思いますが、あまり明確に区別できてなかったように思います。

今の自分の解釈としては、アウトプットはアクティビティをすれば基本的に出てくるもの(産物)なのに対して、アウトカムは(いくつかの)アウトプットがさらに変化して生み出されるもの(成果)で、往々として自分のコントロールが及ばない要素も関わってくるものになります。

人事の評価やプロジェクトの達成度という文脈では、何らかの作業をして、資料や仕組みを作るところまでがアウトプットで、ここまでしっかりやって3の評価(5段階の真ん中)、ここからアウトカムに向けてさらに一段工夫をして多少の成果が出たら4、運も含めて大きな成果が出たら5の評価という定義を使っていました。
やらないといけないことはやりました、がんばりました、だけで5の評価をあげていては組織は成長しないので、もう一歩工夫をするところを評価したいのと、大きな成果が出たらやはり評価しないといけないので、チームメンバーにも伝えていました。

もう一つ、ロジックモデルを知ったことで、指標・KPIについての考え方についてすごく勉強になりました。
データ分析をしたい人(する必要がある人)の中には、いいデータや新しいデータを探したがる人がいます。もちろん、そういうデータがすぐに入手できればいいのですが、ないものねだりのことがよくあります。
ロジックモデルは、まずロジカルに定性的にインプット→アクティビティ→アウトプット→アウトカムをつなげてみて、その上で、定性的な要素に対して指標を当てはめていく、という作業をします。当然、存在する指標もあれば、存在しない指標もあるので、代替指標なども使ってもいいし、必要性を評価した上で、お金や時間をかけて購入したり、作成したりします。
このように、あるデータから出発することも有効な分析の方法ですが、何を分析したいかを定性的にロジカルに明確にして、必要なデータを収集し、どんな分析をするかを考えるということも非常に重要なアプローチになります。

最後に、ロジックモデルは政策・事業評価のためのフレームワークとして有名で、評価というと事後的な印象を持ちますが、効果的な事後評価をするために、計画段階・実施段階からうまく活用するために、事前に作成するものです。
作成にあたっては、ロジカルに因果関係の仮説を組むという作業が非常に大事です。その因果関係の是非が重要なもの(仮説として怪しいものは特に優先して)定量的にデータで検証することによって、そのロジックがより強固になっていきます。ロジックが強固になると、実施段階での取組み(インプット→アクティビティ→アウトプット)の進捗をトラックしていくことで、成果をより確実にしていくことができます。(→ダッシュボードで進捗管理を行い、ずれがあるものに対して手当てする。)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?